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第3章:セルシウス教皇の策謀 (6) 計画の破綻①

 封魔神器交換の儀式を弑逆鬼神元治経義への攻撃の場にするという、教皇カール9世の発表が公になると、鬼神が復活を遂げようとしているという衝撃的な事実も相まって、皇都は騒然となった。祝勝のお祝いムードは一変し、鬼神との戦いに備える臨戦態勢へ向けて一気に慌ただしくなって行った。


 攻撃の当日、ガイウス一行は会場となる教皇主座教会主礼拝堂へ向かっていた。全員フル装備である。

「しかし、こんなことになるとは思いもよらなかったな。アウレリウス戦役で父上が討伐した弑逆鬼神が復活するなんてね。」ルキウスが言った。

「何か裏があるんじゃないかと思ってたのよね、今回の件。わざわざ門外不出の髑髏杯まで持ち出してきてさ。」瑞鬼が答えた。

「ところで、先日の晩餐会でも、遠隔攻撃の作戦会議でも、セシリアの様子がおかしかったのが心配だわ。団長さんともギクシャクしているようだし。何かあったのかしら?。」瑞鬼は続けた。

「そういわれると、そうだね。兄上と喧嘩でもしたのかな?」ルキウスは答えた。

「いろいろ準備が忙しくて、今回の件以外議論できていないんだよね。」


「今回の件は、どこまで知っていたんですか?。フォン・フェンラント公。」

 ガイウスはわざと軍職名ではなく公職名で聞いた。

「詳しくは何も。今代様は、これは次代様の戦いであると仰っていました。私に次代様への協力を依頼され、私はそれをお受けしたのみです。」ローバックは淡々と答えた。

「私の戦い、か。予感がなかったといえばウソになるでしょうね。」ガイウスは言った。

「次代様の力は、神力を持つ私でさえ測りしれないほど強大です。それは一緒に旅をして来て実感した、噓偽りない思いです。時間はかかるかもしれませんが、必ずや弑逆鬼神を打ち滅ぼすことができましょう。」ローバックはガイウスの目を見て言った。

「フェンラント公に、そう言ってもらえると励まされます。」ガイウスは答えた。

「私が戦いに趣く日まで、助力をお願いします。」

「御意。仰せのままに。」ローバックは答えた。


 ガイウス一行が教皇主座教会へ到着した時には、半数以上の聖煌魔法軍団、聖煌魔法騎士団が集まってきており、主礼拝堂の前庭に陣営を築いていた。国境警備の兵団も必要最小限の兵力を残して参加することになっており、セルシウス聖撰国のほぼ全兵力が結集することになっていた。続々と到着する軍団の往来で、主礼拝堂はごった返していた。


 主礼拝堂の中心の祭壇には、聖煌剣、闇刻盾が並んで設置してあった。2つの封魔神器から少し下がったところに元治経義の髑髏杯が祭られている。聖煌剣に近い側にキーを持つガイウスの持ち場が、闇刻盾に近い側に担当の聖煌魔法術士の持ち場が、そして髑髏杯の側に朱雀姫瑞鬼の持ち場が設営されていた。髑髏杯からみて2封魔神器の反対側に今回の攻撃の総司令官である教皇カール9世の祭壇が設置されている。


 攻撃開始となる正午の30分ほど前には、総員の配置完了の知らせが総司令本部に届いた。その知らせを受けて、総司令官のカール9世は自分の持ち場である祭壇に着き、開戦に向けた演説を行った。

「本日、この世界に仇成す弑逆鬼神元治経義への攻撃に参加してくれた諸氏に対して、感謝を申し上げたい。敵は魔界の奥深くタンタロスから我らに攻撃を仕掛けて来ている。地上から敵へ打撃を与えることは非常な困難を伴うことであるが、封魔族の同胞により敵が弱体化している今こそ、痛撃を与える絶好の機会と考えられる。幸いなことに世界に稀なる絶大な威力を誇る封魔神器が2つも揃っており、元治経義にとどめを刺すための髑髏杯もこの場所に到着しており、わが軍の優位はゆるぎないものとなっている。ここに皆の力を結集して、弑逆鬼神を打ち滅ぼそうではないか。!!」

「オォッーーーー!!」その場にいた全員が鬨の声をあげ、それに呼応するように前庭の軍団からも鬨の声が響いてきた。


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