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第3章:セルシウス教皇の策謀 (2) 古代城の秘密③

 次の瞬間、ガイウスは闇魔法防御壁を作り出し、炎の玉の直撃を弾き返した。同時に壁伝いに走り、攻撃を仕掛けてきたガーゴイルに闇魔法攻撃をぶつけた。


「ローバック隊長、そっちの方を頼む。秘書官殿、皇女様に防御壁を!!」

 扉の両側を守るガーゴイル2体は少し離れた位置に設置されていたが、扉の封印が解けると同時に両側から炎の玉を口から連続的に発射して来たのだった。

 ローバック隊長が反対側のガーゴイルに駆け寄り、剣で攻撃を始めようとしたとき、凛とした声が響いた。


「皆の防御は私が行います。ガートルードはハイト卿様の支援を、神官はローバック殿の援護を。各部隊はリーダーの支援に入るように。」

 次の瞬間全員を囲む柔らかな明るい光の半球が現れた。ガーゴイルが放つ炎の玉は半球に当たると薄れて消えていった。セシリアが防御聖魔法を使ったのだ。

 ガイウスが闇破魔法でガーゴイルを破壊するのと前後して、ローバックがもう一体のガーゴイルを剣の柄でグシャグシャに叩き崩して動きを止めることで、戦闘は終了した。


「城の魔除けであるガーゴイルを封印を破ろうとする侵入者への防御としていたんだな。」

 ガイウスはガーゴイルの残骸を見ながら言った。

「扉の闇魔法回路が変更されて封印が解かれると闇魔法流がガーゴイルの方へ流れる仕組みだったようだ。」

「お見事な封印解除、戦闘でした。」セシリアが感謝を伝えた。

「皇女様の防御魔法も素晴らしかった。守られているだけでなく、気力が湧いてくる気がしました。さすが聖煌魔法ですね。」

 ガイウスもセシリアの魔法力を改めて実感した。


「それでは、封印も解けたので内部の探索へ向かいましょう。」ガイウスが言った。

「ええ、もちろん。」セシリアが答えた。

 ガイウスが扉に触れると、ギィーときしむ音がしてひとりでに両扉が内側に開いた。二人が先頭を切って中に入ろうとすると、戻って来ていたローバック隊長が声をかけた。

「お待ちください、次代様。扉はまだ開いていません。どちらへ向かおうとしていますか?」

「えっ。城内に決まってるじゃないか。中に大広間が見えるだろう?。」

 ガイウスは怪訝そうに尋ねた。

「ハイト卿様、私にも扉が開いているようには見えません。皇女様には中が見えますか。」

 主席秘書官も同じように尋ねた。

「私には扉が開いていて中へ入れるように見えています。これはどういうことでしょうか?。」

 セシリアは答えた。


「封印は私と皇女様にしか解かれていないということだろうか?」

 ガイウスは魔法杖を入口に差し入れてみたが、特に抵抗もなく自由に動かすことができた。

「おおっ、杖が扉の中に飲み込まれているように見えます。」

 ローバックが感嘆の声を上げた。セシリアも同様にしてみたが、結果はガイウスと同じだった。

「では、我々はどうでしょうか?」

 ローバックは入口を塞いでいるように見える扉に近づき、手で触れてみた。そこにはしっかりとした扉の感触があり、押してもびくともしなかった。


「王族のような限られた方々にしか解かれない封印のようですね。この扉は。」

 主席秘書官は言った。

「次代様と皇女様だけで城内を探索するのは非常に危険です。どう考えても先ほどのガーゴイルよりも強力な守護魔が内部にいることは確実です。」

 ローバック隊長が言った。

「今回は扉の封印が解けたということで、対策を検討してまた後日再開ということでどうでしょうか。」 

 主席秘書官は言った。


「しかし、次の機会はいつになるかわからないし、対策と言って特にできることも限られるだろう。時間もないことだし、私だけでも少し中を見てこようと思う。次回の参考にもなるし。」

 ガイウスは言った。

「わたくしも参ります。こんな扉を開いただけで帰るだなんて好奇心が許しませんわ。」

 セシリアもすかさず言った。


「皇女様!!危険です!!」

 ガイウス、ローバック隊長、ガートルード主席秘書官が同時に声を上げた。

「大丈夫。先程のように、防御はわたくし、攻撃はハイト卿が行えば、大抵のことは何とかなるでしょう。」

 自信ありげにセシリアは答えた。

「封印が我々二人にだけ解かれたということは、入るべきは我々二人ということなのでしょう。この城を封印した古の城主の導きに従いましょう。」

 セシリアは続けた。


「う、うう。そう言われると返す言葉が・・・。」

 三人は黙ってしまった。

「皇女様のお言葉に従います。ただし、これだけはお守りください。入ってすぐの部屋を確認したら、奥に進まず一旦お戻りください。戻れなくなる危険を少しでも減らしたいのです。お願いでございます。」

 主席秘書官が懇願した。

「わかっているわ。時間もないのだし、主催者が晩餐会をすっぽかすわけにはいかないでしょ。」

 セシリアは答えた。

「では、参りましょう。ハイト卿様。」


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