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第1話 セクメト・クランの新たな目標

 エアハルトたちは決まりでもあるようにアングラートの食卓で凱旋祝いの宴会を始める。アロイスが大声で言う。

 「今夜は俺たちのおごりだ。俺たちの勝利を祝ってくれ。」「いいぞー」「アロイスのおごりだー」

居合わせた冒険者は喜ぶ。カミルは、今夜の飲み食いの代金がすべてセクメト・クランの支払いになって顔がけいれんする。

 エアハルトは、クランの代表として挨拶をさせられる。

 「グリム討伐お疲れ様です。グリム討伐はセクメト・クランの始まりにすぎません。」

 「エアハルト、硬いぞー」

ディータがやじを飛ばすとエアハルトは口調を変える。

 「みんな、次の目標は決まっているかー」「いいや」「決まっていないよな。」

 「セクメト・クランはダンジョンの最深部に一番乗りするぞー」「一番乗り?」「俺たちが?」

 「ごちゃごちゃ言うな。やるぞー」「「「おうー」」」

クランの目標は最深部に一番乗りになる。エルメンヒルトが心配そうにエアハルトに言う。

 「いつものエアハルトと違うよ。口調も違うし無理していない?」「エル、大丈夫だよ。」

エルメンヒルトは、エアハルトがクランのリーダーに祭り上げられて無理をしているのではと心配する。その心配をよそにアルマがエアハルトに声をかける。

 「エアハルト、よく言った。みんなで最深部を目指そうな。」「うん、目指そう。」

エルメンヒルトは眉をひそめる。さらにいつの間にかベアトリスがエアハルトの横に来ている。

 「エアハルトさん、最深部を目指すのですね。」「はい、最高の冒険者になるために必要だと思います。」

 「そうですか。ダンジョン主と戦うのですね。」「いれば、戦うことになると思います。」

 「どんなダンジョン主でも殺すことが出来ますか。」「きっと勝って見せます。」

 「私の質問は違いますよ。例えば女、子供でも殺せますか。」「ダンジョン主が子供と言うことですか。」

 「たとえです。」「もし、ひるめば仲間を危機にさらしますので殺します。」

 「そうですか。エアハルトさんも冒険者なんですね。」「えっ・・・僕は冒険者ですよ。」

エアハルトはベアトリスの質問の意図が分からない。

 食堂では、クランに所属していないパーティーが相談をしている。

 「イーリスクランやアウロラクランは、俺たちを受け入れてくれないが、今のセクメト・クランなら入れると思うぞ。」「そうだなクランに入れば深層に行くことが出来るな。」

 「でもセクメト・クランのリーダーはアノ魔力0のポンコツだぞ。」「でも、グリムを討伐して勢いがある。」

 「おまえは魔力の無いポンコツの下につきたいのか。」「でもレベル5だぞ。」

 「どうせ仲間のおこぼれでレベル5になったのさ。中身は使い物にならないさ。」「そうだな。やめておくか。」

ある程度、経験を積んでいるパーティーは、リーダーのエアハルトに魔力がないため、セクメト・クランを過小評価して、クランに参加しようとはしない。

 しかし、初心者のパーティーはグリム討伐の成果にあこがれを抱いてクランに参加を希望してくる。アルノーが面接を請け負う。

 「ぜひ、クランで一緒に冒険したいのです。」「パーティーメンバーのレベルはいくつですか。」

 「レベル2が2人にレベル1が3人です。」「分かりました。まずは2階層でモンスターラッシュをさばく訓練をしてレベルを上げます。」

 「ちょっと待ってください。一緒に行動してレベルを上げて行けばよいのではないですか。」「私たちは高レベルのメンバーで構成されています。あなたたちの居場所はありません。」

 「やってみないとわからないでしょ。」「みんな死にますよ。」

 「そんなー」「だから2階層でモンスターラッシュを鎮圧する訓練をするのです。」

 「そんなの無理だろ。モンスターラッシュが起きたら逃げるものだろ。」「私たちはモンスターラッシュを訓練に取り入れています。」

 「狂っている。おかしいよ。」「ならば参加は認められません。」

初心者パーティーは、機嫌を損ねて去っていく。さらに2つパーティーがアルノーの面接を受けたが結果は同じだった。

 結果、セクメト・クランのメンバーは変わっていない。そしてアルノーはまだパーティーに残るかどうか答えを出していない。



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