相談相手 【月夜譚No.413】
部屋中に並べた服に頭を抱える。
清楚にワンピースが良いか、それともカジュアルなパンツスタイルにするか。はたまた、少しきっちりとした制服風のブラウスも捨て難い。
デートの日には、まだ一週間ある。しかし、それまでに着ていく服を決められる気がしないから、彼女は今、クローゼットの中を引っ繰り返しているのだ。だというのに、思った以上に悩ましい状況である。
(……そもそも、どんな服装が好きとか知らないし)
彼と付き合い始めて、一週間。学校では友人としてそれなりに相対してきたつもりだが、よくよく考えてみればこういった好みを知らなかった。
付き合って初めてのデート。服装を間違えて変な思い出にしたくはない。
部屋の真ん中で唸っていると、扉の隙間から飼い猫がするりと入り込んできた。
「あ、ちょっと、今服広げてるから――」
毛がつくといけないと思って抱き上げようとしたが、猫はベッド前にあったセーラー風のワンピースの上で丸くなってしまった。
「……それが良いかな?」
「にゃん」
傍にしゃがんで思わず尋ねるように呟くと、猫が短く声を上げる。
彼女は仕方ないと口元に笑みを浮かべ、他の服を畳み始めた。後で一度洗濯をしておこうと算段する彼女の後ろで、猫は大きな欠伸をした。




