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更新が大変遅くなったことを心よりお詫びします。


様々な方に生存確認をされましたが私は元気です!

私生活の方が忙しく、中々思うように執筆が進みませんでした(-_-;)


あ、エタる事だけは絶対に無いので安心して下さい。


注:今回は拷問?的要素が含まれていますので閲覧注意です。

特に男性。


 楽しい時間はあっと言う間に過ぎる。

 色々とやっている間にリコールまで残り二日となった。


 私の目的への障害と成りうるものを区分し、細々としたものは合法的に排除してきたがそろそろ泳がせていたものを駆除しに取り掛かっても良さそうだ。


 折角、早くに行動して感づかれる事がないようリコールまで残り二日とギリギリまで待ったのだ。

 精々楽しませて貰うとしよう。












 目を覚ますと薄暗い、見知らぬ部屋にいた。

 驚き、動こうとしたが何故か体が動かない。

 見ると、マサは椅子に座った状態で手、足、体をがんじがらめに縛り付けられている。 しかもシャツやズボンや下着は取り払われて下半身は露出され、全裸に靴下一枚と言った格好だ。


 「畜生!何だよこれっ!!」


 思わず叫ぶと背後で物音がした。


 誰かいる!


 とっさに振り返ろうとしたが、椅子の背もたれが邪魔をして後ろを見れない。


 見知らぬ場所で正体が分からない奴が自分の背後にいる。

 その事実に恐怖が生まれてくるが、それを振り払うように背後にいるであろう奴に叫んだ。


 「誰だ!?お前か俺をこんな格好にして連れてきたのは!!?」

 「違う………マサ、俺だ」


 返ってきた声は聞きなれた物だった。


 「その声は………タカか!?

 何でお前がこんなことすんだよ!?ふざけんなよ!!」

 「違う、俺じゃない!!

 俺もワケわかんねぇんだよ!

 家で寝てたハズなのに気が付いたらこんなトコにいるし、何か縛り付けられてるし、その上シャツだけじゃなくて下も履いてねぇし………。

 何でこんなことなってんだ?」


 段々弱々しい声になるタカ。

 マサは舌打ちをしたくなった。


 「は?知るかよ!

 お前そんな事言って俺を騙す気だろ!?」

 「ちげぇよ!

 何でそうなる!?

 それを言うならお前が俺を騙してんだろ!!?

 今なら許してやるからとっとと俺を解放しろ!」

 「はぁ?

 テメェ何様のつもりだよ!

 それはコッチの台詞だ!!

 大体、お前はいつも」

 「先輩たち、俺もいるっス」

 「俺もです」


 マサとタカが言い争いをしているとこれまた聞きなれた後輩二人の声が聞こえた。


 そうか、俺もタカもこいつらに嵌められたのか!

 先輩に楯突こう何て良い度胸だ。

 直ぐに縄を解かせて自分の立場って奴を叩き込んでやらねぇと。


 「ふざけ」

 「俺、椅子に縛り付けられていて身動きが取れません。

 しかも恰好は裸です。

 トモ、お前はどうだ?」

 「俺もっス。

 俺はこいつの、ヤスの家で寝てたハズなんスけどいつの間にかこんな場所に……。

 て言うか何なんスかこの羞恥プレイは?」


 二人の白々しい言葉に怒りが沸いてくる。

 ふざけるなと口を開こうとしたその時、これまた聞きなれた声が聞こえた。


 「その声………ヤス、トモ、タカ、それにマサか?」

 「ユウ?ユウもいるのか!?」

 「お前も椅子に縛り付けられてんのか?」

 「あぁ……寒いと思ったら何でか靴下以外服着てねぇし、こりゃあ一体どうなってんだ?」

 「わかんねぇんだよ。

 皆いつの間にかこんなカッコでこんなトコにいるしよ」


 いつもつるんでいるメンバーがこの場にいる。

 何故自分たちがこんな状態でこんな場所にいるのかは分からないが、みんながいるのに安心した。


 「先輩方、ひとまず状況を整理しませんか?」

 「ん?あ、あぁ、そうだな」


 ヤスの提案に乗ってそれぞれの今の状況をお互いに話す。

 結果、俺たちは同じ部屋でそれぞれお互いが見えない位置に座らされており、頭までの背もたれのある椅子に全裸で靴下だけを履いた状態でがんじがらめに縛り付けられている事が分かった。


