第5話 スキルの発現
エアハルトはヒュドラの魔石を拾うとみんなの所へ行く。アロイスが嬉しそうに言う。
「お前は、すごい奴だよ。どうやってブレスに耐えたんだ?」「僕にもわからないです。ただ、負けないと信じて戦っただけです。」
エアハルト自身、どうやって、ヒュドラの高熱のブレスから耐えたのか分かっていなかった。
エルメンヒルトが鳴き声で言う。
「心配させないでよ。こんなこともう嫌よ。」「エル、ごめん。声聞こえていたよ。」
「俺は最初から勝つってわかっていたぞ。」「アルマ、アドバイスありがとう。」
「当然だ。パートナーだからな。」
アルマも鳴き声になる。アルノーがみんなに言う。
「今回はここまでにしましょう。エアハルトは戻ったらアビリティを測定しましょう。何かスキルが発現しているかもしてません。」「僕のスキル!」
エアハルトが自分の両手を見る。
エアハルトたちは15階層まで登って、一泊することにする。エアハルトは15層に上る間にサンダーラビットの雷撃を克服する。というより雷撃が効かなくなっていた。
エアハルト自身、魔力による攻撃が無効化されているように感じる。アルノーはエアハルトを見て、対グリム討伐の切り札を手に入れたと考える。
翌日、エアハルトたちは一気に登ってダンジョンを出る。受付でアメリーはエアハルトが無事に戻ってきてホッとする。
アロイスが自慢げにアメリーに言う。
「エアハルトの奴、1人でヒュドラを倒したんだぜ。」「1人で何をしたんですか?聞き間違えをしたようなので・・・」
「ヒュドラだよ。ヒュドラ、ブレスを耐え抜いたんだ。すごいだろ。」「何をやっているんですかーーーー」
アメリーの怒気にアロイスが後ずさる。アメリーの視線がエアハルトに移る。
「エアハルト君、本当ですか。」「は、はい。ヒュドラと戦いました。」
「いつも言っているでしょ。なんで無茶ばっかりするの。」
アメリーが泣き出す。エアハルトがあたふたする。隣にいるエリスがエアハルトに言う。
「エアハルト君、悪い子ね。お姉さんを泣かして楽しんでいるのかしら。」「ち、ちがいます。僕、そんなつもりありません。」
「本当?」「本当です。」
「これは誠意を見せるべきね。」「誠意ですか。」
「食事に誘うとか・・・」「そ、そうですね。アメリーさん、ごめんなさい。お詫びにアメリーさんの行きたい所に付き合います。」
「エアハルト君、本当?」「嘘は言いません。」
「なら、明日1日ちょうだい。」「分かりました。明日は1日アメリーさんに付き合います。」
アメリーは涙を拭きながら笑顔になる。エアハルトは、突き刺さるような視線を感じる。振り向くとエルメンヒルトとアルマがものすごい目つきで睨みつけている。
エアハルトは青くなる。アルノーがこのままでは話が進まないので割り込む。
「魔石の鑑定とアビリティの測定をお願いします。」「はい、承りました。」
エリスが上機嫌で言う。
エアハルトはアビリティの測定でレベル5になる。適正 剣士 レベル5 俊敏590 力455 剣技575 持久力502 魔力0 毒耐性143 スキル アンチマジックとなって、初めてスキルが発現する。
他にもエルメンヒルト、アルマ、ディータ、カールがレベルアップする。
アンカーパーティー エアハルト・レベル5 アルマ・レベル4 アルノー・レベル6 エルメンヒルト・レベル6
バッシュパーティー アロイス・レベル5 デニス・レベル5 エゴン・レベル5 カミル・レベル4
グーゲルパーティー ディータ・レベル5 カール・レベル5 クヌート・レベル4 ユリアーネ・レベル4
エルメンヒルトが6人目のレベル6になる。エアハルトたちは、高レベルのメンバーで占められ、有力クランの戦力と比べても遜色ないものになる。
アメリーとエリスは、エアハルトのアビリティを見て、困惑する。魔力を省いた数値はレベル6の数値と変わらない。そしてスキルが問題だった。
2人はアンチマジックというスキルは聞いたこともない。そのことを知ったギルドの職員たちがざわめき始める。数人の職員が書庫にアンチマジックについて調べに行く。
エアハルトが目を輝かせてアメリーに言う。
「アンチマジックはどんなスキルなんですか。」「ちょっと待ってくれる。今、調べているから。」
書庫内では職員たちが過去の事例を調べていく。ある冒険者の記録に突き当たる。冒険者は、常識の外の存在だった。
冒険者は魔力を持たず、剣技だけで2つのダンジョンを踏破して剣神とたたえられ、3つ目のダンジョンに挑戦して行方不明になっていた。
彼の持つスキルがアンチマジックだった。記録では、あらゆる魔力の攻撃の無効化が記載されている。
職員は受付へ行くとエアハルトに説明する。
「アンチマジックの事例が1つだけあった。記録によると「あらゆる魔力の攻撃の無効化」だ。」「すごい。無敵ではないですか。」
「だが、スキルの持ち主は3つ目のダンジョンの踏破の途中で行方不明になっている。過信すると危ないかもしれないよ。」「2つもダンジョンを踏破したんですね。」
「ああ、剣神と言われていたらしい。」「ありがとうございます。」
エアハルトは目を輝かせる。ものすごい先達がいたのだ。感動がこみあげてくる。




