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第1章:弑逆鬼神の髑髏杯 (2) 朱雀瑞鬼襲来②

「隊長ーー!!。隊長が鹵獲された。奪回に掛かれ!!。」

二人の打ち合いにかたずを飲んで見守っていた城兵たちは、副長の檄で我に返ると必死の形相でルキウスへ突進した。それを阻むために特使親衛隊がルキウスを囲んで防御の体制をとった。城兵と親衛隊が激突しようとする瞬間に、魔法杖を掲げたガイウスの詠唱が高らかに響いた。

「中位闇魔法(Middle Class Destruction)、詠唱(Spell)、戦意喪失(Battle Sabotage)!!」

すると急に戦場に重苦しくけだるい雰囲気が充満し、兵士たちの足が止まり、組み合った武器を持つ手が下がってしまった。

「我々は戦いのためにこの場を訪れたわけではありません。ましてや貴軍の隊長や兵士の方々を傷つけることは本望ではありません。隊を引いて戴き、我々の任務を遂行する協力をお願いしたい。まずは、隊長の手当を早急に。」場が収まって来たのを確認すると、ガイウスは落ち着いて城兵の副長へ語りかけた。

「は、はい。まずは隊長の引き渡しを願いたく。」ガイウスの冷静な態度に威圧された副長は救護兵を呼び、担架にぐったりしている鬼娘を横たえると、城門の中に運ばせた。担架の離脱が確認できると、副長は城兵の戦闘態勢を解除し、城門を開いた。

「この度は、大変ご無礼をいたしました。姫様が、いや隊長がどうしても腕試しを、今後の警備体制のために必要だと言い張られまして。このような醜態をさらしてしまい、大変申し訳ありません。」

「本来は当方の落ち度ではないはずだが、隊長殿の件は正当防衛ということで、容赦して戴きたい。」とガイウス。


「イタタタ・・・。まったく瑞鬼は相変わらず石頭だからまいるよなぁ。角もあるし。」救護術士の回復魔法で治療をうけた額のたんこぶをさすりながら、ルキウスが近づいてきた。大きく青黒く膨らんでおり、みるからに痛々しい。

「ルキウス、九条城の隊長を知っているのかい?」

「ええ。昨年の武闘オリンピックの決勝で戦った相手です。その時は私に適わないから頭突きを食らわしてきたのですよ。今回は仕返しというところですね。」

「何者なんですか彼女は?」聖煌剣や親衛隊、護衛隊の無事を確認していたローバックも近づいて来て会話に加わった。

「姫様は天鬼国領主の第二子女にて九条城城主であり、鬼神二刀流免許皆伝の剣士にてあらせられます。今回の件のとりまとめ総責任者でもあります。」と副長。

「総責任者?」

「そちらについては、ここではご説明しにくいので、まずご入城ください。」

副長の言葉にうなずいた一行はそれぞれの乗り物に乗りこむと、移動を再開した。

「いやー、まったく驚きました。ケガ人が最小限で良かったです。さすがですハイト卿様。」と副大臣。

「いや、厄介なじゃじゃ馬をランド卿がうまく制圧してくれたからですよ。手加減しているとは言え、あの技のキレ味からして私も避けるのが精一杯でしたからね。」とガイウス。

「さすがランド卿、美少女の扱いは慣れているというところでしょうか。うらやましい限りですな。」

また二人で意味不明な納得をしたところで、馬車は九条城車寄せに到着した。

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