 「一体誰がこんな事を」


 ヤスの言葉に俺は答えた。


 「決まってんだろ。

 俺たち緋鴉に楯突くどっかの敵チームの仕業だ」

 「あぁ、やっぱり」

 「そうだと思ったわ」

 「それか俺らの最近の活躍を妬んだ奴の仕業か」


 何せ俺らはあの先輩に名指しでメアドを教える様に指示されたんだ。

 それだけで充分妬みの対象になる。 大方、この間抜けな姿を写真で撮るなりどうかして俺らの評価を落とそうとしているに違いない。


 俺の推理に他の奴らは感嘆した。


 「へぇー、流石っスね先輩!

 俺なんか誰がやったのかとか何でこんな格好なんかなんてちっとも見当つかないっスよ」

 「俺もだわ。

 やっぱりマサはすげぇな」

 「流石俺らの知将と言われるだけあるぜ

 「へへ、よせやい」


 みんなの賞賛に照れ臭くなる。


 「それでマサ先輩。

 これからどうするんですか?」

 「どうするって何がだよ」

 「どうやってこの状態から逃げ出すんですか?」


 ヤスの質問に俺は自信満々に答えた。


 「そりゃあお前、俺たちをここに連れてきた奴がそのうちくるだろ?

 そしたら俺がガツンと言って解放させてやっから」

 「ガツンとって………」


 おっと、ヤスが不安そうだ。

 ここは先輩らしく安心させてやらねぇとな。


 「大丈夫だ。

 何せ俺らはあの先輩のメアドを知ってるんだぜ?

 それを出しゃあ一発だ」

 「……………そうですか」


 俺の言葉に安心したのかヤスはそれ以上喋らなくなった。


 「ん?

 おいっ、何すんだよ!!」


 突然タカが叫んだ。


 「「先輩?」」

 「「タカ?」」

 「止めろ!離せ!何処に連れてく気だ、おい!!!」


 ズズズズと何か重い物を引き摺る音と共にタカの声が少しずつ離れて行く。


 「止めろ!俺たちが何処のチームのもんか知ってんのか!?

 緋鴉だぞ!?

 しかも俺たちは先輩と繋がりがある!」


 マサの言葉を無視するかのようにズズズズと言う音は続き、タカの声も遠ざかって行く。


 「た、助けくれ!!」

 「タカ先輩!」

 「くそっ、お前ら!先輩を離せ!!」

 「タカ!」

 「俺らに何かあったのを先輩が知ってお前らがどうなっても知らねぇぞ!!」


 やがて何処かのドアがパタンと音を立てて閉まるのと同時にタカの助けを求める声も聞こえなくなった。



 「畜生!!

 何だって俺らがこんな目に!?

 おいマサ!!

 何とかしろよ、知将だろ!?」

 「ちょっと待てって!

 今考えてるから!!」


 何であいつらは緋鴉になんの反応もしなかったんだ?

 そうか、あいつらは緋鴉を知らないんだ。

 そうだ、だからその怖さを知らないからこんな事が出来るんだ。

 そうに決まってる。

 次は緋鴉の怖さを教えればきっと……



 「ぎぃやぁああああぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 「「「「!?」」」」


 突如タカの凄まじい叫び声が聞こえてきた。

 俺たちは互いに顔を見合わせる。

 一体これから何が起こるのか、それぞれの目の怯えが見える。

 タカの叫び声が聞こえてからどれくらいかはわからないがしばらく時間が経った。


 「なっ!おいっ!!止めろ、離せ!!!止めてくれ!」


 ズルズルと物を引き摺る音と共に今度はユウの叫び声が聞こえてきた。

 マサは急いで口を開く。


 「止めろ!ユウを離せ!!

