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第13話 死闘の中で

 エアハルトの体力は、シルバーグリズリーとの戦いで削られていく。体中の爪によるキズからの出血も多い。剣を持つ両手はしびれてきている。

 シルバーグリズリーは倒しても次が襲って来る。それでもあきらめずに剣を振るう。

 アルノーは戦いの中で焦りを感じている。シルバーグリズリーに囲まれて戦っているうちにエアハルトを見失ってしまったのだ。この状態ではエアハルトの技量を越えていると考える。

 早くエアハルトと合流してエアハルトをサポートしないと彼の命が危ない。

 エアハルトは体が覚えた剣技でシルバーグリズリーを切り殺していくが体が重い。剣も重く感じる。剣てこんなに重かったかな。それより体が重くて言うことを聞いてくれない。

 動け・・・動いてくれ。誰かが呼んでいる。アルノーさんだ。答えないと・・・あれ・・・声が出ない。しばらくすると耳鳴りがして音が聞こえなくなる。僕は死ぬのか・・・いや、まだだ。

 その時、シルバーグリズリーの鋭い爪がエアハルトの防具の左腕の部分に突き刺さり引き裂かれる。防具は破れ、左腕は骨が見えるほど深い裂傷を負う。

 「うわああああぁぁぁぁーーーー」

エアハルトは思わず叫ぶが実際には声になっていない。目がかすんでくる。左腕は動かない。シルバーグリズリーたちの攻撃はやまない。エアハルトはシルバーグリズリーの餌になり果てる。

 この時、エアハルトの体の中で変化が起きる。あれほど重かった体が軽く感じる。剣も軽く感じる。シルバーグリズリーが2匹前から襲って来る。

 エアハルトは足を前に蹴りだすと2匹を高速の剣技で一閃する。エアハルトの周りで血吹雪が吹き上がり、シルバーグリズリーの肉片が飛び散る。

 向かってくるものを全て切り裂いて行く。これまでとは違う高速の剣がシルバーグリズリーの爪を牙を圧倒していく。

 アルノーは血吹雪でエアハルトの位置を知る。アルノーはそこへ切り進んで行く。エアハルトを見つけると声をかける。

 「エアハルト大丈夫か。」

返答は高速の剣撃だった。アルノーは危うくかわす。エアハルトに意識はなかった。闘争本能のまま戦う殺戮マシーンとなっている。

 アルノーも手を出せない。何とか止まってくれと声をかける。

 「エアハルト、目を覚ませ。私だ分からないのか。」

エアハルトは呼びかけが聞こえない様子で、シルバーグリズリーを切り裂き続ける。アルノーもエアハルトから少し距離を置いてシルバーグリズリーを倒し続ける。

 アロイスたちは、アルマ、カミルの援護で持ちこたえている。

 エアハルトとアルノーに向かってくるシルバーグリズリーの数が減って来る。そして、魔物がいなくなるとエアハルトは剣を落とし棒立ちになる。

 アルノーは持っている回復ポーションをすべてエアハルトにかける。エアハルトのキズが消えていく。エアハルトは立ったまま気を失っていた。アルノーはエアハルトを地面に寝かせる。

 アルマやアロイスたちが駆け付けてくる。

 「アルノー、エアハルトは大丈夫か。」「ポーションをキズは治したが気を失っている。」「俺に任せろ。」

アルマは回復ポーションを口に含むと口移しでエアハルトに回復ポーションを飲ませる。エアハルトに反応があり目を開ける。

 目の前にアルマの顔がある。近い・・・近いよー、それに唇に柔らかい感触がある。えっ、え・・・キス・・・えーーーーー

 エアハルトはアルマを払いのけて後ずさる。

 「アルマ、何しているんだー」「キスだけど。」

 「女の子なんだぞ。」「男ならいいのか。」

 「いやだ。」「ポーションを飲ませたんだよ。」

 「ポーション?そうかありがとう。」「これで3回目だからな。」

 「僕は貧乏だぞ。」「分かっている。キスを3回もしたんだ。ご褒美があってもいいと思うぞ。」

 「食事でどうかな。」「デートだな。それで手を打つか。」

エアハルトはキスされてドキドキしている。アルマも顔が赤い。

 ダンジョンの壁から魔物が生まれ始める。アロイスが気づいてみんなに言う。

 「魔物が生まれるぞ。早く上の階層へ逃げるぞ。」「「「はい」」」

エアハルトたちは5階層へ行こうとするが生まれた魔物が道を塞ぐ。エアハルトとアルノーが前に出る。2人は高速の剣撃で魔物を排除していく。

 アルノーは確信する。エアハルトは戦いの中でレベルアップして、レベル3になったのだ。カミルが嘆くように言う。

 「まだ魔石を回収していないぞ。」「命の方が大事だろ。」

アルマが答えるが両手に魔石を握りしめているので説得力がない。エアハルトたちは魔物を易々と討伐しながらダンジョンを脱出する。

 ディートがみんなの考えを代表するようにこぼす。

 「死ぬかと思ったぞ。」「これも訓練です。またやりますからね。」

アルノーの言葉はみんなの心を折りそうになる。受付に行くとアルノーはエアハルトたちのアビリティの測定を依頼する。アメリーがアルノーに言う。

 「エアハルト君はレベル2になったばかりだから必要ないと思うわ。」「いや、レベル3になったかもしれない。」

 「僕がレベル3?」「自覚ないのか。随分、動きが速くなっているぞ。」

アメリーは魔石の換金をエリスに頼んで11人分のアビリティを測定する。


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