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第5話 訓練の開始

 エアハルトはセクメト・クランのメンバーをアングラートの食卓に集めてアルフレートとの試合のことを説明する。

 「僕はアルフレートさんと試合をすることになりました。試合までの間、アルノーさんとエルに訓練を付き合ってもらいます。」「俺たちも協力するぞ。」

アロイスが協力を申し出る。

 「アロイスさんは自分の仕事をお願いします。バッシュパーティーとグーゲルパーティーはその間、パーティーで動いてください。」「俺は何をするんだ。」

 「アルマは申し訳ないけど休んで。」「俺にも手伝わせろよ。」

 「ごめん、3人で大丈夫だから。」「分かった。34階層までの資料を調べておくよ。」

アルマは引き下がり、今後の深層の遠征に備えることにする。エアハルトの説明が終わるとエアハルトを応援する会と称して宴会が始まる。

 翌日、エアハルトはいつものように朝早く起きて稽古を始める。するとエルメンヒルトが来る。彼女も稽古を始める。

 エルメンヒルトがアンカーパーティーに参加してからは早朝の稽古は2人ですることが多い。エルメンヒルトがエアハルトに言う。

 「私で、アルフレートさんの代役を務まるかしら。」「それは、アルノーさんだって同じだよ。アルフレートさんはおそらくゴルドベルクで最速のはずだから。」

 「そうね。グリムを討伐できなかったけどアルフレートさんが弱いわけではないわ。」「うん、魔法を使わなくても僕よりはるかに強いように思うよ。」

 「弱音を吐くの。」「そんなことないよ。僕は何度も死線を越えてきたんだ。今度も生き残って見せるよ。」

 「まるで冒険ね。」「そうだね。本当はアルフレートさんと戦うことがうれしいと感じてる。」

エアハルトは笑顔を見せる。エルメンヒルトは、エアハルトは心も強くなっていると感じる。

 エアハルトとエルメンヒルトが朝食を取りに食堂に行くとベアトリスが2人に言う。

 「今日から訓練の開始ですね。エアハルトさんが強くなることを願ってますわ。」「ありがとう。」

ベアトリスは3人分の朝食を運んでくる。するとアルノーが食堂に入って来る。

 「2人ともよく眠れましたか。」「はい。」

 「厳しい訓練になるが頑張ってください。」「お願いします。」

3人は朝食を食べ終わると出かける。街の門を通って町の外に出ると道を外れて荒野の中の平地に行く。アルノーが説明する。

 「私もアルフレートと戦ったことはないが彼の武器は速さだ。高速移動して繰り出す剣撃に対応できないと勝ち目はありません。」「アルフレートさんは移動しながら魔物を切り裂いて行くわ。」

 「そこで、私とエルメンヒルトで交代しながら高速の剣撃を打ち込みますから受けてください。木剣でも打ち込まれるとただではすみませんよ。」「はい。」

エアハルトが木剣を構えるとアルノーが高速で移動しながらエアハルトに木剣を打ち込む。木剣で受けるが打ち込みが重い。態勢が崩れる。

 そこへエルメンヒルトの高速の打ち込みが来る。エアハルトは木剣で受けるがはじかれて転びそうになる。さらにアルノーが打ち込むとエアハルトは受けきれず、後ろに倒れる。

 アルノーから檄が飛ぶ。

 「そんなものですか、本物はもっとすごいのですよ。すぐに立つ。」「は、はい。」

エアハルトが立ち上がった瞬間、エルメンヒルトが打ち込む。エアハルトは腰を落として耐える。間隙を入れずアルノーが打ち込む。エアハルトは腕がしびれてくる。

 エルメンヒルトとアルノーも高速剣を連発しているのでかなりきつい。1時間ほどで3人とも動けなくなる。回復ポーションで回復すると訓練を再開する。

 エルメンヒルトとアルノーは、アルフレートに及ばないが、こうして訓練を続けることで速度を上げていくことが出来る。

 つまり、この訓練はエアハルトだけでなくエルメンヒルトとアルノーも鍛えていることになる。この訓練を5日間続ける。初日は帰ることも疲労でつらかったが5日目は話をする余裕ができる。

 アルノーがエアハルトに訓練メニューの変更を説明する。

 「明日からエアハルトにも打ち込みをしてもらいます。」「私たちがエアハルトの剣を受けるのですか。」

エルメンヒルトが質問して会話に加わる。

 「いいえ、私たちも打ち込みをします。アルフレートの高速の剣技に対抗するためには互いに高速で動いて打ち込む必要があります。」「僕もアルノーさんたちも攻撃をするのですね。」

 「はい、あと8日しかありませんが最終日の1日は休息してもらいますので7日しかありません。それまでに余裕で打ち込めるようになってもらいます。」「頑張ります。」

エアハルトたちがアングラートの食卓に到着した時には日が落ちて真っ暗になっている。食堂に入るとバッシュパーティーとグーゲルパーティーのメンバーがそろっている。

 アロイスが声をかける。

 「お疲れさん。初日はボロボロになって帰って来たのに少し余裕が出て来たな。」「明日から新メニューです。また、ボロボロになりますよ。」

アルノーの言葉にエゴンとクヌートのトラウマが出て青くなって固まる。アロイスはこの様子を見てどんな過酷な訓練をしているのか想像する。


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