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ふむ、どうやら私は嫌われトリップをしたようだ(連載版)  作者: 東稔 雨紗霧


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手直し完了しました。

 そして迎えた現生徒会リコール当日。


 この日は、現生徒会による緊急朝礼が開かれた。

 その内容は教師にも知らされていないとか。

 

 緊急朝礼は生徒会役員全員の判が無ければ開く事が出来ない。

 だとしたら一体何の為に開いたのだろうか?


 あいつらの行動パターン的に全校生徒の前でありもしない事で私を吊し上げ………とかの可能性もある。

 もしそうなのだとしたら面白いのだが。

 何が起こるのか分からないがとても面白い事だろうとは予想できる。



 生徒は、自分の椅子を持って体育館へと向かう。

 ちなみに私は体育館のパイプ椅子を使う事になった。

 何故か。

 椅子を持ち上げようと背もたれに手をかけたところ、根本からすっぽ抜けたからだ。

 感覚としては畑に埋まっていた大根を引き抜いたのと同じだ。



 今日は珍しく嫌がらせが無いなと思ったら予想外の仕掛けが施されていた。

 流石に最初は頭の理解が追い付かなくてポカーンとしてしまった。


 最近はネタが尽きてきたのか机に落書きや椅子に画ビョウと似たような手口ばかりだったのだが今回のは中々意表を突いた物だったと思う。

 我に返った時には爆笑してしまったがな。

 中々笑いのツボを押さえている仕掛人である。

 まぁ、これはもう嫌がらせと言うよりもドッキリの部類に入りそうだが。


 ネタに困って来たのならいい加減止めれば良いのに根性があると言うか何と言うか。

 その根性を別のところに使えば必ず何か成し遂げられそうな気がするのになんという労力の無駄かと言いたい。





 生徒たちが全員入り終わったところで、最後に生徒会役員が入場してきた。

 それに伴い、ざわめいていた体育館内が静かになる。


 生徒会役員たちはそのまま舞台に上がり、向かって左側に並べられている椅子に座った。


 ん?あそこにいるのは羽崎さんか?


 生徒会役員ではない彼女が何故あそこに?

 と一瞬疑問に思ったが、直ぐに逆ハー、生徒会ときたらあれかと大体予想ができた。

 ああ、やはり私の予想通りとても面白いことになりそうだ。

 ワクワクしてしまう。


 生徒会長がマイクの前に立つ。


 「本日は急な朝礼を開いてすまない。

 実はみんなの耳に早急に入れたい事案が発覚した。

 だが、それは一先ず置いといてまずは新役員を紹介する。明」


 生徒会長の呼びかけで羽崎さんが椅子から立ち上がり、生徒会長の横に立った。


 「今日から彼女、羽崎明が我らが生徒会に入ることになった。

 役職は生徒会補佐。

 今までは生徒会役員に女性はいなかったが、彼女が入ったことにより女性ならではの観点からの指摘や問題改善により、みんなのより良い学校生活向上に貢献できると思っている。

 温かく迎えてやってくれ」


 生徒会長が一歩横にズレ、羽崎さんがマイクの前に立った。


 「ただいまご紹介に預かった羽崎明です!

 えっとぉ、私に何ができるかは分かりませんがみんなのために一生懸命頑張ります!

 応援、お願いしますね?」


 彼女の言葉に拍手が沸き起こった。


 私は内心、

 『けっ、なーにが生徒会補佐だよ。

 て言うか補佐付ける程の仕事をこなしているのか?

