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第3話 遠征準備

 アルノーがセクメト・クランのメンバーを集めて言う。

 「遠征をしようと思います。目標は35階層です。」「イーリスクランの34階層を越えるのか。」

 「はい、これからはイーリスクランと競争になります。」「本当に一流クランの仲間入りだな。」

 「いいえ、ゴルドベルク最高のクランになります。」「いいな、やろうぜ。」

エアハルトたちは遠征の計画を練り始める。しかし、エアハルトはベアトリスのことが気になって身が入っていない。エルメンヒルトは気づいていたが黙っている。

 注意してもどうかなる問題ではないのだ。解決できるのはエアハルトだけである。

 メンバーはみんな、防具と武器をフィンの所で新調している。フィンはカミオ工房の看板を上げて仕事を始めている。

 セクメト・クランがフィンの装備を使用していることで客も増えてきた。

 遠征に向けて、アルマとカミルが忙しく動き始める。特にアルマはダンジョンの新しい情報を調べている。

 今回は15階層で1泊して2日目に28階層まで行って2泊目を過ごして、3日目に31階層にベースを設営して、35階層にアタックすることになる。

 この計画での問題は26階層にグリムが出現するかどうかである。グリムが出現すれば、2日目に28階層に行くことは難しくなる。そのため、装備は多めになる。

 グリムのことは魔石を含めて冒険者ギルドで調査しているが結果は出ていない。アルノーは異常種ではないかと推測している。

 26階層にはいくつかのクランが踏破しており、イーリスクランやアウロラクランにとっては通過点に過ぎない場所だからである。グリムが以前からいたとすればもっと前に遭遇しているはずである。

 そのため、アルノー自身はグリムの出現はないものと考えている。

 エアハルトは毎日稽古をしているが集中できていない。頭の中では切り替えないとだめだとわかっている。しかし、ベアトリスのことが頭から離れない。

 このままでは、自分が死ぬだけでなく、仲間に迷惑をかけかねない。遠征を辞退した方がいいだろうか。

 エルメンヒルトがエアハルトをダンジョンに誘う。

 「明日、ダンジョンに潜りましょ。5階層くらいがいいかしら。」「待って、今、僕は集中できていない。エルに危険が及ぶかもしれないよ。」

 「見ていればわかるわ。潜ってダメだったら遠征から外れて。」「うん、ありがとう。」

翌朝、2人はギルドに行く。受付に行くとアメリーが言う。

 「2人で行くの。もしかしてエアハルト君、エルメンヒルトさんと付き合っているの。」「はい、エルは僕の彼女です。よくわかりましたね。」

アメリーが崩れ落ちる。あわててエリスが受付を代わる。

 エアハルトとエルメンヒルトは手続きを済ませて地下1階へ行く。エリスがアメリーに言う。

 「今日は帰った方がいいよ。今変わってもらうから。」「エアハルト君が、私のエアハルト君が・・・」

アメリーのショックは大きい。エアハルトはエルメンヒルトに言う。

 「アメリーさん、僕がエルと付き合っていること見抜いたね。僕たちそう見えるのかな。」「違うと思うわよ。からかうつもりが当たって、ショックを受けたのよ。」

 「とういえば体調悪そうだったね。無理して出勤しなくてもいいのに。」

エルメンヒルトはエアハルトが相変わらず鈍感だと思う。

 2人はレベル6であるため。魔物は全く脅威にならない。1階層、2階層と歩く速度を変えずにゴブリンやコボルトを切り裂いて行く。

 3階層のソードラビットの素早い動きもゆっくりとしたように見える。3階層のゴブリンキングも2人が同時にすれ違いざまに高速の打ち込みで胴の所で2つになる。

 エルメンヒルトはエアハルトに質問する。

 「どお、集中できている。」「うん、ダンジョンに入ったら切り替えができたよ。」

 「良かった。行けそうね。」「うん、エルのおかげだよ。」

エルメンヒルトが赤くなる。エアハルトはそんなエルがかわいいと思う。

 2人は5階層まで攻略してダンジョンを出る。まだ、昼前にダンジョン攻略が終わる。2人は街に出て食事をして街を見て回る。

 デートなのだが冒険者の装備をしたままでそれらしくない。だが、楽しい時間を過ごす。エアハルトにとっては久しぶりの息抜きになる。

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