第6話 デート前夜
冒険者ギルドでは、エアハルトのスキルが問題になる。希少なスキルでこれまで1例しか存在していない。公表すれば魔物に対してチートのようなスキルはどんな問題を引き起こすかわからない。
ギルド長は、スキルの隠ぺいをすることにして、それとなく観察することにする。ギルド長の指示がアメリーに下される。
アメリーは、エアハルトたちのメンバー全員を別室に呼ぶ。アメリーはみんなに言う。
「エアハルト君のアンチマジックについてギルドからの指示を伝えます。」「僕のスキルがどうかしたのですか。」
「アンチマジックは、魔物の魔力攻撃についてチートのような能力です。公表すれば、混乱やトラブルに巻き込まれる恐れがあると判断されました。」「秘匿するとなったのですね。」
「アルノーさんの言う通りです。皆さんアンチマジックのことは口外しないでください。口外すれば、ギルドからペナルティがあります。」「どんなペナルティですか。」
「最悪、冒険者資格のはく奪になります。」「わ、わかりました。黙っています。」
エアハルトたちは解放されると、真直ぐアングラートの食卓へ向かう。食堂ではレベルアップのお祝いの飲み会が始まる。
特にエルメンヒルトはレベル6である。アロイスたちは「俺たちは有名クランに並んだ」と言って騒いでいる。
エアハルトの両隣にはエルメンヒルトとアルマが陣取っている。ベアトリスが仕事をしながら近づいてきてエアハルトに言う。
「かわいい女の子に挟まれて、まるで両手に花ですね。」「いや、これはたまたまだよ。」
エルがムッとして言う。
「ベアトリスさんにいい顔して口説くつもり。」「エル、違うよ。」
アルマがアメリーのことを蒸し返す。
「明日はアメリーとデートだったな。」「まあ、そうなんですか。」
ベアトリスが驚いたように言う。
「これには訳が・・・・」「エアハルトさんは誰を選ぶのですか。」
「僕は冒険者をすることに手一杯だから。」「・・・・・」
エル、アルマ、ベアトリスが無言でエアハルトを見つめる。エアハルトは逃げられないと観念する。
「僕の好きな子は・・・・・」「エアハルトさん、まだ答えはいいですわ。よく考えて下さいね。」
ベアトリスがエアハルトの答えをさえぎり、先延ばしにする。
「なにするんだ。答えが聞けたんだぞ。」「良いのですか。もし自分でなかったらどうするのです。グリム討伐前の大事な時でしょ。」
「そうね、ベアトリスさんの言うとおりだわ。私が選ばれなかったらショックだもの。」「そうだな。」
ベアトリスはエアハルトが自分を選ばないことを予感して、エアハルトの発言の邪魔をした。まだ、これら機会はある。エアハルトを自分に振り向かせればいいと考える。
エルはエアハルトに向き合って笑顔で言う。
「そういうことだから、明日はアメリーさんとデートを楽しんでね。」
エアハルトはエルの笑顔の後ろに鬼のような形相のエルの幻覚を見る。もしかして、エルは妬いているのかな。いや、思いあがるな僕がエルのことを好きだから幻覚を見たんだ。
冒険者ギルドではアメリーにエリスが一方的に話している。
「せっかく、デートの約束を取り付けたんだから攻めないとだめよ。」「攻める?」
「何をのんびりしているの。ライバルは多いのよ。」「私、エアハルト君とそんな関係ではないわ。」
「正直になりなさい。好きなんでしょ。」「・・・・・はい、好きです。」
「だったら、部屋に浴室のある宿を予約しておくのよ。」「えっ。」
「連れ込んで既成事実を作るのよ。」「えーーーーーっ」
「驚かない。出し抜くのよ。」「私がエアハルト君を・・・・・」
アメリーは想像して顔が真っ赤になり、気を失う。エルスはその姿を見て全面的に協力することにする。
エリスはデートプランを作り、レストランを予約して、レストランのある宿に部屋をとる。これで良し、お膳立ては万全だ。
エリスは仕事を放り投げてアメリーのために力を尽くす。