 補佐付ける前にちゃんと仕事しろよ。

 要するに羽崎さんの逆ハールーム設立のご案内だろうが』

 と言った感じだ。



 周りを見ると積極的に拍手をしている人は意外と少なく、何となくなあなあと拍手している人が多い。

 この辺り日本人の特性をよく表していると思う。

 とりあえず周りに合わせて手を適当に叩き合わせる。



 羽崎さんはニコニコと笑って手を振ると椅子に戻る。

 生徒会長はでれでれとした顔でそれを見送った後、一つ咳払いしてからマイクに向き直った。


 「では、用件が終わったところで本題に入ろう。

 今日は何やら図書委員長である黒魅鳥(くろみとり)からみんなに伝えたい事があるそうだ。

 黒魅鳥」

 「はい」


 生徒会長が椅子へと戻り、代わりに図書委員がマイクの前に立った。

 数度、咳払いをしてから口を開く。


 「……本日は予定にない急な生徒朝礼をすまない。

 だが、それほどまでに重大な内容だ。

 心して聞いてほしい」


 ふむ。

 リコールの宣言をここでするのだろうか?

 だとしたら中々に乙なタイミングだと思う。


 羽崎さんの就任の挨拶の直ぐ後にリコール宣言。

 今までのどの歴代総理大臣よりも早い離任だな。


 なんてわくわく、そわそわしながら呑気に考えていた私だが、その考えは図書委員長の次の言葉で吹っ飛んだ。





 「………実は他人の弱味を握り、そのネタで脅迫して言うことを聞かせるという凶悪な事件が我が校で起こっていることが発覚した。

 被害者は二年の男子生徒。

 彼は自分の弱味が公に露見されるにも関わらずこのことを生徒会に相談してくれた。

 彼の勇気に心からの敬意を。

 さて、この凶悪な事件についてどう思う?

 なぁ………」


 図書委員長は一回間を置いて溜めてからその名を、私の名を口にした。







 このタイミングで名を呼ばれる=私が犯人だと言っているようなものだ。

 意味アリ気に名を呼ばれた私へと周囲の人間が一斉に視線を向けた。

 敵意、好奇心、嫌悪、不安、様々な感情が入り交じった視線に晒される。


 ステージでは羽崎さんがざまあみろとでも言うように心底愉快そうな表情で此方を眺めていた。


図書委員長はじっと私を見つめている。








 あぁ、なるほど。

 そういうことか。









 スウッと胸の内の何かが冷めたような気がした。

 それと同時に激しい衝動が沸き上がる。

 上がりそうな口角を必死に抑え、ますます事態が面白くなりそうな予感に私の胸は高鳴った。








 「もう一度聞こう。

 どう思う?」


 マイクが回されて来たので図書委員長の問い掛けに私は立ち上がり、頬に手を当て眉を潜めながら答える。


 「とても痛ましい事件ですね。

 是非とも生徒会の方々には何とか解決して欲しい物です」

 「そうだな。

 俺たちも何とかしたいと思っている」

 「そうですか。

 頑張って下さい」

 「ちょっとぉ!!

 惚けないでさっさと白状しなさいよっ!!!」


 図書委員長と話していると何処かからかマイクを入手していた羽崎さんがその場に立ち上がり、私を指差しながら仁王立ちで叫んだ。


 私は羽崎さんの言葉に小首を傾げながら答える。


 「白状……ですか?

 すみません、一体何のことなのかおっしゃっている意味が分かりません」

 「しらばっくれたって無駄なんだから。

 全部優夜君が調べ上げたのよ!

 ほら、言い訳するなら今のうちに聞いて上げるから言ってみなさいよ」


 腰に手を当て、ふふんっと勝ち誇った笑みを浮かべる羽崎さん。


 あぁ、可笑しい。

 何て愚かで可愛らしいんだろうか。


 思わず羽崎さんを微笑ましく思ってしまうがそんな内心を微塵も出さずあくまでもシラを切る。


 「言い訳、ですか?

 まるでこの事件の犯人が私の様に話すんですね?」

 「まるでも何もあんたが犯人じゃない。

 こっちには証人がいるんだからね。

 素直に認めなさいよ」

 「いいえ、認めません。

 先ほど言い訳と言いましたが、言いたい事と言うか聞きたい事ならありますね。

 まず、あなた方が言うその私に脅迫されたと言う哀れな被害者は本当に存在するのですか?

