第7話 異常種
それはダンジョンの5階層の奥の小部屋で生まれた。犬の頭を持ちコボルトのようだが通常のコボルトの倍の大きさがある。鋭い爪と牙には神経毒を持っていた。
手に持つ剣は爪から流れ出る毒で濡れている。それはコボルトと呼ぶには異常過ぎた。
小部屋を出て、小道を通り通路に出ると冒険者のパーティーに出会う。本能が戦いを強いる。
冒険者は連携して襲い掛かって来る。一番前に盾を持った冒険者が出てくる。それは本能が命じるまま体当たりをする。冒険者は耐えられずはじけとばされ、それの鋭い爪にかかる。
代わって、他の冒険者が剣で切りつけてくる。それは剣を横一閃する。冒険者は後ろに飛びかわすが、剣を濡らしている毒がしぶきとなって目にかかる。
盾を持った冒険者は倒れて痙攣している。目をつぶされた冒険者は無防備になり、それに切られて倒れる。ヒーラーがパニックになりかけながら盾を持つ冒険者をヒールする。
冒険者たちは5階層なので毒に対する準備をしていなかった。通常、毒を持つ魔物は11階層からしか出現しない。
それはヒーラーに近づく。気づいたヒーラーが逃げ出す。それはヒーラーの背中に鋭い爪で傷をつける。ヒーラーは数歩進むと倒れる。それは冒険者を食らって食欲を満たす。
それは5階層を動き回り、さらに2つのパーティーをつぶして、経験を積む。そして、4階層に上がって行く。
4階層には、11階層以上の中層を目指す冒険者パーティーが通りかかっている。冒険者パーティーはそれに出会う。リーダーが警告する。
「普通のコボルトじゃない。異常種だ。コボルトと思うな。化け物だぞ。」「「「おう」」」
大きな盾を持った冒険者が2人前に出て、それに向かって行く。それは冒険者たちがぶつかる瞬間上に飛び、左手で冒険者の頭を引きちぎり、もう1人を右手の剣で背中を切る。
切られた冒険者は、すぐに体がしびれ始める。これは毒だと判断して解毒のポーションを飲む。しかし、傷は深く出血がひどくて動けない。切られた冒険者は警告する。
「こいつ、毒を持っているぞ。」「こいつ、身軽なうえに有毒か。後衛、援護を頼む。」
後衛の魔法使いが詠唱を始める。リーダともう1人の剣士がそれと対峙する。ヒーラーは切られた冒険者の所に行きたいが、それが許すはずがない。
リーダーが攻めに出る。上段から剣をたたきつけるが、それとつばぜり合いになる。それは巨体にものを言わせて押してくる。もう1人の剣士が動く。
「スイッチ。」「化け物め。」
剣士はリーダーの背後からそれに迫り、リーダーと入れ替わりに突っ込み横一閃する。しかし、空ぶる。それは斜め後方に飛んでかわした。
「嘘だろ。あのタイミングでかわすのか。」
剣士が驚く。それが剣士に襲いかかる。魔法使いが叫ぶ。
「避けろ!ファイヤーランス」
剣士が後ろに大きく飛ぶ。そこへ巨大な炎の矢が飛んでくる。それは、地面に転がっている盾を足ではじいて、宙に浮かせると左手で掴んで前にかざしてファイヤーランスを受ける。
「ばかな・・・」「足を止めるな。魔力を使うぞ。」「おう。」
リーダーの剣が炎をまとう。剣士の剣は雷光に包まれる。リーダーが突っ込むと、それは盾を振り回してリーダーにぶつける。リーダーは弾き飛ばされて通路の壁にたたきつけられる。
剣士が、大振りの盾の動きでできた隙を逃さない。剣士は電光の剣となって、それのわき腹に剣を突き立てる。剣にまとった雷光がそれを焼く。
「うおおおおおおおおーーーー」
それは雄たけびを上げる。剣士は剣を抜いて離脱しようとするが剣が抜けない。それは筋肉で剣を抑え込んでいる。さらに盾を捨て、鋭い爪で剣士の首をかき切り、頭をもぎ取る。
魔法使いがファイヤーランスを撃ち込むが、それは避けて、魔法使いに迫る。ヒーラーが隙をついて、背中を切られて倒れている冒険者に駆け寄る。
ヒーラーは必死にヒールする。それは魔法使いを右手の剣で真っ二つに切り裂き、ヒーラーに目標を定める。ヒーラーはヒールに集中している。冒険者が意識を取り戻す。」
「逃げろ。みんな殺されるぞ。」「黙って、もう少しだから。」
それがヒーラーの最期の言葉になる。それはヒーラーを後ろから剣をたたきつけるように振り下ろして胴を二つに切る。冒険者は這って逃げようとする。それは冒険者の首に剣を突き立てる。
リーダーが気づいた時、それはヒーラーを殺していた。このままでは全滅だ。ギルドに知らせないと。リーダは逃げ始めるがあばらが何本か折れて走ることはできない。
回復のポーションを飲む。そして、ケガを治すと走って逃げ始める。必死に逃げて息が切れるが足を動かし続ける。
リーダーは体力がつき立ち止まる。ここまで来れば追ってはこないだろう。早くギルドに報告して討伐隊を組んでもらわないと・・・・
「うおおおおおおおおーーーー」
リーダーの後ろで雄たけびが聞こえる。リーダーは自分の運命を悟る。それは左わき腹に剣を刺したままダンジョンを進んで行く。
エアハルトは何回かの2階層の探索の後、やっとアメリーに3階層に行くことを許可される。
「エアハルト君、まだ4階層に行ってはだめだからね。」「はい。」
「アメリーは心配性なんだよ。もう5階層に行く実力があると思うぜ。」「アルマは女の子らしい言葉遣いをしなさい。」
「大丈夫だ。エアハルトは気にしていないから。」「エアハルト君、アルマを甘やかしてはだめよ。」
「アルマは先輩だし、レベル2ですよ。」「俺はナイフとボーガンを使えるから。いざとなったら援護できるよ。」
アルマは、これまで裏切られたり、だまされたりしてきたので自分が強くならなくてはならなかったのだ。
エアハルトとアルマは3階層を目指して出発する。