 俺たち緋鴉はここら一体のワルを占めている超武闘派集団だぜ?

 しかも、ヘッドはヤクザとも繋がりがある!!

 今俺たちを解放するなら見逃してやる、だからさっさとユウを離してこの縄を解け!!!」


 言ってやった。

 どうだ、これなら流石に相手もびびって解放するだろう。


 そんなマサの淡い望みを打ち砕くかのように引き摺る音は止まらない。

 そうして、ついにはドアが閉まる音と共にユウの叫びも聞こえなくなった。


 「そんな……」

 「ユウ先輩……!」

 「………畜生っ!!

 何でだ!?何でびびらない!?

 緋鴉って聞きゃあその変のやつだったら言うこと聞くってのに!」

 「……先輩」

 「あ!?何だよ!?」


 ヤスの声に苛つきを隠さずに返事をする。


 「あの、もう緋鴉を盾にどうこうって考えるの止めませんか?

 俺、あいつらは緋鴉がどんなのかも知っていて行動しているように思えてならないんです。

 今は逃げる事を優先的に考え……」

 「うるせぇ!!!

 後輩が先輩に指図すんな!!」

 「先輩、落ち着いて下さいっス!

 後でどんだけボコボコにされても構わないっスから今は落ち着いて逃げる事を考えるっス。

 俺もヤスの言うとおり逃げる事を優先するべきだと思うっス。

 だから……!」

 「黙れっつってんのが聞こえねぇのかテメェらは!!?

 分かってんだよ俺もそんな事はよう!

 ならあれか?

 お前たちは良い考えがあるってのか!?」

 「それは……」

 「ほらな?

 何もねぇんだったら黙って大人しくしてろや!!」

 「……先輩。

 考えがない訳ではないです」

 「あ?」


 ヤスが言った。

 マサは皮肉気な表情を浮かべる。


 「へぇ、言ってみろよ。 先輩に喧嘩売ってまで考えたお前さんの考えとやらをよぅ!」

 「……実は、ずっと考えていたんです。

 緋鴉ではなく、俺たち個人に怨みを持っている人物を」

 「はぁ?俺たち個人?

 んなのいるわけ」

 「あ、あ゛ア゛ア゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 「「「!?」」」


 突如聞こえたユウの叫び声にマサの問いかけは切られた。


 「「「………」」」


 しばらくの沈黙、後にヤスは再び口を開いた。


 「それがいるんですよ。

 先輩、今までの行動を振り返って良く考えてみて下さい。

 俺たちを怨んでこんなことをしているのは……」


 ヤスの声が唐突に途切れた。


 「え、ヤス……?」 「ヤス?

 返事をするっス。

 ヤス!!」


 ズルズル。


 また、何かを引き摺る音が聞こえた。

 いや、何かじゃなく、ヤスが縛り付けられている椅子を引き摺る音だろう。

 俺たちは気付かず普通に話していたが、俺たちを監視する誰か(・・)がずっとこの場にいたのだ。


 それに気付き、恐怖した。

 まだ、自分たちが気付いていない誰か(・・)がいるかも知れない。

 余計なことを話したが最後、ヤスの様に何らかの方法で黙らされるかもしれない。


 迂闊に口を開けばどうなるか。

 少しでも物音を立てればどうなるか。

 極度の緊張がその場を支配した。

 マサは不安を打ち消すかのように何とか拘束から逃れようともがきながら悪態を吐く。


 「くそっ!!

 何だって俺らがこんな目に遇わなきゃなんねぇんだよ!!

 誰かに怨まれる?

 確かに散々色んなことやってきたけど怨まれる様なことした覚えなんかねぇっての!!!

 逆怨みも良いとじゃねぇか!!

 あああっ!畜生!!

 とっととこの縄解けやぁ!!

 ぶち殺してやる!!!!」


 それから延々と悪態を吐き続け、喉の痛みを覚えを憶えた頃


 「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 「「!?」」



 ヤスの叫び声が聞こえてきた。


 ヤスが連れていかれた今、次は自分かそれともトモか。

 その考えに至り、途端にマサは大人しくなった。

 頼むから自分ではありません様に。

 目を閉じて必死に祈った。

 体が勝手に震え、歯がカチカチと鳴る。


 俺じゃなくてトモを。

 トモを連れていけ!