 あなた方が用意したでっち上げの被害者と言う可能性は?

 でっち上げの被害者ではないと言う証明はできますか?

 そしてもし、その被害者が存在するのなら被害者が言うことが本当だと言うことをあなた方は証明できるのですか?

 もし、その被害者が私に何か恨みを持っていてそれを晴らすためにわざとその様な事をあなた方に言った可能性は否定できますか?」


 脅迫の部分に心当たりが無いわけでは無いがその被害者とやらが何処の誰か分からない今、それを出しては墓穴を掘る可能性がある。

 ならばここは知らないフリをするのが得策だと言うものだ。


 立て板に水の如く反論を返すと羽崎さんは顔を歪めた。


 「ペラペラと良く口が回るのね。

 証人があんたが脅迫してきたって証言してるのよ?!」

 「では、その証人とその証言が真実だと証明して下さい」

 「ヤダ。

 何んであんた何かに証明しないといけないのよ」

 「私のためだけではありませんよ?」


 私がわざとらしく周りを見渡すと羽崎さんもそれにつられるようにしてステージから周りを見渡した。

 生徒のみんなは、私ではなく羽崎さんの方をじっと見ていた。

 その目に浮かぶは好意の他に疑惑と好奇心。


 確かに、私が言った事はちょっと考えれば誰しもが直ぐに考えつく屁理屈だ。

 でも、別に私の言葉は間違ってはいないのだ。

 ただ、考えついても誰も口にしないだけな上にちょっとばかし証明が難しいだけ。


 証人と言う存在の意義を根本から覆す反則技的な質問。

 これは弁論において最強の防御と言えるが同時に諸刃の剣とも言える。

 何故なら、証拠を出されて証人の正統性が証明されると途端にこちらが追い詰められてしまうからだ。


 半ば賭けに近いこのやり取り。

 さて、吉と出るか凶とでるか。


 私と羽崎さん。

 両者一歩も譲らず互いに睨み合う。

 そして………。


 「良いからさっさと認めなさいよ!!

 あんたが認めれば全て丸く収まるんだから!!」


 悔し気に叫ぶ羽崎さん。

 それは私が賭けに勝った瞬間でもあった。


 それにしても、証人云々に関しては以前も生徒会室でやったのだが全然成長していなかったようだ。

 まぁ、私にとっては大助かりなのだが。



 「私が認めれば全て丸く収まる?

 なるほど、つまりは事態収集の為になんの証拠も無い上に無実の私にスケープゴートになれと言っているのですね?

 生徒会役員補佐としてそれはどうかと思いますよ?」

 「っ………!

 あ、あたしは別にそんな訳じゃ…………!」


 私の言葉にうろたえる羽崎さん。

 おや、スケープゴートが通じるとは思わなかった。

 流石にそこまで馬鹿ではなかったのか。



 「はい、そこまで」


 パンパンと手を打ちならし図書委員長が私と羽崎さんの間に立った。


 「証人の正統性に付いては俺と後で個人的ゆっくり議論することにしようか。

 主に図書室で」

 「お断りします。

 …………どうせならそんなところでは無く生徒の前で証明して下さい」


 おっと。

 図書室で、の辺りでついつい反射的に拒否の言葉が出てしまった。

 断ったのは(やま)しい事があるからだと言われないためにフォローはしたが図書委員長の不満そうな顔が大変不愉快だ。





 「ふんっ。

 と・に・か・く!

 優夜君の調査にケチをつけないでよ!

