プロローグが終わらないうちに盗賊さんたちが出てきたっす。
7・9修正しました。
早乙女真一が我に返ったとき、真っ白な世界にたたずみ目の前には神の死体が4つ転がっていた。両手を神の白い血で染めて。
「なんなんだこりゃ・・・どうしてこうなった」
・・・お答えさせていただいてもよろしいでしょうか?・・・
「ハハハ・・・俺の頭の中から知らない人の声がするよ。疲れてるんだな、俺。アハハハ」
・・・これは現実。しかも神の世界なので逃避する場所はありませんよ? しかしながらまずはこの4人の神の犠牲となった全ての人々の無念を晴らしていただき誠にありがとうございました。・・・
「神の世界って、いきなり言われてもなぁー」
ここで俺の目の前に光り輝く白い着物を着た仙人? という圧倒的な存在が姿を現した。
【フォフォフォ、いきなり驚かしてすまんのぉ。ワシの名前はゴッデス。主神という存在でこの4人の神の親とも言える存在じゃ。早乙女君、ワシからもありがとうと礼を言わせて欲しい。君のおかげで彼らの願いをかなえることができた。好き勝手に運命を捻じ曲げる4人の子供達に罰を与えることができた】
・・・ゴッデス様、我々には時間が残っていませんのですが。早乙女さんに説明を・・・
【そうじゃったの、しかし説明は必要ないぞ】
主神ゴッデスが両手を俺へとかざしたとたん、俺の中で光り輝く彼らの苦悩・無念・恨み・そして願いの全てを理解した。
俺の中にある幾つもの光が俺の脳に記憶を移して消えていった。
彼らは運命を4人の神に弄ばれて捨てられた人達。4人の神の管理する世界に隠し作った「イーデスハリス」に転生させられて魔王・勇者などにさせられて最後は裏切られて殺される。
したくもない戦いに明け暮れて敵も味方もなく殺す技術だけ磨き死んでいく。1番の犠牲者は3度も転生させられた。3度目の転生に絶望し自ら命を絶った。
そして輪廻転生の枠から離れた彼の存在によって主神ゴッデスが4人の神のたちの悪い遊びに気付き、ちょうどその時に転生させられようとしていた俺に無念を抱いて死んだ人々の魂と神を殺す力と技を植えたのだった。
『神殺しの力と技』
技っていってもなんてことはない、普通の何十発のパンチだったんだけどな。
・・・ゴッデス様ありがとうございます。これで何の憂いもなく我々は仕事に行けます。ではまた・・・
【うむ。ではまたの】
俺の中にあった光が全て消えた。
「これで彼らも成仏できたんですかねぇ」
【彼らには輪廻転生の枠から卒業してもらった。だから本当の意味で成仏したんじゃよ。しかし彼らの全ての人々は神にはまだなれんのじゃ。彼らにはまだ怨みは完全には消えていないからの。恨みの元を殺したとはいえ、人によっては何百年も怨み続けていたんじゃ。そう簡単に割り切れることじゃないからの】
「彼らの中の恨みの残った人たちはどうなるんですか?」
【『監視者』になってもらう。監視者とはのぅ、ワシの下で働く神々を監視してもらうんじゃ。この4人以外にも好き勝手している神もまだいるみたいだし。神を殺す力と技を授けたからには彼らの無念を晴らすためにも不届き者の神の監視をしてもらうんじゃよ。神を監視していれば神の仕事の勉強にもなるしの】
「ところで、俺はこれからどうすればいいんですか?」
【ちょっと待ってくれ調べる・・・(1分経過)・・・すまんのう。君の魂は地球の世界からは切れてしまっておる。じゃから元に戻すことはできんのじゃ。残念ながら・・・残された道はこの4人の神が創った世界『イーデスハリス』に転生することしかないようなんじゃ】
「なんでまた、意味がわからなのですが?」
【原因は君自身のレベルにもあるんじゃ。君はまったく望んでない事とはいえ4人もの神を殺したんじゃからの。神を瞬殺できるレベルに到達してしまったんじゃ。今の君をどの世界に送ってもバランスを壊してしまうんじゃよ。管理している神を瞬殺できてしまうんじゃからの】
「なんでイーデスハリスなら大丈夫なんですか?」
【イーデスハリスは管理する神がワシに移動しておることが1つ。2つ目の理由としては4人の神が好き勝手にしていて世界が崩壊しかかっておるんじゃ。このままだと50年もしないうちに世界中を巻き込む戦争を開始して、何十年も続く戦争中に世界が崩壊するじゃろうな】
「俺に戦争を回避させろってことですか?」
【君というバランスブレイカーが入ることによって戦争が回避され世界は平和に向かうんじゃよ。君が戦争を回避させるんじゃない、君は君の好きなように生きてかまわんのじゃ。君を巻き込んだお詫びとしてワシからのプレゼント『天運』じゃ。この天運の力がイーデスハリスを救ってくれるんじゃよ】
「天運が解決するのですか? ますます意味がわからないんですけど」
【では、そろそろ時間となったようじゃ。君がイーデスハリスで生きて行くうえでの一般常識・言葉・文字や戦闘や魔法など全て先ほどの『記憶・知識・経験の転移』で君の中にもう入っておる。まぁ、詳しくはステータスのヘルプ機能で確認するんじゃな】
「ステータス? ヘルプ? ゲームみたいですね」
【ゲームと捉えてくれてもかまわんよ。君が手に入れた力からすればの。『ステータス・オープン』で開始じゃ】
「は? ・・・『ステータス・オープン』?」
