第2話 エアハルト対イオン
イオンは食堂の中をゆっくりと歩き、エアハルトに近づくと睨みつけて言う。
「剣を抜け、決闘だ。」「僕たち食事中だから遠慮します。」「ふざけるなー」
イオンが大声を出すと給仕をしていたベアトリスがイオンに近づいて言う。
「お客さんの迷惑です。外に出ていきなさい!」「俺に命令するなー」
「イオンは剣を抜いてベアトリスに切りかかる。袈裟切りにしようとするがベアトリスはホークで受け止める。
「死にたいのか。我に剣を向けるには覚悟が出来ておるだろうな。」「うっ・・・」
ベアトリスの迫力にイオンがたじろぐ。そして矛先はエアハルトに向かう。
「エアハルト、外に出ろ!」「エアハルトさん、相手をする必要はありませんよ。」「これ以上、迷惑をかけられないよ。」
エアハルトは席を立ち剣を持ってイオンと店の外に出る。イオンは殺気を放って戦う気満々である。エアハルトは乗り気ではないがご指名なので仕方がない。
「イオンさん、どうして戦うのですか。」「お前が邪魔だからだ。みんなお前を見て俺を見ようとはしない。」
「それ、言いがかりではありませんか。」「黙れ、行くぞ。」
イオンは縮地を使って一気にエアハルトに迫る。レベルの差を教え込んでやる。このまま横一閃しようとする。
その時、エアハルトの姿が消える。エアハルトは右斜め前に出てイオンの後ろに回り込む。イオンは振り向かず剣を後ろに振る。エアハルトは後ろに飛んで距離を取る。
「おい、逃げずにかかって来いよ。」「僕は戦いたくないよ。」
「なら、お前の仲間を切ってやろうか。まずはいつも一緒にいるポーターからにするか。」「怒りますよ。」
「それでいい。戦わないなら見ていろ。」「やめろー」
イオンは、アルマに目を向ける。アルマが立ち上がり逃げようとする。アルマの足ではレベル5から逃げることはできない。イオンの斬撃がアルマの背中に迫る。
アルマが切られる寸前、エアハルトが追い付き剣で斬撃を受け止める。
「やっと剣を抜いたな。」「やりすぎだ。何を考えているんだ。」
イオンは、エアハルトが誘いに乗ったことに成功したと考える。しかし、斬撃が止められるとは予想外だった。エアハルトは俺より速く動けるのではないか。
やつはレベル3だぞ、なんでレベル5の俺が遅いんだ。いや、あいつは剣だけのポンコツだ。
イオンはエアハルトの心臓めがけて突きを繰り出す。エアハルトは剣で剣筋をずらすと上段から切りかかる。イオンは左へかわす。
次にイオンの剣を打ちおろして剣を叩き落す。エアハルトは剣をイオンの顔に突き付ける。
俺が負けた・・・ポンコツに・・・ウソだ・・・俺の方が劣っているのか。間違っている。こんなこと間違っている。
エルメンヒルトがイオンに言う。
「負けたのよ。帰りましょ。」「負けていない。俺はやつに劣っていない。」
イオンは、エアハルトの剣を右手で掴む。掌が切れて血が流れる。エアハルトは驚いて虚を突かれる。突然、エアハルトは感電して倒れる。
イオンが魔力を使ってエアハルトの剣に雷撃したのだ。アルノーが動く、イオンの前にアルノーが現れると同時にイオンの腹にこぶしを入れる。
レベル5のこぶしである。イオンはそのまま気絶して倒れる。
「こいつを縛れ、ギルドに突き出す。エアハルトにはポーションを飲ませてくれ。」
アルノーが指示を出す。アルマが回復ポーションを口に含んで意識を失っているエアハルトに口移しでポーションを飲ませる。
エルメンヒルトとベアトリスがショックを受ける。エルメンヒルトが焦ってアルマに言う。
「緊急時だけど、私のエアハルトにキスしないで。」「俺、キスしたの4回目よ。」
エルメンヒルトとベアトリスが腰砕けになって地面に座り込む。4回て、恋人なの・・・いつも一緒にいるから誘惑されたの・・・
ベアトリスがアルマに言う。
「4回のキスは口移しでポーションを飲ませただけでしょ。」「そ、そうさ。口移しでも4回に違いないだろ。」
「それはカウントされません。」「バカを言うな。俺はいつも一緒なんだからな。」
「私は一つ屋根の下で暮らしているわ。」「・・・・・」
アルマとベアトリスの口喧嘩が始まる。エルメンヒルトはエアハルトが無事でホッとする。アルノーはイオンを冒険者ギルドに引っ立てて行きつきだす。
アルノーは起こったことをギルドに報告する。冒険者ギルドはカリスパーティーの登録を抹消して、イオンの冒険者の資格をはく奪する。
ブリキットとケープは2人でパーティーを立ち上げる。エルメンヒルトも誘われたが断る。自分はパーティーに加わる資格はないと考えたのだ。
エルメンヒルトは住むところが無くなる。そこでアングラートの食卓へ行く。理由はもちろんエアハルトが住んでいるからだ。アルマとベアトリスに先を越されるわけにはいかない。
エルメンヒルトが宿泊を申し込むとベアトリスが嫌そうな顔をする。
「お引き取り願えませんか。」「部屋は空いているでしょ。」
「そうですが宿は他にもありますよ。」「この宿がいいの気に入ったわ。」
ベアトリスは渋々、部屋のカギを渡す。エルメンヒルトは荷物を部屋に置くとエアハルトの部屋に行く。しかし、エアハルトはダンジョンに出ていて留守だった。




