第11話 26階層にはいる
エアハルトたちは、20階層の階層主ヒュドラと対峙する。アロイスが指示を出す。
「エゴン、クヌートは同時に魔法を撃ちこんでくれ。俺たちは魔法攻撃を合図に突入するぞ。」「「「おう」」」
エゴンが巨大な炎を圧縮して球状にする。クヌートの周囲は稲妻の渦が出来ている。2人は同時に魔法を放つ。火球が稲妻の渦をまとってヒュドラに向かっていく。
魔法攻撃は、ヒュドラに命中して、8つある頭の2つが首からちぎれ飛ぶところが見える。エアハルトたちは、まだ炎に包まれているヒュドラに突っ込む。
ヒュドラは、2つの頭を前衛に回して、残りの4つの頭がブレスの準備をする。頭の1つがアルノーを狙って突っ込んでくる。アルノーは飛び上がって頭をかわすと頭の上に降り立つ。
そして、炎をまとった剣を頭に突き立てる。頭は動きを止める。もう1つの頭はデニスを狙う。デニスは正面からヒュドラの頭の攻撃を受ける。
デニスの槍は雷光をまとって頭にぶつけられる。頭は槍を受け止めるが雷光に包まれる。デニスは槍に込める魔力量を増やす。ヒュドラの頭は雷光によって焼かれ形が崩れ始める。
最後に頭は、はじけ飛ぶ。
エアハルトは、ブレスを吐く準備をしている頭に突っ込んで行く。首に炎をため込んで光始めている。4つの首の1つに高速で近づいて、すれ違いざま切り裂く。
切り離された頭は自分がため込んだ炎に包まれる。エアハルトは、そのままヒュドラの胴に飛び乗り、剣を突き立て、そのまま尾に向かって走り出す。
残った3つの頭はブレスを吐き出す。ブレスの炎はエルメンヒルト、アロイス、ディータに向かう。
エルメンヒルトは剣に多量の炎をまとわせて炎の刀身を伸ばすとブレスの炎を頭ごと切り裂く。アロイスはブレスの炎に飲み込まれる。頭がブレスを吐き終わった時、アロイスは剣を振り上げ頭を真っ二つにする。彼は体を魔力で防御して炎を防いでいた。
ディータは、ブレスの炎が来る寸前、飛び上がり炎をかわすとともに頭の上に降り立つ。レベル5の身体能力が驚異的な跳躍を可能にしていた。ディータは頭の上を走り首まで行くと頭をはねる。
ヒュドラは頭を全てつぶされて倒れる。アルノーは、ヒュドラ討伐の手際に満足する。メンバー全員が一流の冒険者になっているとかんがえる。これならグリムに勝てるに違いない。
2日目の目的地、25階層に到着するとベースを設営するために魔物を狩り始める。ミノタウロスは、皮膚が硬く、肉も硬いので剣で切りづらいのだが、エアハルトたちは手こずる様子はない。
ポーターのアルマとカミル、ヒーラーのユリアーネもミノタウロスに怯むことなく討伐していく。
アルノーは、戦いの様子を見てセクメト・クランの実力はアウロラクランをはるかに上回っていると確信する。セクメト・クランはメンバーが少ないがゴルドベルクの最強クランの一角を占めているはずだ。
25階層の魔物の討伐が終わってベースを設営する。エアハルトがクランの代表として挨拶する。
「僕たちは、ついにここまで来ました。明日は、グリムに挑むことになります。冒険者殺しと言われている化け物です。でも、僕たちは勝ちます。その実力があります。1人も欠けることなく勝ちましょう。」
「エアハルト、話が硬いぞ。ここまで来たんだ。後はグリムを倒すだけだ。」
アロイスが言うとエルメンヒルトが抗議する。
「エアハルトは真面目なんだからこれでいいのよ。アロイス、あなたと一緒にしないで。」「分かった。黒水晶、お前さんの言う通りだ。」
アロイスはエルメンヒルトと対立することを避ける。そして、続けて言う。
「今夜はゆっくり休んでくれ、グリムと戦いが始まったら、長期戦になるかもしれないぞ。」「ああ、わかっている。」「2つのクランを叩きのめした化け物だからな。」
ディータとデニスが目を輝かせて言う。明日は待ちに待ったグリムとの戦闘なのだ。
翌朝、メンバーは早くから起きて素振りなどをして体をほぐしている。朝食になりみんなが集まるとアルノーが話を始める。
「ここまで付き合ってくれてありがとう。すべては私の私怨だ。申し訳ない。」「何を言っている。みんな知っていて付いてきているんだ。決着をつけるんだろ。」
アロイスが言うとアルノーは深く頭を下げる。朝食が終わるとみんな装備を確認する。
勘のいいエアハルトとエルメンヒルトを先頭にしてアロイス、デニスが続く。その後ろにはエゴン、クヌート、アルマ、カミル、ユリアーネが配置に着く。
後衛にはアルノー、ディータ、カールがいる。26階層に降りると生き物の気配がない。静かでエアハルトたちの足音だけが響く。しばらく進むが魔物に出会うことはない。
「エル、これって18階層と同じだね。」「私たちがグリムの狩場に踏み込んだということ。」
「うん、グリムはどこからか見ていると思うよ。」「殺気は感じないけど、落ち着かないわ。」
「先に見つけられると迷彩布を使えないぞ」「仕方ありません。」
グリムはエアハルトたちの足音に気づき行動を開始する。