光の洪水に飲み込まれ俺は転生した。
転生した先は草原の中にある大きな岩の上だった。
そして目の前には自分のステータスが開いてる。空中に光る文字が浮かんでる。
ステータス ~シンイチ・サオトメ~
種族・人族
年齢・15歳
レベル・1206
職業・神に愛されし旅人
所持金・10万9999G
HP・99999
MP・99999
力・9999
防御・9999
敏捷・9999
賢さ・9999
魔力・9999
スタミナ・9999
幸運・9999
スキル『武神』『神の創り手』『賢者』『忍者』『ビーストテイムマスター』『ステータス管理』
祝福『主神の祝福(天運)』『アイテムボックス(無限収納)』
称号『神殺し』『被害者代表』『復讐を成し遂げた男』
「・・・なんでやねん?」
ツッコミどころが満載過ぎて意味不明で疑問系な関西弁でのツッコミになってしまったよ・・・ん? HPの数値は限界の数値が表示されてるだけで実際の数字は10億超えてるみたい・・・イミガサッパリワカラナイヨ。
これじゃ神を瞬殺ってのも納得だ。
転生モノのテンプレではまず近くの町に向かうんだけど、準備が必要かも。どこかで整理し準備して、それから町に向かわないと俺が恐怖の大魔王になってしまうな。こんなステータスを町で表示されたらパニック間違いなしだし。
ポーン。~スキル[ステータス管理]が発動しました。スキルが隠蔽されます~
電子音とともに変な声が聞こえてきたら目の前の数値に変化が現れる。
ステータス ~シンイチ・サオトメ~
種族・人族
年齢・15歳(元35歳)
レベル・6(1206)
職業・旅人(神に愛されし旅人)
所持金・10万9999G
HP・150(99999)
MP・100(99999)
力・30(9999)
防御・20(9999)
敏捷・25(9999)
賢さ・30(9999)
魔力・15(9999)
スタミナ・30(9999)
幸運・100(9999)
スキル『旅人』(『武神』『神の創り手』『賢者』『忍者』『ビーストテイムマスター』『ステータス管理』)
祝福『アイテムボックス(中)』『幸運』(『主神の祝福(天運)』『アイテムボックス(無限収納)』)
称号『旅なれた人間』(『神殺し』『被害者代表』『復讐を成し遂げた男』)
「スキルと称号まで増えてるのに・・・俺はどこまで旅好きやねん!」
っていうツッコム場所が間違ってるボケまでしてしまった。
「そもそもステータス管理って・・・なんだ?」
ポーン。 ~ヘルプ機能がが発動して疑問にお答えいたします~
~ステータス管理とは本来であれば変える事などできない御自身の「ステータスカード」の数値を変更することです。主神ゴッデスの祝福により追加されたスキルです。~
ステータスカードってますますゲームっぽいな。しかし今、こうしている間にも俺が殺した神の何十人もの被害者達の記憶からどんどんと俺の脳にイーデスハリスでの一般常識・金銭感覚・文字・言語・MAPなど上書きしていく。
称号の『被害者代表』で思い出したよ。俺は4人の神から被害を受けていないと思っていたけど・・・あったよ被害。
俺の日本での最後の記憶は”宝くじで8億当選”からの”8億を貰って銀行から一歩出たら頭上に隕石で死亡”だったな。10年以上働いていた会社が倒産したが退職金共済制度のおかげ余裕を持って就職活動する矢先に購入した宝くじ8億の当選。これで世界中を自由気ままに旅ができる! ・・・って1円も使えなかったな。
旅は大好きだったし世界中を遊びまわりたかったけど、まさか異世界で夢が叶うなんてな。
フッフッフ、あの4人のクソ共の被害者たちに共通する記憶・・・絶望の中で希望を見出したとたんの死亡。そして無理矢理転生させる。・・・そのほうが殺し合いに積極的になれるってのか? 元の世界に戻れるって希望を持たせてるってところにも極悪さを感じる・・・フフフ、もっと苦しませて消滅させれば良かったなとダークモードに突入する思考を複数の気配がさえぎる。
ポーン。 ~盗賊が現れました。人数は23人です。MAPに表示します~
テンプレだな。
第一村人発見前に盗賊かよ。脳内に浮かぶMAPに23個の赤い点滅。そりゃ盗賊からしたら美味しそうなカモにしか見えんよな。高級そうな旅の服を着て回りに護衛も連れずに大岩の上でノホホンとしているお坊ちゃん。
なかなか上手く気配を消して接近してるが、スキル『忍者』を所持する俺にはバレバレだったりする。
調子に乗った俺は盗賊が仕掛ける包囲網の罠に向かって、無造作に自ら飛び込むように歩き出す。
あれ? テンプレだと盗賊から「坊主、生きていたくば有り金全部置け。荷物も全部だしな!」なんて脅迫されそうなんだけどな。こいつらもプロの盗賊って事か? 後ろから素早い男が無言で俺を棍棒で殴りつける。
ステップでかわすと男の腰についてる4本の投げナイフを次々に投擲。10メートルほど離れた場所で待機している弓矢を持った4人の男達の右手首に命中させる。これで遠距離攻撃は潰した。
棍棒を男から取り上げると鳩尾にパンチを入れて無力化に成功。そしてはじめての魔法を唱える。
「アースバインド」
23人の盗賊が地面に土のロープによって縛られ仕上げは棍棒で昏倒させる簡単なお仕事です。ナイフを当てた4人には簡単な止血だけしておく。