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ふむ、どうやら私は嫌われトリップをしたようだ(連載版)  作者: 東稔 雨紗霧


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エピローグです。

 少女が婚約者にキスをされ真っ赤になったところで歓声が上がった。

 中には口笛を鳴らす者もいる。



 そして彼女のモノローグが終わり、今まで少女の様子を映していた上も下も横も何もかもが真っ白い空間に空いた大きな穴にエンドロールが流れ始めると割れんばかりの拍手が起こった。



 「いやぁ~今回は当たりだったな!!」

 「近年稀に見る見応えだった」

 「次回作に期待大」



 口々に褒めたたえる人たちが囲んでいるのは一人の少年。

 それは先ほどまで穴に写っていた少女神の使者を名乗った少年だった。



 「いえいえ、みなさんに楽しんでいただけたようで何よりです」

 「ご謙遜を、まさか記憶を保持させて2回転生させるとは。いやはや、1回や100回の転生なら今までもありましたが2回でああ料理するとは誰も思いつきませんでしたよ。

 素晴らしい!私が次にやる時に真似させて貰います!」

 「はっはっはっは、そんなそんな」

 (パクろうとすんじゃねーよ、そんなんだから中級監督神ちゅうきゅうかんとくしんにもなれねーんだろうが)



 目の前で堂々とパクる宣言を受けた少年は和やかに笑いつつも心の中で毒づく。



 人々の魂を管理する神々の間ではあるブームが起きていた。

 それは転生した人間の波乱万丈な人生をドラマの様にして放送すること。

 魂を管理する神にはその魂を持つ者の人生の流れをある程度は知ることができる。

 そこにちょっとした方向性を加え、面白可笑しく仕立て上げるのだ。

 ドラマを作る神には監督神と言う称号が与えられ、それには下級、中級、上級、神級とランクがある。

 神級になった神はご褒美として神格を上げて貰えると言った特典がついてくる。

 過去に神級監督神になった者たちの管理した魂の例を挙げていくと、ベートーベン、エジソン、ジャンヌ・ダルク、グラハム・ベル、ライト兄弟、キュリー夫人、芥川龍之介、アンネ・フランク、ヘレンケラーと言った歴史上の偉人が数多く連なっている。

 グラハム・ベルを管理した神は他にもイライシャ・グレイと言う魂を管理してどちらが先に電話を作るか等と競わせていた。

 その画期的な方法は神界に一大センセーションを巻き起こし、彼は今では同時監督の神と称えられている。

 その神は他にもライト兄弟と二宮忠八と言う魂を管理してどちらが先に空を飛ぶか等と競わせていた。

 ライト兄弟に先を越された二宮忠八が自身の手で飛行機の機材をめちゃくちゃに壊したシーンは涙ながらには見れないと絶賛されている。



 少年は中級監督神だ。

 彼の目的は言わずもがな神級監督神となって神格をあげること。



 魂は方向性を与えたからと言っても必ずしも魂が自分の思う通りに動いてくれるとは限らない。

 自分の予想外の動きをする事もしばしばだ。

 それを面白可笑しく編集するのも監督神の腕の見せ所だ。


 羽崎明によって殺された二人の魂を見た時、少年はこれだと思った。

 最初は同時監督の神の様に二人を何かで競わせようと思ったが片方の少女の魂を見て復讐物にした方が面白そうだと気が変わった。

 ある程度の経験値を積ませてからワザと羽崎明を乱入させる。

 予想通りの動きを羽崎明はしてくれた、彼女の様な魂はやり易くて助かる。



 本当は事故死させる予定だった少女が過労で死ぬのは予想外だったがそれはそれで有りだと軌道修正する。

 転生した少女に再び接触を図り、彼女の親友をダシにして羽崎明を痛めつけるように指示をした。

 少女に婚約者も転生させろと言われたのも予想外だったがやはりそれもそれで有りだと承諾した。

 この少年の容姿を利用して魂の管理の甘いおっちょこちょいな神からの使者を演じるのは容易かった。

 助言通りボイスレコーダーと隠しカメラを用意してくれた彼女のお陰で編集もスムーズにできた。

 そうして、要望通りかそれ以上の働きを見せてくれた少女のお話しは幕を閉じる。



 何度も羽崎明によって人生をめちゃくちゃにさせてからの復讐劇は何とも面白かった。


周りにいる神に笑みを振りまきながら、次はどんなお話を作ろうかと少年は考えるのであった。


後は番外編をちょこちょこ投稿します。

変態のお話しとか刑期を終え、無人島に言った人の末路とか。

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