第5話 エロゲーとの出会い⑤
――2日後――
俺は『ノベルゲーム部』の全ルートを攻略し終わった。早すぎると思う人も居るだろうが、2日前から大学をサボって、1日中エロゲーをやり込んでいたから当然だ。
全ルートを攻略したが、やはり柊亜衣ルートが1番良かった。キャラデザ的にも1番好きだし、亜衣ルートではツンデレっぷりを遺憾無く発揮してくれた。萌えた。
もちろん北条麻妃ルートにも満足出来た。麻妃ルートではヤンデレの恐ろしさを少し理解する事が出来た気がする。ああいう女の子は可愛くても近づかないのが得策だろう。
全ルートに面白い要素がたくさんあって、最後まで飽きずに出来たし、シリアスな展開ではヒロインに共感し過ぎて、涙が出そうになった。
1つも面白くないルートは無かった。大満足だ。だが、その分喪失感が尋常じゃない。
ここまでの喪失感を体験したのはこれが初めてだ。アニメとかでも、流石にここまで喪失感を味わう事も無い。
誰かとこのゲームについて語ったりして、喪失感を紛らわせたかった。俺はそこで思い付いた。
蓮と語ればいいじゃないか!と。
早速、蓮に電話を掛けた。今日は日曜日で大学も無いはずだから、多分出るだろう。
「もしもし?」
「もしもし、今大丈夫か?」
俺はそう確認を取った。
「うん! 今大丈夫だよ〜。で、どうしたの?」
「実はな蓮に貸してもらった、『ノベルゲーム部』を全部やり終えたんだ」
「え?! 本当に?! 思ってたよりだいぶ早いね」
蓮は驚いた様子の口ぶりで言った。
「ああ、面白すぎて一気にやってしまった」
「でしょ?! 面白いよね! 蓮がそう思ってくれて嬉しいよ」
喜んでるのが、電話越しでも伝わってくる。
「で、今喪失感がとんでもないから、それを紛らわす為に誰かと語り合いたくてな」
「あー.....分かるよその気持ち。エロゲー全般に言える事だけど、終わった後の喪失感は半端じゃないよね.....」
深く共感した様子だった。蓮は幾度と無くこの喪失感を味わったのだろう。
「だな.....しばらく引きづりそうだ」
「あはは.....まぁとりあえず、『ノベルゲーム部』の感想を教えてよ」
「先も言った通り、とても面白かった。コメディ要素ではだいぶ笑わせて貰ったし、シリアスな展開では、普段とのギャップで更に感動が引き立った。ヒロインも1人1人キャラが立ってて可愛かった。正直大満足だ」
「うんうん、普段のほのぼのした展開からのギャップが凄いよね! 僕なんて感動して全ルート泣いちゃったよ>_< 」
「俺も蓮と同じで全ルート感動したが、やっぱり柊亜衣のルートが1番感動したな」
柊亜衣は元々1番好きだし、感情移入してしまって危うく泣きそうになった。蓮は全ルート泣いたらしいが、小さい頃から比較的涙腺が弱かったし、全然不思議では無い。
「柊亜衣ルートも良いよね! もしかして光って、柊亜衣が1番好き?」
「良く分かったな。キャラデザをパッケージで見た時から断トツで好きだった」
「だよね.....光が好きそうな感じするなーって、思ったもん」
流石蓮、俺のタイプを良く分かっていらっしゃる。伊達に幼なじみしてないな。
「だろ? 柊亜衣が可愛すぎて、最後ら辺に感情移入し過ぎてやばかったぞ.....」
「あはは.....光が感情移入するのとか想像出来ないな.....」
「おいおい、心外だな。俺の事を感情が無い殺戮ロボットとでも言いたいのか?」
俺も感情移入くらいするっつうの。人間だぞ?
「そこまでは言って無いよ?!」
蓮は不意に横腹をつつかれたような反応をした。
「いやいや、蓮とは長年の付き合いだが、今のは経験上俺を馬鹿にしてたぞ」
「むー.....」
蓮は図星を突かれたかのような反応をした。
「その反応は、俺の経験上蓮が図星の時にするやつだ」
「んっ?!」
ほらその反応。またまた図星だな。
「図星だな?」
「うん.....ごめんね? 光があんまり感情移入とかしたの見た事無かったし、ちょっとからかっちゃった」
「許さん」
「だからごめんって! 許してよぉ>_<」
泣きそうな声で蓮は許しを乞う。ちょっと可愛いな.....あ、ダメだダメだこいつは男.....俺にそっちの趣味は無い。
「冗談だ.....怒ってないから」
「良かったぁ! 許してくれなかったら、僕どうしようかと思ったよ.....」
「ははは.....そんな事ある訳ないじゃ無いか。あははは.....」
俺は蓮から考えを逸らすのに精一杯だった。
光は遂に『ノベルゲーム部』を攻略しましたね!!!
ところで、メリークリスマス!!!
もうクリスマスかぁ.....1年はあっという間でしたね!
3日ぶりの投稿になってしまってすみません汗
年末に差し掛かる今の時期が大変忙しく、中々執筆に時間が当てられませんでした.....
頑張りますので、応援よろしくお願いします!!!