第2話 グリムの正体
エアハルト、アルノー、アロイスの3人が冒険者ギルドに呼び出される。3人はギルド長の部屋へ案内される。冒険者ギルド長のコンラートが3人の相手をする。
「来てもらったのは38階層の魔物についてだ。」「何かわかったのですか。」
「魔石から瑠璃色の魔物はロックリザード、赤銅色の魔物はサラマンダーと判明した。」「ということはグリムの正体についても分かったのですか。」
「前例があった長い間、閉鎖をされたトリーゼンのダンジョンだ。」「難易度が高いと言われているところですね。」
「そこに現れた異常種のためにダンジョンが閉鎖されたのだ。何度か討伐隊を出して、何とか討伐したのだが、街が一時廃れてしまったそうだよ。」「それがグリムですね。」
「ああ、ロックサラマンダーと呼ばれている。少なくとも500人の冒険者が殺されている。」「とんでもない化け物だったのですね。」
「君たちが討伐に成功していなければ、トリーゼンと同じになっていただろう。ありがとう感謝する。」「僕たちは自分たちのためにやっただけです。」
「エアハルト君、君のスキルについては引き続き秘匿とするが、魔物の情報については発表することになる。」「分かりました。」
エアハルトたちはギルド長の部屋を後にする。するとギルド職員たちが拍手する。エアハルトたちは「ありがとうございます」と答え、ギルドを後にする。
アングラートの食卓にエアハルトたちが戻るとセクメト・クランのメンバーがそろっていた。アルマが代表して質問する。
「ギルドから何か言われたのか。」「38階層の魔物とグリムのことだったよ。」
「何かわかったのか。」「魔石から瑠璃色の魔物はロックリザード、赤銅色の魔物はサラマンダーと分かったよ。」
「その魔物ってトリーゼンのダンジョンの魔物じゃないか。」「そうなんだ。」
「トリーゼンのダンジョンは攻略が難しくて、特にそのサラマンダーとロックリザードが厄介なんだよ。」「グリムもそのトリーゼンのダンジョンで前例があったそうだよ。」
「きっと異常種だろ。」「その通り、ロックサラマンダーと言うそうで討伐に苦労したらしい。」
「追加の報酬は出るのか。」「そんな話はなかったよ。」
「エアハルト、代表なんだから報酬くらい要求しろよ。」「そこまで気が回らないよ。」
エアハルトの報告が終わるとセクメト・クランのメンバーはそのまま宴会を始める。
2日後、38階層の魔物とグリムの正体について公開される。同時に、エルメンヒルトが作成した地図などの資料が公開される。
イーリストリニティは一番乗りで公開した資料を閲覧する。アルフレートたちは、35階層から38階層の資料を見て話し合う。
「私たちに38階層まで行く力があると思う?」「エアハルトと黒水晶は2人で生還したぞ。」
「しかし、ベヒモスの群れと魔物たちの大軍よ。」「準備しておく必要があるね。」
「まずは34階層でベヒモス攻略法を身に着けることが必要だ。」「私たちは、高レベルのメンバーをグリム討伐で失っているのよ。」
「だがレベル4のメンバーなら数が揃う。彼らを鍛えよう。」「どうやって鍛えるの。」
「セクメト・クランはモンスターラッシュを訓練に取り入れているそうだよ。」「メンバーが逃げ出すわよ。」
「逃げるような奴はいらないよ。」「分かったわ。3人で手分けして訓練しましょう。」
イーリストリニティはモンスターラッシュを訓練に取り入れることにする。
イーリスクランのメンバーは地獄が待っていることを知らない。
アルフレートは、3つの所属のパーティーを引き連れてダンジョンに潜る。6階層まで降りるとアルフレートがメンバーに言う。
「君たちはここで休んでいてくれ。私は所用があるから気にしないでくれ。」「わかりました。」
イーリスクランのメンバーが休んでいると地面から振動を感じる。勘のいい者が危険を察知する。
「何か来るぞ。戦闘準備だ。」「わかった。」
そこへアルフレートが走って来る。アルフレートはニオイ袋を落とすとみんなに言う。
「頑張ってくれ。死ぬなよ。」「えっ。」
アルフレートは去っていく。
「アルフレートさんにはめられたぞ。」「なんだって。」
前からはシルバーグリズリーやワーウルフが雪崩のように迫って来る。
「モンスターラッシュだ。」「逃げるか。」「ここに逃げ場はないぞ。」「戦うぞ。」
「剣士は前衛、魔法使いは援護だ。」
メンバーは混乱しながら陣形を作る。そして、魔物たちと衝突する。メンバーは戦うしかなかった。剣士は命がけで剣を振るう。魔法使いは少しでも数を減らそうと攻撃魔法を使う。
剣士は3人が重傷を負う。他の冒険者もボロボロである。皆、回復ポーションを飲む。そこへアルフレートが戻って来る。
「うん、みんな生き残ったね。」「アルフレートさん、何をするんですか。死人が出ますよ。」
「私たちが向かう深層は地獄だよ。これくらいはこなしてくれなくては困るんだ。」「・・・・・」
「ついてこれない者はクランを抜けてくれ。」「俺たちはイーリスクランであることに誇りを持っています。」
クルトとアライダも同じ訓練をする。そして、クランを脱退する者が5人出る。