 あいつら何て知ったこっちゃねぇ。

 とにかく、俺だけは何とかこの場から逃してくれ。

 だからトモを!

 あいつはどうなっても良いからっ!!


 恐らく、マサの今までの人生の中で一番真剣に神に祈った瞬間だった。

 この場から脱出できるのならば今までの事を悔いて真面目になっても良いとまで思った。


 そして、


 「うわっ!

 今度は俺っスか!!?」

 その祈りは通じた。



 ズルズルとトモを引き摺っていく音が聞こえる。


 「先輩っ!!助けて下さいっス先輩!!!

 先輩!」

 「うるせぇ!!

 良いからとっとと行け!!

 んで向こうのトップが来たら俺を解放するように言うんだ!!

 いいか!?

 『自分はどうなっても良いから先輩を離してくれ』って言うんだ!!

 分かったな!?」

 「………そんな、先輩、冗談っスよね……?

 冗談だって言っ」


 パタン


 何処かの扉が閉まった。

 これで良い。

 トモが俺の命乞いをしてくれれば俺はここから逃げ出せる。

 涙を流し、自分の身を犠牲にしてでも先輩の命乞いをする後輩。

 どんな人間だろうとその光景に心動かされない人はいないだろう。

 そして後輩の願いは叶えられ、運が良ければトモも解放される。

 我ながら完璧な作戦だ。


 マサは満面の笑みを浮かべた。


 解放されると言う安心感からここに来てから初めてリラックスすることができた。

 そしていつ解放されるのか、ジリジリと時間が過ぎるのを待つ。



 「やめてえぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 「………なんっつー叫び声を上げてんだあいつは」


 トモの叫び声に思わず苦笑する。


 俺以外全員終わったんだ。

 さぁ、さっさと俺を解放しろ。




 少ししてから後ろから何かを目に縛り付けられた。


 「うわ!何だよこれっ!!」


 慌てたところで椅子が後ろに引っ張られる。


 そうか、やっと解放されるんだ。


 マサは安堵の表情を浮かべる。

 大方閉じ込められていた場所がバレないように目隠しをされたのだろう。

 そう予想を立てた。


 解放されるんならとりあえずズボンか何か履かせて貰えると良いんだが。

 そんなことを考えながら後ろ向きに引き摺られ続け、ようやく止まった。



 シャキン、シャキン


 何処かで聞いたことのあるような音が聞こえる。


 目隠しを外された。

 建物の出入口に違いない、そう思ったマサだったが予想と反して連れて来られたのは先ほどの部屋より明るい、床や壁、天井のコンクリートが剥き出しの部屋だった。


 シャキン、シャキンと言った音は止むことなく聞こえる。


 見るとマサの右手、部屋の隅に制服姿の髪の長い女がいた。

 その音は女から聞こえてくる。


 ごくり、と自分が唾を呑む音がヤケに大きく聞こえた。


 と、絶えず鳴っていた音が止み、女が振り返る。


 その顔を見て、マサは既視感を覚えた。

 何処かで見たような気がするが何処で見たのか思い出せない。

 後少し、何かヒントがあれば思い出せるような気がするのだが。

 その少しが思い出せない。


 ふと見ると、女のその手には所々何か赤い物がこびりついた刃渡り15センチ程のハサミが握られていた。

 開いていた刃先が閉じられる。

 シャキン


 マサは血の気が引くような気持ちだった。


 「ち、ちょっと待て!

 俺を解放するんじゃ無いのか?!

 何する気だ?!」

 「………あっははは、何寝惚けた事言ってるんですか?

 貴方を解放するなんて誰も一言も言ってませんよねぇ?

