第1話 アルフレートの申し出
エアハルトたちは、ダンジョンから帰るとアングラートの食卓の食堂でいつものように反省会という飲み会を始める。
アロイスたちバッシュパーティーのテンションの高さにディータたちグーゲルパーティーの面々は引き気味だったが今ではテンションが負けずに高い。
みんなアロイスたちに染まっていくようである。そんな中、アルノーは最初から自分のスタイルを貫いている。
エアハルトの横ではアルマが陣取り、エアハルトに世話を焼いている。そのような状況をベアトリスが見過ごすことはない。
「お客様、ここは食堂です。いちゃつくことはやめてください。」「ベアトリスさん、すみません。」「エアハルト、謝ることはないよ。俺たちは客なんだから。」
「店の雰囲気を壊す人を客とは呼びません。」「ベアトリス、こうやって店の売り上げに貢献してるだろ。」
「アルマさん、あなたが店の品位を落としているのですよ。」「なんだとー、俺が下品だというのか。」
「ええ、私のエアハルトさんから離れてください。」「誰のだってー」
アルマとベアトリスの口喧嘩が始まる。アロイスたちは笑って見ている。アロイスがエアハルトに言う。
「もてるな。今度、アメリーも誘おうぜ。」「アロイスさん、やめてください。」
アロイスが殺気を感じる。先ほどから静かにしているエルメンヒルトが今にも剣を抜きそうな目で殺気を放っている。
「黒水晶、冗談だからそんな物騒な目で見ないでくれ。」
エルメンヒルトはアロイスから視線を離すと口喧嘩をしているアルマとベアトリスを睨む。強烈な視線にアルマとベアトリスは口喧嘩をやめてエルメンヒルトを見る。
アルマとベアトリスは、最強の恋敵の存在を思い出す。
「エルメンヒルトさん、睨んでも怖くありませんよ。」「おい、ベアトリス、刺激するな。」
ベアトリスも睨み返す。エルメンヒルトとベアトリスの間で火花が飛び散りそうである。この状況になれたアロイスがエアハルトに言う。
「本当にもてるな。本命は誰だ。」「やめてください。」
アルマ、エルメンヒルト、ベアトリスの視線がエアハルトに集まる。エアハルトは追いつめられる。魔物が相手ならこんなに追い詰められることはないだろう。
絶体絶命のピンチに陥る。アロイスの方を見ると手を合わせて謝っている。アルノーに知恵を借りたいがそっぽを向いてこちらを見ようとしない。
アルノーにも逃れる良い策はないようだ。みんな、エアハルトの答えを待って固まっている。どうすればいいんだーーーー
その時、場の空気を全く読まない男が声をかける。
「エアハルト、話がある。いいですか。」「はい。何ですか。アルフレートさん。」
エアハルトは救いの声に飛びつく。アルマ、エルメンヒルト、ベアトリスはアルフレートを睨みつける。
「私とこちらのクルトがレベル7になったことは知っているな。」「はい、街中の話題ですから。」
「なら、話は早い。私たち2人をグリム討伐のパーティーに入れてくれないか。」「イーリスクランの中心人物が、他のパーティーに入ってよいのですか。」
「グリムの討伐だけだ。問題はない。」「そうですか。」
「エアハルト君にも利点がある。私たちの戦いを見ることが出来るから良い経験になるぞ。」「分かりました。みんなと相談します。」
そこへアルノーが割って入る。
「エアハルト、利用されるだけだぞ。アルフレートさん、この話はなかったことにしてもらおう。」「私はエアハルト君と話しているのですよ。」
「私はエアハルトと同じパティーです。」「そうでしたね。あなたもレベル7になりたいでしょう。手助けをしますよ。」
「アルフレートさん、僕1人では決めることが出来ません。答えは明日、ここで返事をします。」「分かりました。良い返事を期待してますよ。
アルフレートとクルトは帰って行く。エアハルトが困ったように言う。
「どうしましょう。」「あいつら、手柄を横取りするかもしれないぞ。俺は反対だ。」
アルマが言うとディータが発言する。
「レベル7が2人ですよ。戦力になります。」「討伐はチームでやるからなー、今はいられてもなー」
アロイスが言うとデニス、エゴン、カミルが支持する。アルノーが言う。
「彼らはエアハルトを下に見ている。仲間が下に見られるなど看過できない。」「そうだな、さっきから引っかかっていたんだ。」
アロイスが賛成する。エルメンヒルトがアルフレートを弁護する。
「アルフレートは親切心で行っているわ。エアハルトが彼に及ばないことは事実でしょ。」「しかし、交渉相手を下に見てます。我々が見下されていることと同じですよ。」
「そう思われても仕方ないわ。」「では、採決をとりましょう。賛成の方は手を上げてください。」
手を挙げたのはエルメンヒルトとエアハルトだけだった。アルフレートとクルトの参加は否決される。
翌日、エアハルトたちが食堂で食事をしているとアルフレートが来る。
「返事を聞きに来ました。」「すみません。一緒にグリムを討伐することはできません。」「そうですか、残念です。」
アルフレートはあっさり帰って行く。エアハルトは粘られるかもしれないと考えていたが意外に感じる。
アルフレートは、一から討伐隊を作らなければならないと考える。




