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第4章:結アウレリウス戦役 (2) 封印街道③

 気が付くとセシリアは平らに敷かれた柔らかい草の上に横たえられていた。手をついて上半身を起こすと、ガイウスが液体が入ったコップを手渡して来た。まだ頭がガンガンし、胸のあたりがムカムカしている。


「大丈夫かい?。闇魔法瘴気に当てられたんだね。その薬を飲むとすっきりするよ。」

 ガイウスはそう話しかけた。セシリアは言われるがままにその液を口に含んだが、その気持ち悪さにすぐ吐き出してしまった。すると、吐き出した液に引き出されるように口から黒い液体がドロドロと流れ出て来た。ドロドロの液体はすぐ蒸気になって消えてしまったが、出し切ってしまうと、確かに体がすっきりとし、頭痛も消えていた。

「これは?」咳き込みながらセシリアが聞くと、ガイウスは笑いながら答えた。

「マカイニガヨモギの煮汁だよ。少し苦いけど瘴気中毒に良く効くんだ。すっきりした?。」

「ひどーい。いじわる。」セシリアは恨めしそうに言って咳き込んだ。

「ごめんごめん。無事でよかった。」ガイウスは顔を赤らめて謝った。


 二人は、焚火で温めた携帯食料を食べ、聖水で淹れた紅茶を飲んで体を温めた。

「セシリアは聖唱魔法の使い手だったんだね。たしかにもっと早く気付くべきだった。礼拝堂であれだけの大勢の意識を奪ったのも、古代城でアポロン魔法杖を見つけた時も、全部聖唱魔法の効果だったんだ。」ガイウスは語りかけた。

「ええ。小さい頃から歌が好きだった私は、お歌のレッスンの時に先生がいつも寝てしまうのが不思議だったの。何かの機会に聖煌魔法大神官にその話をしたら、幻の聖唱魔法だと教えてもらって。それからこっそり訓練をしてコントロールができるようになったの。」セシリアは語った。

「精神攻撃系の魔法だけでなく、あらゆる聖煌魔法を増幅して広域に作用させることができるみたいだね。それだけで戦場をコントロールできる素晴らしい魔法だよ。助かったよ。ありがとう。」

 ガイウスは感謝の意を述べた。


「実は昨日、セシリアが眠っている時に、闇刻盾を調べてみたんだ。」

 次の日の朝、食事を終えて休憩を取っている時にガイウスはセシリアに話しかけた。

「今まで気が付かなかったんだけど、表面に古代ルーン文字で色々なことが刻まれていたんだ。それによると、どうも闇刻盾は聖闇魔法エネルギー変換能力を持っているらしいんだよ。」


「聖闇魔法エネルギー変換能力???」セシリアはぽかんとした表情で聞き返した。

「うん、この盾の黒い面で闇魔法攻撃を受けると、聖魔法エネルギーに変換して白い面から放射することができるらしいんだ。白い面で聖魔法攻撃を受けた時も、闇魔法エネルギーに変えて黒い面に放出できる。もちろん魔法攻撃を防いで持っている人を守ることもできるよ。」ガイウスは続けた。


「なるほど??」セシリアは怪訝な顔をして聞いていた。

「さらに驚くべきことに、闇刻盾は変形能力を持っているんだ。今は盾の形をしているけど、もともと女神が身に着ける鎧だったという言い伝えがあって、どうやらそれは本当らしいんだ。」ガイウスはさらに続けた。


「なるほど、なるほど??」セシリアはさらに怪訝な顔をして聞いていた。

「そうだとすると、闇刻盾は天使族にとって最強の装備になるってことだよ。闇魔法攻撃はすべてシャットアウトするだけでなく、聖魔法力に変えてエネルギー補充してくれる超有用な鎧に変形することでね。」ガイウスは得意げに語った。

「ちょっと試してみたいんだけど、いいかな?。キーを貸してくれるかい?」

 ガイウスはペンダントを受け取ると魔法を唱えた。


「高位闇魔法(High Class Destruction)、変形(Change)、女神の守護鎧(Aegis Athenai)!!」

 すると闇刻盾は光り始め、光が治まった時には魔法防具(胸当て、肩当て、腰当て、冠、軍靴)に変化していた。

「素晴らしい。ちょっとこれを着けてみてくれないかな。」ガイウスはキーをセシリアに返して言った。

 セシリアは女神守護鎧を身に着けた。着ると鎧は体にしっくりくるように微妙に変形した。外見は黒光りをしていたが、内側は白色でほんのり発光しているようだった。

「なんだか暖かくて、元気が湧いてくる感じがするわ。」セシリアは微笑んだ。

「この場に満ちている闇魔法エネルギーを聖魔法エネルギーに変換して、着る者に供給しているんだ。成功したようだね。」ガイウスは満足そうに微笑んだ。


「これで、セシリアも基本エネルギーの枯渇することもないだろう。よかった。」

「体が軽くて、いくらでも動けそう。ありがとう。」

 セシリアは軍装姿にも関わらず、片足を軸にクルリと一回転した。その身のこなしは実に軽やかだった。

 二人は、顔を見合わせるとニッコリ笑いあうと、荷物をまとめて出発した。


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