 思い込みだけでそう思っていたのなら相当おめでたい脳味噌の持ち主ですね」

 「だ、だってあいつ命乞い……!」

 「命乞いされた程度で解放する様な人間だったら最初っからこんなことしませんよ。

 五月蝿いんでそろそろ黙ってくれませんか?」


 女が一歩左へとずれる。

 今までは女の陰になって見えなかったが、そこには小さなテーブルがあった。 テーブルの上にはドライソーセージが一本皿に乗った状態で乗せられている。


 シャキン


 一度ハサミを鳴らすと、女はおもむろにドライソーセージを手に取った。


 ハサミをドライソーセージの真ん中辺りにあてる。



 ジャキンッ!、ボトッ


 一際大きな音を立ててドライソーセージは真っ二つになって皿へと落下した。


 「よし、切れ味ばっちり」


 何処かから取り出して布でハサミの刃先を拭った女はこっちへ振り返る。


 「さて、始めましょうか」

 「は、始めるって何をだよ!?」

 「着けてちょうだい」


 女の合図で再びヤスに目隠しがつけられた。


 「おいっ!何する気だ!?」

 「ちょっとした触覚及び心理学の実験ですよ」

 「は?触覚?心理学?」


 マサの疑問には答えず、女は言葉を続ける。


 「さて、何で貴殿方はズボンを履いていないと思いますか?」

 「は?何言っ」

 「答えようによっては解放するかも知れませんよ?」

 「……………あれだろ、俺たちの恥ずかしい写真を撮って評価を下げようってんだろ」

 「残念、不正解。

 と言うかそれ以上下がりようがない上にゴミクズ以下の評価をどうやって下げるって言うんですか?

 やり方を知っているのならその方法を是非ともご教授願いたいですね」

 「なっ………!馬鹿に」

 「それでは、早速実験を始めたいと思います。

 いやぁ、わくわくしますねぇ。

 私、選択授業では可能な限り生物を取るようにしているんですよ。

 何でか分かりますか?」

 「知るかよっ!

 いいからとっととかいほ」


 マサの言葉は続かなかった。

 何故なら、マサの耳元で勢いよくハサミが閉じられたからだ。

 目隠しにより視覚が奪われていることにより女の次の行動が分からず、それが更に恐怖を煽る。


 マサは青い顔になって黙りこくった。


 「だって生物の授業って解剖があるじゃないですか。

 いやぁ、いいですよねぇ、あれ。

 魚なんて血流の流れが見えるようにって生きたまま捌かれて半分はそのままなのに半分は体がないって状態にされるんですよ?

 命って不思議ですよねぇ。

 あんな姿形になってもまだ生きているんですから」

 「………」


 女の独白は続く。


 「私、いつも疑問に思うんでうよね。

 それなら、一体どの時点で命って消えるんだろう?ってね。

 貴方は分かりますか?」

 「……………」

 「(だんま)りですか。

 まぁ、他人に聞いてもそれはあくまでもその人の主観でしかなく、私は納得できないと思うので聞いても無駄なような気はしているんですけどね。

 いくら考えても分からないのでデータを取ったりしてみてもそれだと心臓が動かなくなったら、とか脳波が無くなったら、みたいなつまらない結果しか見えない。

 私はもっと、命が消える瞬間をこの目でしっかりと見たいんです。

 想像ではきっと花火や流れ星みたいにぱっと輝いてとっても綺麗なんだと私は思っているんです。

 あぁ、見てみたい」


 恍惚とした表情でここまで熱く語っていた女だがぱたりと語るのを止め、悩ましげにため息を吐いた。


 「でも、私みたいなごくごく普通の一般人では生き物を解剖する機会なんてそうそう無いですよね。

 食肉は既に加工済み。

 魚は死んだ状態で売られているのがほとんどですし、蟹なんかは既に蒸し殺してありますもん。

 本当、つまらない世の中ですよね。

 それでね。

 私、考えたんですよ」


 女はそっとマサの耳元に口を近付け、(ささや)いた。


 「機会が無いなら作れば良い、てね」

 「………!?」


 女の言葉を理解したマサは拘束から逃れようと激しく身を捩るが、それは全く効果がなかった。


 「あぁ、暴れないで下さいよ。

 上手くいかなかったらどうするんですか。

 ちなみに、切り落とすとしたら何処からが良いですか?

