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第10話 試合の開始

 闘技場はトラの爪クランの冒険者が警備を担当している。トラの爪クランは冒険者ギルドの仕事の補助をすることも仕事の中に入っている。

 レフリーもトラの爪クランのレベル5の冒険者が務める。トラの爪クランではレベル6以上の冒険者がいないためレベル5の中で目の良い者が選抜された。

 アルフレートはレベル7、エアハルトはレベル5なのでかなり速い攻防が予想されるため、動きが見えない可能性があるのだ。

 試合開始30分前、控室にギルドの職員が入って来る。職員は試合のルールを読み上げて言う。

 「了承するなら、こちらの契約書にサインをお願いします。」「分かりました。」

エアハルトはためらうことなくサインを書く。その頃、アルフレートもサインをしていた。

 試合開始10分前、観客席は満席になり立ち見する者が大勢出ている。

 試合開始5分前、ギルド職員が呼びに来る。

 「お時間です。お願いします。」「さあ、行きますよ。」「はい。」

エアハルトはアルノーに付き添われて署員に闘技エリアの西の入り口に向かう。アルフレートはクルトに付き添われて東の入り口に向かう。

 双方が入り口に到着すると目が合う。100メートル離れているが高ランクの冒険者の目ははっきりと見通す。クルトがアルフレートに言う。

 「予想と違ったな。追い込まれていると思っていたが、あれはやる奴の目だ。」「そうでなければなりません。」

アフレートの目が喜びで満たされる。その目を見たエアハルトがアルノーに言う。

 「アルフレートさんは僕を獲物として狩るつもりですよ。」「ああ、あれは獲物を見つけて愉悦に浸る目ですね。」

 「僕は狩られるような弱い存在ではないと思い知らせてやります。」「最初から全力で行きなさい。」「はい。」

すでにエアハルトとアルフレートの戦いは始まっていた。試合開始の3分前、レフリーが大声で名を呼ぶ。

 「閃光のアルフレート!」

アルフレートが闘技エリアに入り中央へ進む。観客から歓声が上がる。

 「頑張れー」「ポンコツに負けるなよー」「信じているぞー」

レフリーがエアハルトを呼ぶ。

 「若きホープ、エアハルト!」

エアハルトも闘技エリアに入り中央へ進んで行く。観客から声が上がる。

 「何がホープだ。ポンコツー」「少しは粘れよー」「思いあがるなよー」

ほとんどの観客がアルフレートを応援し、少なからず金をかけていた。エアハルトに観客の罵声は耳に吐いていない。アルフレートを少しでも見逃さないように観察する。

 どちらかと言えば細身の体には全く無駄のない筋肉がついている。歩く姿にも全くぶれがない。体幹がすぐれている証拠だ。今日のために調整したのだろう、付け入る隙が無い。

 エアハルトとアルフレートは中央に来ると向かい合って立ち止まる。2人は見つめ合う。観客たちの歓声をよそに静かに立つ。

 試合開始時間正午になる。レフリーが号令を発する。

 「はじめ。」

エアハルトとアルフレートは同時に後ろに飛ぶ。2人は一度に5メートル近く飛ぶ。2人は剣を抜いて構える。12メートル位の距離が開いている。

 そこから距離を縮めはじめる。エアハルトとアルフレートは互いに間合いを計っている。俊足を生かした高速の打ち込みを仕掛けるタイミングを計る。

 ほぼ同時にエアハルトとアルフレートの姿が消える。次の瞬間、レフリーの前で火花が散り、エアハルトとアルフレートは姿を現す。

 レフリーは慌てて闘技エリアのふちに下がる。2人の動きが見えなかったのだ。観客たちが息を飲んで黙り込む。一撃で闘技場の全観客を黙らせるには十分だ。

 いつもは冷静で顔色を変えないアルフレートが目をかっぴらいて口から歯をむき出す。

 思った通りだエアハルトは強い。私が全力をぶつけられる相手だ。アルフレートは喜びに打ち震える。

 エアハルトは、アルフレートの強さに納得する。これがゴルドベルク最強なんだ。僕が越えないといけない壁だ。

 エアハルトとアルフレートは再び間合いを計り、打ち込む機会をうかがう。また、ほぼ同時に動く、エアハルトは真直ぐ剣を打ち込むがアルフレートは違っていた。

 剣筋を変化させ、同時に体を半身にしてエアハルトの剣をかわすという曲芸をする。2人が姿を現した時、アルフレートは立っていたがエアハルトは地面を転がって、血をまき散らす。

 レフリーがエアハルトの所に駆け付け様子を見る。エアハルトの防具の腹の部分が切り裂かれ血が流れ出している。致命傷だと判断したレフリーが試合続行不能と判断する。

 レフリーが中止の合図しようとするとレフリーの首に剣が突き付けられる。

 「アルフレート、何をするんだ。」「試合は続行だ。まだ、終わっていない。」

レフリーはアルフレートを見て青くなる。いつものアルフレートではなかった。そこには修羅が立っている。アルフレートが大声で言う。

 「エアハルト、さっさと起きないか。ぐずぐずするな。」「がっ・・・・はあ、はあ。」

エアハルトは息を吹き返すと腹のキズに回復ポーションをかけて止血する。そして、立ち上がる。

 アルフレートはエアハルトの目を見て満足する。彼の目はアルフレートを少しでも見逃さないように見ていた。


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