 優夜君はわ・た・し・のために調査してくれたのよ。

 それなのにそれを疑うだなんて信じらんない!」


 羽崎さんが図書委員長を押し退けてそう叫んだ。

 私的に信じらんないのは羽崎さんの脳内お花畑状態なのだが。


 とりあえず羽崎さんのお花畑は置いといて気になった事を質問する。


 「羽崎さんのため?」


 私の質問にふふんと優越感を露にした表情で羽崎さんは答えてくれた。


 「私が頼んだら優夜君は

 『君の悩みを何とかしてあげよう』

 って言ってくれたのよ。

 それで貴女を調べてくれたってわけ。

 今は貴女の仲間を調べているらしいわ」

 「あぁ、なるほど」

 「君、あまり余計な口を開かないで下さい」

 「はぁーい、ごめんなさーい」


 羽崎さんのお陰で図書委員長に対する疑問が解けた。


 私が図書委員長に抱いていた疑問は二つ。


 まず一つ目。

 何故、私を生徒会へと誘ったのか。

 リコールするのかは今となっては分からないが、リコールしたとして私を新生徒会に入れるのはリスクが高すぎる。

 私は羽崎さんを傷付けた嫌われ者だ。

 例えば野球でもサッカーでも何にしても、嫌いな奴が所属しているチームを応援したいと思うか?

 私はしたくない。


 民あっての王ならぬ生徒あっての生徒会。

 全校生徒に嫌われている私を所属させると色々不具合が生じるだろう。

 例え、私の働きで認めさせるとは言ってもそれでは時間がかかる。

 よく言われるが人の信用を得るのは難しく無くすのは一瞬だ。


 それならばそんな労力をかけるより全く新しい人物を入れて人材の育成に努めた方が遥かに有益だと私は思う。



 疑問二つ目。

 何故、学校で孤立していると言っても良い私にこっそり署名を集める仕事を任せたのか。


 あくまでも私の持論だが普通そう言うのは何処にでもいそうな平凡顔で友達は程々にいて、だけど地味と言う訳でもない可もなく不可もない、いわゆるモブと言う言葉が似合う人物が集めるのが適していると思う。


 何故なら何処にでもいそうな外形と性格を持つ人物なら余程目立つ事をしなければ大抵は日常のヒトコマと認識され、さして記憶には残らないからだ。

 まぁ、つまりは何が言いたいかと言うと決して私のような悪名名高い目立つ人物に任せる役割ではないと言うこと。

 生徒会役員にバレないようこっそり署名を集めたいのなら尚更だ。


 推測だが、恐らくこれは私の仲間を割り出す為の仕事だったのだろう。

 友達のいない私に署名集めを頼んでも、悪名高い私の為に署名してくれる人なんてそうそういない。

 そこで、仕方なく頼み易い仲間に署名をして貰うはず、とでも考えたのだろう。

 まぁ、その目論見は私が全校生徒中の4分の3の署名を集めたため失敗に終わった様だが。

 署名を集めていた人を探す、と言う手を使ったかも知れないが単に『これにサインをするように』と紙を回しただけなので特定するのは難しいだろう。

 一番上に書いた人物が何か知っていると探られても大丈夫なように敢えて署名する順番はバラバラだが署名する位置は出席番号順にした。


 つまりは仲間を特定するのは困難と言う訳だ。


 「一先ず、この件に関しては今現在貴女を満足させる回答はない。

 よって保留とさせてもらうので座って頂いて構わない。

 明も座るんだ」

 「はぁーい」


 図書委員長の言葉に素直に従い椅子に腰を下ろした。

 深いため息が口から溢れる。







 分かってた。

 分かってはいたんだ。

 だが、やはりいざこうなるとくるものがあると言うか。









 「では、次の案件」


 図書委員長は紙束を取り出しすと後ろを向きそれを生徒会長たちに叩きつけた。


 「私、図書委員長こと黒魅鳥優夜は。

 第百回期生徒会に対してリコールを行なうことをここに宣言する。

 既に規定の全体3分の2を超え、全体の4分の3までの署名は集め終わっている。

 たった今からあなた方は生徒会役員でも何でも無いただの一般生徒。

 後は仕事を引き継いで生徒会室から君たちの私物を撤去するだけだ」

 「………え?」

 「「「「「「「……………は?」」」」」」」


 突然の図書委員長によるリコール宣言。

 羽崎さんと生徒会役員たちは一瞬何を言われたのか理解出来なかったようで呆けた反応をした。


 そしてその言葉の意味を理解した時、反応は様々だった。


 「……優…夜、君?」

 「なっ……!」

 「……一体、どういう事ですか!?」

 「黒魅鳥ぃ……あんま舐めたこと言ってると締め上げるぞ」

 「……説明」

 「「リコール?」」

 「やれやれ、どうゆうことかな、優夜?」


 

