第9話 魔物の爪の洗礼
エアハルトとエルメンヒルトは、ケルベロスの群れに襲われる。エアハルトとエルメンヒルトは、一撃でケルベロスを倒していく。この階層ではケルベロスは最弱の部類になる。
群れを全滅させると岩の割れ目に入って休息する。2人は交代で短い睡眠時間を取る。すでに防具は魔物の返り血で赤黒くなっている。エルメンヒルトは自分が汗臭くないか気にする。
2人は休息後、細い道を進むと広い空間に出る。そして空間の反対側に上り坂の道が見える。エアハルトとエルメンヒルトは絶望的な気持ちになる。
広い空間には赤銅色の大きなトカゲの魔物が50匹以上いる。2人の実力で突破は自殺するようなものだ。エアハルトがエルに言う。
「エル、僕と死んでくれ。」「エアハルトはここを突破するのね。」
「僕たちが生きて帰るにはここしかないよ。」「行くわよ。」
エアハルトとエルメンヒルトは俊足を使って赤銅色の魔物たちに突っ込んで行く。2人は太い首を狙わず、手足を狙う。気がつくことが遅れた魔物が斬撃を受けて倒れる。
魔物たちが気づいた時にはエアハルトとエルメンヒルトは広い空間の中央まで進んでいる。魔物たちが2人を襲い始める。エアハルトを鋭い爪が襲う。かわし切れずに右肩を切られる。
だがエアハルトは止まらず、反対側の上り坂を目指す。エルメンヒルトも魔物が鋭い爪を振るう、加速してかわすが背中をざっくり切られる。
彼らに魔物の爪を剣で受け止める時間はない。エアハルトもエルメンヒルトも魔物たちの鋭い爪の洗礼を受け続ける。止まったら終わりだ。
2人は引き裂かれて血だらけになりながら上り坂にたどり着く。なぜか赤銅色の魔物は追ってこない。
エアハルトとエルメンヒルトは魔物が追ってこないことを確認すると立ち止まって、回復ポーションを飲む。上り坂を上がると出口にはベヒモスが陣取っている。
赤銅色の魔物はベヒモスを警戒して追ってこなかったのだ。
ベヒモスが口を開けると威嚇する声の代わりに炎が噴き出す。エルメンヒルトが魔力障壁を作って炎を防ぐ、エアハルトが炎の中を突っ切ってベヒモスに切りかかる。
するとベヒモスは右前足の爪でエアハルトを切り裂こうとする。エアハルトは剣で受け止めるが巨体で押されてつぶされそうになる。
エルメンヒルトがベヒモスの前で跳躍してベヒモスの左目に剣を突き立てる。ベヒモスはひるんで後退する。エアハルトとエルメンヒルトはその隙に岩陰に隠れる。
「ダンジョンは私たちを生かして返さないつもりよ。」「ダンジョンは弱みを見せるとつぶしに来るんだ。生きて出られるのは最後まであがいた者だけだよ。」
「エアハルト、ベヒモスをどうする。」「僕にはアンチマジックの効果で魔法が通用しないから僕が突っ込むよ。」
「でも、あの巨体よ。」「ベヒモスが僕に集中している時に攻撃して。」「分かった。」
エアハルトが岩陰から飛び出してベヒモスに向かって行く。ベヒモスの周りの空間に魔法陣が浮かび上がる。魔法陣から氷の槍が打ち出される。
エアハルトの氷の槍の雨が襲い掛かる。しかし、エアハルトに効果がない。ベヒモスに近づくと加速する。一瞬のことでベヒモスがエアハルトを見失う。
ベヒモスの下に入り込むと跳躍して腹に一閃する。多量の血が流れ出す。さらに右前足に斬撃を加える。ベヒモスは左前足でエアハルトをつぶそうとする。
この瞬間、エルメンヒルトが残った右目に剣を突き立てる。両目を失ったベヒモスは多量の魔法陣を空間に浮かび上がらせて氷の槍を通路全体に振らせる。
エルメンヒルトは魔力障壁を作りだし氷の槍を防ぐ。エアハルトはベヒモスの喉を切り裂く。ベヒモスは動きを止めるが魔法陣は消えない。このままでは魔力障壁が持たない。
エアハルトは、ベヒモスの心臓めがけて剣を突入れる。ようやく魔法陣は消える。ベヒモスは地面吸い込まれるように消えていく。
アロイスたちは33階層に進んでいた。2匹のベヒモスが現れ、襲って来る。アルノーは俊足を使って飛び出す。ベヒモスが魔法を使う前に取りつくつもりだ。
アルノーに続いてアロイス、デニス、ディータ、カールも走り出す。エゴンとクヌートは攻撃魔法を詠唱し始める。アルノーは跳躍するとベヒモスの眉間に炎をまとった剣を突き立てる。
ベヒモスは苦しみながら暴れる。アルノーは剣を握って振り落とされないように耐える。もう1匹のベヒモスにはアロイスたちが立ち向かう。アロイスがけん制してデニスが電撃をまとった槍をベヒモスの腹に突き入れる。
アルノーと戦ったベヒモスは倒れて動かなくなる。そして、地面に吸い込まれるように消えていく。そう1匹のベヒモスはディータが右前足を切り裂き、カールが左後足を切り裂く。
アルマが叫ぶ。
「離れろ!魔法攻撃が行くぞ!」
エゴンがファイヤーボールを作りだし、クヌートが風の渦を作りだして、炎の渦、火災旋風を起こす。ベヒモスは火災旋風の中で焼かれる。後には黒焦げになったベヒモスが残る。
ベヒモスは地面に吸われるように消えていく。残った魔石を回収しながらアルマが言う。
「アロイス、そろそろ引き返した方がいい。ポーションが足りなくなるぞ。」「分かった。今日はここまでにしよう。」
アロイスたちはベースのある31階層に引き返す。




