第12話 崩れる布陣
戦っていくうちにシルバーグリズリーの数が増えてくる。エアハルトは5匹のシルバーグリズリーを相手にする。前に立ちはだかった1匹目ののどを剣でかき切る。
左前に出て四つん這いで吠える2匹目の口に剣を突き入れる。すると左から鋭い爪を振り下ろされる。エアハルトは半身をずらしてかわすと3匹目を袈裟切りにする。
その時、後ろから爪を振り下ろされる。エアハルトはまともに受けてしまい、飛ばされ地面を転がる。そこへシルバーグリズリーが牙で噛み殺さんと襲い掛かる。
エアハルトは地面の砂を顔向けて投げつける。突然のことにシルバーグリズリーが怯む。剣が心臓を貫く。エアハルトは立ち上がるが背中を爪で切り裂かれている。
残り1匹に気力で立ち向かう。エアハルトは両腕を切り飛ばし、腹を一閃してシルバーグリズリーを倒す。
アルノーが魔物を切り殺しながらエアハルトに近づいて背中に回復ポーションをかけて言う。
「この程度でケガをしているようではだめですよ。全身で気配を感じ取りなさい。」「はい。」
この程度でへばっていてはだめだ。もっと、もっと強くなるんだ。
カールも左腕をシルバーグリズリーに引き裂かれる。ユリアーネが駆け付けてヒールする。
「カール、大丈夫なの魔物の数が多いわ。」「今は戦うしかない。諦めたら終わりだ。」
カールはすぐにディートと連携を取りに戻る。
アルノーは、これからが本番だと知っている。圧倒的な数の魔物を相手にしていれば、いずれ布陣が崩れるだろう。この時、アロイスはどう行動するかで危機を乗り越えられるか決まる。
さらに伸びしろがある彼らが実力を発揮するかで戦いは左右されるだろう。エアハルトにも期待をしている。この戦いでレベル3になって欲しい。
アルノーにシルバーグリズリーが5匹向かってくる。1匹を切り裂き、2匹をエアハルトの方へ、残りの2匹をディートとカールの方へ誘導する。
エアハルトはコボルトの群れを相手にしていた。後ろからシルバーグリズリーが2匹迫って来る。2匹の鋭い爪がエアハルトをとらえようとする。その瞬間、エアハルトの姿が消える。
シルバーグリズリーの爪はコボルトを切り裂く。エアハルトは寸前に右横に移動してシルバーグリズリーの首をはねる。
残りの1匹が四つん這いになりエアハルトに突撃する。エアハルトは左手で腰の後ろの短剣を抜いてシルバーグリズリーの首に短剣を突き立てる。
エアハルトはそのままコボルトに突進して残ったコボルトを切り裂く。休む間もなくホブゴブリンが襲って来る。エアハルトは剣を振るい続ける。
アルノーは見ていてレベル2のはずのエアハルトが一番うまく立ち回っていることを確認する。これだけできてレベル2とはレベルアップすればアルノーでさえ及ばなくなるだろう。
エアハルトは対グリムの秘密兵器だった。
ディータがぼやく。
「アルノーの奴、俺たちにシルバーグリズリーを2匹も押し付けたぞ。」「すごい贈り物じゃないか。全くうれしくないけどね。」
カールが答える。2人は1匹に攻撃を集中させてカールが左腕を切り落とし、ディータが心臓に突きを入れる。残る1匹と戦おうとするとホブゴブリンが3匹向かってくる。
ホブゴブリンの後ろには新たなシルバーグリズリーが見える。
「休む暇がないな。」「あるわけないだろ。モンスターラッシュだぞ。」
「その割には魔物に囲まれないな。」「アルノーとエアハルトが抑えているんだよ。」
「あいつら体力持つのか。」「崩れたら地獄に変わるぞ。」
2人はシルバーグリズリーを倒すとそのままホブゴブリンに切りかかる。
アロイスはデニスと10匹目のシルバーグリズリーを倒す。まだ、向かってくるのがこの数ならさばくことが出来る。アロイスはアルノーとエアハルトを見る。
エアハルトは前に突っ込んで行くようなことはなく、アルノーの近くに留まっている。ディータとカールも健在である。アロイスはこのまま布陣を保ったまま終わることを祈る。
だが、魔物の群れに変化が起きる。後ろからシルバーグリズリーの群れが押し寄せて来て、他のホブゴブリンやコボルトを切り裂いて肉片に変えながら近づき、向かってくる。
アルノーが異変に気付く。アルノーも本気になる。シルバーグリズリーの群れに突っ込み、足を腹を首を切り裂いて行く。アルノーを見ていたエアハルトも突っ込む。
アロイスは布陣が崩れたことを確認して叫ぶ。
「来るぞー、踏ん張れー、アルノー、エアハルト戻れ!」
アロイス、デニス、ディータ、カールはシルバーグリズリーと対峙する。アルマ、カミルがボーガンで援護を始める。ボーガンの矢はシルバーグリズリーを殺す威力は無い。
だが、動きを抑えることはできる。エゴンとクヌートが剣を抜いて構える。
アロイスたちはボーガンの矢で動きが悪くなったシルバーグリズリーを討伐していく。
シルバーグリズリーの群れはエアハルトの限界を超えていた。1匹1匹討伐していくが、その度、ケガが増えていく。僕はここまでなのか・・・いや、まだだ。前に進むんだ。