 状況が飲み込めず、相変わらず惚けている羽崎さん。

 絶句する生徒会長。

 驚愕し、説明を求める副会長。

 図書委員長に詰め寄る赤髪ヤンキー。

 一言だけ呟いた銀髪無表情。

 リコールと言う言葉に首を傾げる双子。

 冷静に微笑みながら説明を求める保健委員長。


 図書委員長は冷静に彼らを見つめて口を開く。


 「説明も何も今言った通りです。

 宣言したたった今からあなた方から生徒会役員権限を剥奪し、ただの一般生徒になって貰う。

 この朝礼が終わり次第直ぐに生徒会室からの撤退を始めるように。

 これは新生徒会長からの命令だ」

 「新生徒会長、だと……?!」


 生徒会長が図書委員長に詰め寄り、胸元をつかみ上げた。


 「黒魅鳥、こんなことが許されると思っているのか!?」

 「許されるも何も既に完了したことだ。

 君たちには既に生徒会役員でも何でも無くなった。

 直ぐにステージからも下りるように。

 今から新生徒会役員を紹介しなければいけないんでな」


 図書委員長に詰め寄り、くいっと眼鏡を上げながら副会長が言った。


 「………リコールの条件は二つ。

 一つは先ほど黒魅鳥君が言ったように署名を全体の3分の2集めること。

 そしてもう一つは現生徒会がリコールされるべきであると言う理由をきちんとはっきりと証明すること。

 今、黒魅鳥君はこの前者しか満たしていない。

 よってこのリコールは成立しない」

 「……………本気で言っているのか、金那鳥(かなとり)


 図書委員長は生徒会長が掴んでいた胸元の手を払い退ける。


 「ここで大人しく引き下がってくれるのならお前たちの名誉のためにそのままにしようと思っていたんだが………。

 そうか、そうまでして恥を晒したいのなら存分に晒せばいい。

 来い、」


 図書委員長は真っ直ぐ私を見据えて名を呼んだ。


 「はい」




 分かってた。

 分かってはいたんだ。

 だが、やはりいざこうなるとくるものがあると言うか。




 まさかあの図書委員長に落ち着けと諭されるなんてな。

 ちょっとショックだ。




 先ほどの強迫事件のタイミングで私の名を呼ばれた時。

 多くの人が私が犯人だと言っていると勘違いしただろう。

 だが、それは違う。


 図書委員長はただ、余りにもワクワクし過ぎて落ち着きが無かったであろう私を冷静にしたかっただけだ。


 私自身は落ち着いているつもりだったのだが、やはり見る人が見ればそんなに落ち着きが無かったのだろうか。

 あの時、図書委員長に名前を呼ばれてハッと我に返ったのだから我ながら情けない。

 まぁ、私は遠足の前日にワクワクして中々寝付けないタイプだし仕方がないっちゃあ仕方がないが。


 生徒の間をすり抜けてステージへと向かう。


 ちなみに、こう見えて私は本番には強いタイプだ。

 今までこの瞬間を楽しみにしてきた。


 徹底的に完膚無きまでに叩き潰させて貰おうか。


 生徒の間をすり抜け様に仲間の一人から茶封筒を受け取り、階段へと足をかける。





 そして私を見つめている元生徒会役員たちに向かってキザったらしく制服のスカートを詰まんで綺麗に一礼してみせ、私に出来る最高の笑みで微笑んだ。



 「ご紹介に預かりました。

 では、只今からあなた方の生き恥を晒させて貰いますね?」









 さぁ、幕は上がった。

 後は破滅するだけだ。



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