第9話 仲間の死
ヒュドラを前にアルフレートと15人の剣士、戦士たちは散開して取り囲む。ヒュドラは8つの頭をもたげて威嚇する。アルフレートと対峙する頭の喉が赤く光る。
炎のブレス吐こうとしている。アルフレートは閃光の二つ名のとおり、姿を見失うほどの俊足でヒュドラに迫り、飛び上がると剣で首を切断する。
これを合図に残りの15人も走る始める。ヒュドラが頭で剣士をつぶそうとするが戦士が割って入って盾で受け止める。剣士は剣を首に突き立てると胴へ向かって走り、首のキズが広がって行く。
他の2つの頭が剣士たちに突っ込み、剣士を弾き飛ばす。残った4つの頭が炎のブレスを吐き出す。アルフレートたちはかわすが剣士と戦士が1人づつ炎に包まれる。
彼らは炎の中を走り抜け出すがやけどがひどい。2人は後退して回復ポーションを飲んでやけどを治すが戦える状態ではない。
アルフレートはさらに首を切り落とす。剣士と戦士たちも2本首を動けなくする。残つた3つの頭が剣士や戦士たちを攻撃して戦えるのは6人になる。
「君たちは頭を1つ落としてくれ、残りの2つは私が落とす。」「「「おおおーーーっ」」」
6人は声を張り上げて答える。3つの頭はアルフレートを警戒し始める。ゴルドベルク1の俊足が3つの頭を翻弄する。そして、隙を見せた頭の首を切りつける。
切られた頭は動きが鈍くなる。6人の剣士と戦士たちが取り囲んで攻撃を始める。
アルフレートは残りの2つの頭を狙う。首を駆け上がり、ダンジョンの壁に飛ぶと壁を足場に頭に向かって飛んで首を切り落とす。残り1つの頭がアルフレートに向けてブレスを吐く。
アルフレートは完全に虚を突かれていた。気づいた時には炎が目の前に迫っている。俊足をもってしてもかわすことはできない。ここまでか、死を覚悟する。
だが、突き飛ばされて炎から逃れる。立ち向かった15人の剣士、戦士以外の剣士が飛び出してアルフレートを突き飛ばし、自分は炎に巻かれる。
アルフレートが見渡すと前に出ずに残つた剣士、戦士たちがヒュドラに立ち向かっている。アルフレートたちの戦いは他の者の心に火をともしていた。
剣士と戦士たちは残りの頭に切りかかって行く。6人の剣士と戦士たちが頭を首に無数の剣撃を加えて倒す。残るのは頭1つ。
その頭も剣巣と戦士に責められて苦しげだ。アルフレートヒュドラの胴体を狙う。剣を深々と突き刺すとそのまま尾に向かって走る。胴体のキズが広がって行く。
そしてついにすべての首が落ちる。ヒュドラの死体はダンジョンの地面に吸い込まれるように消えていく、そして魔石が残る。
アルフレートは魔石を掴むと腕を上に伸ばして魔石を掲げる。アルフレートは無言だった。討伐隊全員が無言で腕を突き上げる。
討伐隊はヒュドラに勝ったが、仲間を1人失ってしまった。アルフレートは、自分をかばって死んだ剣士の冒険者プレートを拾い上げて胸に抱き、仲間の冥福を祈る。
ヒーラーがケガ人の治療に当たる。鉄壁のクルトがアルフレートに言う。
「アルフレート、お前の焦りが仲間を殺したぞ。」「あれは私のミスだ。死ぬのは私のはずだった。」
「俺はそれを責めているのではない。なぜ、魔力なしでヒュドラに挑んだ。」「それは訓練のためだ。」
「違うだろ。グリムに通用するか心配でヒュドラで試したのだ。功をとろうと焦っている。そうだろ。」「クルト、私たちはなんだ。」
「イーリスクラン、ゴルドベルクで一番のクランだ。」「今や私たちは砂の楼閣の上にいると思っている。」
「俺たち以外にグリムを討伐できると思っているのか。」「ああ、エアハルトだ。予感がする。」
「おまえ、前にもアライダにそのようなことを言っていたが、魔力もないポンコツだぞ。」「今はアルノーがついて、バッシュパーティーとグーゲルパーティーがいる。」
「いい加減にしろ。生き残りと深層にも行けないパーティーがついているだけだ。」「エアハルトはレベル4になっている。」
「ウソだろ。魔力がないはずではなかったのか。」「魔力の無いレベル4だ。剣技だけ・・・それだけでなったのだ。」
「なんてことだ。」「私はエアハルトと戦って勝てるのかわからない。」
「閃光に勝てる剣士がいるはずないだろ。」「そうだろうか。アルノーもレベル6の剣士だぞ。」
「4人目のレベル6・・・バカな・・・クランにも所属していない連中がイーリスクランを追いつめるのか。」「だから、今回の討伐は失敗が許されないのだ。」
「おまえの焦りは理解したが、今後は安全に25層まで行くぞ。いいな。」「分かった。私も仲間を失いたくない。」
討伐隊は準備ができると25層に向けて出発する。




