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第7話 ダンジョン・クレバス

 アルノーとアロイスはアルマが泣き止んで落ち着くまで待つ。地面の裂け目には、デニスとエゴン、クヌートが調べている。

 カミルがすぐにもロープで降りようとしたがみんなが止める。裂け目の中には何があるのかわからないのだ。

 アルマが落ち着くとアロイスが質問する。

 「地面の裂け目のことを知っていたのか。」「ああ、イーリスクランの報告書を調べていて出ていたんだ。」

 「あの裂け目は何なんだ。」「ダンジョン・クレバスと呼ばれている。」

 「エアハルトとエルメンヒルトは大丈夫なのか。」「・・・・・」

 「どうした。」「ダンジョン・クレバスには2回イーリスクランのメンバーが落ちでいるが助かった者はいない。」

 「ロープで降りられるか。」「記録ではロープで降りられる深さではないよ。」

 「何とかしたい。」「イーリスクランも手を尽くしたがダメだった。」

アルマが両手を握りしめる。アロイスは何とかしたいが良い案は浮かばない。アルマーが決断したようにいう。

 「エアハルトとエルメンヒルトのことは諦めましょう。私たちは35階層を目指します。」「見捨てるのか。2人がいなくて35階層に行けると思っているのか。」

 「私は2人を信じています。2人は深い階層に落ちたのでしょう。」「だから、35階層に行くのか。」

 「はい、生きていれば35階層を目指すはずです。」「今はそれしかないか。」

 「アロイス、アルノー、俺はどうしたらいい。」「やれることをするだけです。リタイヤは認めませんよ。」

 「・・・分かった。」「ダンジョン・クレバスは31階層だけですか。」

 「32階層にもあるが事前に知ることが出来ない。」「厄介ですね。」

アロイスが案を出す。

 「地面をたたきながら進むか。」「魔物を相手にしながらでは無理です。」

アルノーはアロイスの案を即却下する。

 エアハルトは意識が戻ると自分が地面の裂け目に落ちたことを思い出す。体中が痛む。右手はエルメンヒルトの手を掴んでいた。

 「エル、大丈夫。」「・・・・・」

返事がない。でもエルの手は温かい。もう一度、声をかける。

 「エル、起きて。」「・・・うぅぅん」

エルの声にエアハルトは少し安心する。そして状況を確認する。自分たちは岩に挟まれた狭い空間にいる。上を見るが狭い空間が続いていてどのくらい落ちてきたのかわからない。

 自分たちに命があることが奇跡に思える。2人から少し離れた所に白骨化した死体がある。防具をつけていることから冒険者の死体だ。一歩間違えていれば僕たちもこうなっていたのだ。

 エアハルトは大声を出してアロイスたちに無事を伝えたかったがやめておく、ここは深層の何階層かもわからない。大声を出せば魔物を呼ぶことになるだろう。

 とんでもない化け物かもしれないのだ。できるだけ魔物との遭遇は避けたい。

 こうしているうちにエルが目を覚ます。

 「体中が痛いわ。どうなっているの。」「僕たちは地面の裂け目の中に落ちてきたんだ。」

 「良く生きていたわね。」「ああ、もしかしたら、あの死体のようになっていたかもしれない。」

 「私たち運が良かったのね。」「まだわからないよ。ここが何階層かわからないよ。」

 「体は大丈夫。」「体中痛いけど、大丈夫だよ。」

 「装備を確認して。」「僕は異常ないよ。」

 「私も異常ないわ。」「死体から冒険者プレートを回収しないと。」

 「装備も確認するわよ。」「ちょっと死体から装備を取るつもり。」

 「ここは深層よ。最低でも35階層まで登らないと助からないわ。」「分かっているけど・・・」

 「私がやるわ。」「エルだけにさせられないよ。」

2人は死体の装備から、剣と短剣を予備としてもらう。さらに回復ポーションを見つける。古いかもしれないが多い方が良いと考える。エアハルトが死体に言う。

 「ごめんなさい。冒険者プレートを届けるから許してください。」「エアハルト、これから厳しくなるのよ。甘いことは言わないで。」

 「エルだって気持ちは一緒だろ。」「そうだけど、私は謝らないわよ。」

エルは割目を先に進む。エアハルトは魔物に気をつけながらエルについて行く。しばらく進むと割目は終わり、開けたところになる。エルは外の様子をうかがう。

 そして、瑠璃色の大きなトカゲのような魔物を見つける。エルの顔から血の気が引いて行く。エアハルトも魔物を見る。

 「あれ、グリムよ。どうする。」「グリムとは限らないよ。でも気をつけた方がいいよ。」

エアハルトとエルメンヒルトは様子をうかがう。2人は魔物が1匹だけであることを確認して戦うことを選ぶ。

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