 あぁ、あまり最初から腕なんかいくと出血多量で死んでしまうので小さいパーツからで。

 耳?鼻?唇?爪?

 それともめ・だ・ま?」


 マサには見えないが可愛らしく小首を傾げ、女はまるで新婚の玄関先でのやり取りのような言葉を吐くがそこに糖度は一切なく寧ろ0よりマイナスよりだ。


 マサは冷や汗を垂らす。


 「目玉だった場合普通にスプーンを目に突っ込んでえぐり出すのと、一回眼球に針とか突き刺してぐちゃぐちゃにかき回してからえぐり出すのとどっちが良いですか?

 あ、スプーンではなくフォークも可」

 「や、止めてくれ………!」

 「止める訳ないでしょう、こんな楽しいこと。

 まあ、どっちみちもう既に場所は決まっているので貴方の希望は聞きませんが」

 「!?」

 「何処だと思います?

 ヒントは、貴殿方の股間にぶら下がっていても害にしかならない物です」


 マサはカタカタと震え出した。


 一体何をされるのか、自分はどうなってしまうのか、殺されてしまうのか。

 そんな考えがぐるぐると頭を巡る。


 「あぁ、安心して下さい。

 殺したりはしませんよ。

 私の人生を賭ける程貴方の命の価値は無い。

 それはそうと。

 さて、どうやって切り落とします?

 1、ハサミで一気に斬り落とす。

 2、ファラリスの雄牛で部分的に燻製

 3、鉄の処女で部分的に串刺し

 4、竹の(のこぎり)で徐々に肉を抉り取って最後の最後でハサミで切断

 5、ちょっと時間はかかるが牛の去勢方法に習って部分的に腐り落とす

 私的には4番がオススメです。

 楽しめそうですし」

 「た、頼む……頼むから止めてくれ!!!」

 「学習能力の無い人ですねぇ。

 いくら頼まれても止める気は更々ありませんって。 と、無駄話はここまでにしましょうか。

 そろそろ実験を始めます」

 「ひっ………!」

 「やだなー。

 しょっぱなからいきなりパッツン!何てつまらないことはしませんよ。

 じわじわ行かなくては。

 とりあえずはこれからですね」



 カチ

 女はテーブルから持ってきた物の音を立てた。



 「ボールペン」

 「っ!!」


 ボールペンを勢い良く突き刺した。

 皮膚が凹んで黒子ができただけで特に外傷はない。


 「まぁ、この位ならまだまだ平気ですよね。

 次、定規」


 ピシッ!


 しならせた定規で思い切り叩いた。


 「っ!」

 「まぁ、ここら変は序の口ですよね。

 次、カッター」

 カチカチッ


 カッターが横に引かれた。

 浅く皮膚が切れ、血が滲む。


 「うーん、今一インパクトに欠けますね。

 傷口を金ブラシ的な何かでかき出して塩でも塗りたくってみますか?

 あぁ、傷口から肉を抉り出してその場所に岩塩を埋め込んで見るのも楽しそうですね。

きっと良い感じの痛みに襲われると思いますよ?

 まぁ、それは後からのお楽しみです。

 次、ネズミ取り」


 バチンッ!


 一度音を立ててから手にした物をマサの股間に付ける。



 「ぐっうあああぁぁぁぁ!!」

 「だらしがないですねぇ。

 ただのネズミ取りじゃないですか。

 じゃあ、次、ハエ叩き」

 ピシャッ!


 「っ〜………!!」



 最初はボールペンから始まったが、カッター、ネズミ取りハエ叩きとたまにあまり痛くないものも交えつつも徐々に道具はグレードアップしていく。

 マサは奥歯を噛み与えられる痛みに耐え続けていたが、徐々に大きくなる痛みに額に脂汗が浮いていく。

 マサの体感的にだが長い時間女が実験と称して一点のみに与えられる痛みは続いた。











 「では次。

 と言っても最後ですが」


 シャキン


 「ハサミ。

 さて、お楽しみ公開去勢の時間です。

 今回は一気に斬り落とす方向でいきましょう。

 うーん、切り落とす時は猿轡を付けましょうか?

