第3話 アルフレートの提案
エアハルトはイオンと戦ったことを思い出す。
「やはり、魔力がないとだめなのかな。」「十分戦えているだろ。」
エアハルトの独り言にアルマが答える。アルノーがエアハルトに言う。
「イオンにやられたのは、勝っていたのに仕留めなかったからです。魔力がなくてもレベル5に勝つこともできますよ。」「そうですね。」
アルノーは、10階層以上になれば魔物は魔力を使うようになる。エアハルトの苦戦は免れないと考える。
エアハルトたちはダンジョンから出るといつものようにアングラートの食卓へ向かう。途中、長い銀髪を後ろで編み込んで背中に垂らしているエルフがエアハルトたちの前にたちはだかる。
アルノーがみんなの前に出てエルフに言う。
「閃光のアルフレート、私たちに何か用ですか。」「まずは謝らせてくれ。」
「謝罪はいりません。当事者は処罰されていますから。」「エアハルト済まない。私は事件の前にイオンと話をして君を引き合いに出してしまったのだ。」
「どういうことですか。」「私は君の剣技がレベル5に匹敵すると彼に言ったのだ。」
「僕の剣技がレベル5に匹敵するといったのですか。」「そうだ、許してくれ。」「アルフレートさんに責任はないと思います。」
アルノーがアルフレートに質問する。
「どうして、そんなことを知っているんだ。」「エアハルトに興味があります。情報を集めていて、剣技がレベル5クラスであると判断しました。」
エアハルトに興味を持つアルフレートをアルノーは警戒する。アルフレートは話を続ける。
「みなさんに提案があります。アングラートの食卓へ行くのでしょ。食事をしながら話をしましょう。」
アルノーは、提案について嫌な予感がする。今、イーリスクランはグリム討伐を計画している。提案はそれに関係があるに違いない。
アングラートの食卓に到着すると食堂でエアハルトを待っていたエルメンヒルトが出迎える。ベアトリスがエルメンヒルトに言う。
「お客様、食事中に他のお客様に絡まないでください。追い出しますよ。」「エアハルトは幼馴染だからいいのよ。」
「エル、どうしてここにいるの。」「私、ここに住むことにしたの。よろしくね。」
「それはうれしいけど。仲間はどうしたの。」「私、イーリスクランを抜けることにしたわ。」「黒水晶、それは本当ですか。」
エルメンヒルトはアルフレートがいることに気づいて驚く。
「私、決心しました。イーリスクランから出ていきます。」「残念です。あなたには期待していたのに。」
アルマがエルメンヒルトにかみつく。
「もしかして、私たちのパーティーに入るつもりではないですよね。」「よくわかったわね。エアハルト、私をパーティーに加えて。」
「エル、待ってみんなの意見を聞かないと。」
エアハルトは助けを求めるようにアルノーを見る。アルノーはやれやれという感じでエルメンヒルトに言う。
「黒水晶、あなたは私たちがグリム討伐の準備をしていることは知っていますか。」「ええ、うわさになっていますから。」
「あなたは役に立てるのですか。」「今は無理でも剣の腕を上げて討伐に間に合わせます。」
「いいでしょう。ついてこられるならパーティーに加えます。」「ありがとうございます。」
アルノーが加入を認めるとアルマがアルノーにかみつく。
「アルノー、何を認めているんだ。あのイオンの下っ端だぞ。使えるわけがない。」「今はだめかもしれないけど頑張ります。」
エルメンヒルトは必死に食らいつく。アルノーもアルマが強硬に反対するのでエアハルトに投げる。
「リーダーは、エアハルトです。リーダーが決めてください。」「僕はエルをグリム討伐には連れて行きたくない。」
「エアハルト、何でもするから、お願い。」「なら、僕と訓練をして、ソロでダンジョンへ行って剣の腕をあげたらどうかな。」
「腕を上げたらパーティーに入れてくれる。」「その時は認めるよ。」
エルメンヒルトはガッツポーズをする。アルマは面白くない。話の外に置かれていたアルフレートが咳払いをする。
「黒水晶のことは決まったようだから私の提案を聞いてくれないかな。」「私たちに良い提案であることを願っていますよ。」
アルノーがアルフレートの目を見て言う。アルノーは提案はグリム討伐のことだろうと見当をつけている。
「提案はもちろんアルノー、君とって良い話ですよ。」「私にですか。」
「はい、我々イーリスクランは半月後、グリム討伐の遠征に出発します。」「討伐できると考えているのですね。」
「もちろん、そこであなた方アンカーパーティー、バッシュパーティー、グーゲルパーティーに参加をお願いします。」「イーリスクランは、ゴルドベルクで一番のクランだ。どうして私たちを誘う。」
「私は、あなた方がグリム討伐の訓練をしていることを知っています。確実に討伐するためにあなた方の力が欲しい。アルノー、仲間の敵をとりたいでしょ。」「遠慮します。」
「なぜです。少人数のあなた方にとって良い話のはずだ。」「泥船に乗るつもりはありません。」
「私たちが泥船だと・・・我々は25階層にベースキャンプを張って、剣士と弓使いたちで26階層に挑みます。これならポーターや魔法使いは狙われないでしょう。」「グリムが魔力を使ったらどうするんだ。」
「報告では魔力の攻撃はしていません。」「確かにあの時、グリムは魔力を使わなかった。それは、冒険者を圧倒して使う必要がなかったからではないでしょうか。」
「魔力攻撃をしたとしても、かわしたり、簡易の防御を張ればいいことです。」「健闘を祈ります。」「グリム討伐の栄誉はイーリスクランがいただきます。」
アルフレートは軽く食事をとっただけで帰って行く。食堂ではエルメンヒルトとアルマがにらみ合う。エアハルトはアロイスたちにまた女が増えたと酒のつまみにされる。




