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第11話 2階層

 エアハルトは朝早く起きると日課の剣の素振りをする。うっすらと汗をかくと部屋に戻り、着替えをして新品の銀色に輝く防具を装着する。装備を整えると1階の食堂に行って朝食を食べる。

 ベアトリスが近づいてきて、弁当を渡しながら言う。

 「今日から2階層に行くのですか。」「はい、やっと許可が出ましたから、楽しみです。」

 「気を付けてくださいね。階層が変わると様子が一変すると聞いていますから。」「気をつけます。必ず帰ってきますよ。」「約束ですよ。」

エアハルトは食事が終わると冒険者ギルドに向かう。受付にアメリーを見つけると笑顔になる。

 「おはようございます。昨日はありがとうございました。」「準備はちゃんとしている?」

 「はい、回復ポーションも忘れていませんよ。」「2階層だから、危ないと思ったら逃げ出すのよ。」「はい、行ってきます。」

用紙に名前を書くとダンジョンのある地下1階に走って行く。エアハルトはやっと2階層に進めると嬉しさと好奇心で心がはやっている。

 エアハルトはダンジョンに入ると真直ぐ2階層へ降りる坂を目指す。途中、棍棒を持ったゴブリンが5匹出るがエアハルトはゴブリンの間を通り抜けるように足を運ぶ。

 ゴブリンたちはエアハルトの動きについて行けない。通り過ぎるとゴブリンたちは急所から血を吹き出し倒れる。エアハルトは剣でゴブリンたちを一閃していた。

 ゴブリンの死体は地面に吸い込まれるように消え魔石が残る。すでに1階層の魔物は、エアハルトの敵ではなかった。日々、剣の腕を上げてきているのだ。

 エアハルトは出会う魔物を討伐しながら2階層へ行く坂にたどり着く。

 さあ行くぞー、2階層を早く攻略して先に進むんだ。まだ見ていないダンジョンに期待が膨らむ。もっと強い魔物と戦って強くなるんだ。

 エアハルトは坂を下って2階層に入る。以前、ここに転げ落ちた時はよく見ていなかったが、2階層の通路は1階層の通路より広い。これは、一度に2、3匹の魔物を相手にすることになる。

 狭い通路なら1対1で対決できるが、その手は使えない。

 どちらに進むか迷ったが魔物が近づいて来る気配がある。そちらへ向かうとコボルトが2匹来ていた。エアハルトは先手必勝とばかりに剣を振りかざして向かって行く。

 上段から剣を振り下ろすと受け止められる。エアハルトはつばぜり合いはしない。そんなことをしていれば、もう1匹のコボルトが襲って来るだろう。素早く左足でコボルトの右ひざに蹴りを入れてひざを蹴り砕く。

 コボルトは勢いよく倒れる。しかし、とどめを刺す余裕はない。もう1匹のコボルトが剣を腰だめにして突きをエアハルトに放つ。

 エアハルトは剣で受け流して剣筋をずらす。2本の剣は火花を散らす。エアハルトは半身になって、剣を上に引き上げながら、コボルトの首を狙って剣を振り切る。コボルトの首が落ちて倒れる。

 「ふぅー」大きく呼吸して、呼吸を整える。右ひざを壊されて地面に横たわるコボルトが仲間を呼ぶように遠吠えをする。

 「うおおおおぉぉぉーーーーーーーーー」

エアハルトは剣を突き下ろしてコボルトに止めを刺す。魔石を回収するとコボルトが来た方向と反対の方向へ進む。コボルトの群れに会わないように祈りながら走る。

 突然、矢が飛んでくる。矢はエアハルトの右肩に当たるが金属製の防具が矢をはじく。エアハルトはうかつにも走って進んだのでわき道に潜むゴブリンを見逃していた。

 わき道には3匹のゴブリンがいる。ゴブリンは3匹とも矢をつがえる。そして、同時に3本の矢が放たれる。エアハルトは剣で2本の矢を打ち払うが1本の矢が左腕に刺さる。

 それでもかまわず、ゴブリンとの距離を詰める。ゴブリンは慌てて弓を捨てて、剣を抜こうとする。剣を抜く前に1匹目の首をはね。さらに2匹目を上段から剣を打ちおろして頭を割る。

 3匹目が剣を抜くが構える前に袈裟切りにする。3匹のゴブリンを倒すとエアハルトはわき道の影に身を隠して、左腕に刺さった矢を抜く。

 「痛てー、くそー、油断した。」

独り言を言いながら手早く止血する。左腕は使えるので回復ポーションは使わない。ポーションはいざという時まで温存しておくのだ。

 エアハルトは再び進み始める。今度は十分警戒して歩みを進める。途中、ゴブリンを10匹討伐する。矢を受けるようなへまはしない。

 「コボルトは出て来ないな。追って来る気配もないな。」

コボルトの群れに遭遇しないことはラッキーだ。エアハルトはこれまでの経験からこれで終わらないと考える。嫌な予感がするのだ。

 ここで引き返してダンジョンを出たほうがいいだろうか。だが、2階層の探索を始めたばかりである。エアハルトは悩む。立ち止まって通路の壁に手をつく。

 すると壁の手をついたところが押し込まれ、通路に亀裂が走り、隠れていた扉が開く。

 「これは、隠し部屋か何か宝箱があるかもしてないな。」

エアハルトは隠し部屋に入る。すると退路を塞ぐように扉が閉まる。中は薄暗くて、魔物が多数いる気配がする。しまった罠だ。エアハルトは恐怖でノルアドレナリンが分泌される。

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