 舌を噛みきられると嫌ですし………いえ、でも、それだと鳴き、いえいえ悲鳴が聞けなくで楽しめませんね。

 やっぱり無しでいきましょう」

 「や、やめっ!頼む!頼む頼む頼む頼む頼む!!!止めてくれ!!何で、何でこんなことするんだよぉ………お、お前らほんと、何なんだよぅ………言うこと聞くから、言うこと聞くから止めて暮れよぉ」


 ベソをかきながら懇願するマサを女は一切の温度を感じさせない目で見つめる。


 「貴方は、今まで誰かにそんな風に懇願されて止めた事はありますか?

 無いですよね?」

 「あ、あるさ!」

 「5月○日、隣町の空き家」

 「?」

 「6月○日、近くのプレハブ小屋。6月△日、後輩宅。8月□日、隣町の繁華街。8月○日、隣町の路地裏。9月△日、貴方の家。10月×日、体育倉庫。 これらの日付に覚えは?

 もちろんありますよねぇ?

 だって、10月×日を除いて貴殿方が嫌がる女性に無理矢理乱暴した日ですもんねぇ。」

 「ぬ、濡れ衣だ!!」

 「貴方濡れ衣の意味知ってます?

 本当は何もしていないのに、悪いことをしたようにされてしまうこと。無実の罪。

 貴殿方は完璧に有罪ですよ。

 証言もばっちりです」

 「嘘だ!そんな訳ない!!」

 「何故です?」

 「見張りも立てたんだ、絶対に見られてる筈がない!!」

 「はい、自白ありがとうございます。

 正直ここまでチョロいとは思いませんでしたよ。

 本当、信じられない位馬鹿ですね」

 「あ………」


 自らの発言に唖然とした表情を浮かべたマサ。

 今のやり取りですっかり涙は乾いている。


 「さて、貴方の先ほどの質問に答えましょうか。

 『お前ら何なんだ』、でしたっけ?

 目ん玉かっぽじって私の顔を良く見たら分かるかも知れませんねぇ。

 外して頂戴」


 目隠しが外されたマサは、部屋の灯りに目をしばたかせながら目の前に立っている女の顔をじっと見つめた。


 最初は訝しげな表情だったが、しばらくしてその表情は恐怖へと変わり、再び涙を流し始める。


 「お、お前は………!」


 女は合図して再びマサに目隠しを付けさせた。


 「思い出せたようで何よりです。

 これで私が何があっても止めない理由も分かりましたね?」

 「悪かった!!謝る!!謝るから止めてくれ!!もう、もう二度とあんなことはしない!嫌がる女の子を襲ったりしないし無理矢理建物とかに引き摺り込んだりしない!!絶対にしないって誓う、誓うからぁ……!お願いします許して下さい!!!お願いします、お願いしますお願いしますお願いしますお願いします、お願いしますお願いします!!!!!!許して下さいぃぃぃぃぃぃ!!!!ほ、本当……お願いします!何でも、なんでもじまずからぁ゛!!!おねがいじまず、許して、ゆるしでくだざいぃぃぃぃぃ!!!!」


 鼻水を垂れ流しながらみっともなく泣き叫ぶマサを女は一切の温度を感じさせない目で見つめ、言った。




 「私、言いましたよね?

 許さないって」






 ジャキンッ!ボトッ



 建物にマサの悲鳴が響いた。

前回何となく思いつきでリクエストを募集したところ想像以上の反響で驚きました!


今回取り入れたのはこちら、

・とりあえず去勢

・竹の鋸

・ファラリスの雄牛

・鉄の処女

・その他なんやかんや


とりあえず体育倉庫チームへの制裁前編は終了です。

拷問器具の説明及び後編は土日に更新予定。

乞うご期待!!



と言いたい所ですがあんまりハードル上げるとあれなのでほどほどに楽しみにしていて下さい(笑)


リクエストありがとうございました♪

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