第2話 エロゲーとの出会い②
駅前から、15分程歩くと蓮の家に到着した。蓮はアパートに1人暮らしをしている。
「着いたー! さぁさぁ上がって上がって」
蓮はそう言うと、ドアを開けて自分の家へと手招きしてくれた。
「お邪魔します」
そう言い。玄関で靴を脱ぎ、家へ入った。蓮の家は広めのワンルーム。そこにあるものは前にも説明した通り……
「何度観ても、この家は凄いな」
見慣れていてもそう言ってしまう……周りを見渡すと、壁一面にショーケースで飾られた美少女のフィギュアがあり、反対側の壁を見てみると、美少女キャラのタペストリーが飾られていて、天井にもびっしりと美少女キャラのポスターが貼られている。
「凄い? そうかな、普通だよ?」
蓮は不思議そうに言った。この家は、普通だと、本気で言っているのが目を見たら分かる。この目は本気だ。確かにそういうオタク趣味がある蓮からしたら、この家は何一つおかしいところが無いのだろう。
「そうか……じゃあ早速、蓮の言ってたアニメでも見るか?」
俺は話を変えた。このまま今の話題を続けても無駄だと判断したからだ。俺には到底理解出来無いもであり、ここまで没頭出来るものに、この人生で出会ったことがない。
「うん! 早速見ようかー準備するね!」
蓮は機嫌が良さそうに、テレビを付けて、アニメを見るための準備をしている。俺はする事が無かったから、とりあえずテレビの正面にあるソファに腰を下ろした。
蓮は準備が終わったのか、俺の隣に腰を下ろした。
「じゃあ、アニメ流すよ?」
蓮にそう確認を取られたから、俺は無言で首を縦に振った。
そこから5時間程経ったのだろうか、家のカーテンの隙間から見える空は、もうすっかり黄昏へと染まっていた。アニメを見始めそのままぶっとうしで、最終回まで見てしまった。今はもう最後のEDが流れていた。
正直このアニメはとても面白かった。コメディ要素を入れつつ、終盤のシリアスな展開では感動させられた。バランスが上手く取れていた作品だった。
てか、こんな面白いアニメの原作がエロゲー?未だに信じられないな……俺はエロゲーにまた少し興味が湧いてきた。
「どう? このアニメ面白かった?」
そう蓮が聞いてくる。
「正直想像以上だ。ク○ナドといい、このアニメといいエロゲー原作のアニメは思った以上にすごいな」
俺は驚いた様子で蓮に話して見せた。
「でしょ?! てかさ、光もエロゲー興味持ったと思うし、1回プレイしてみない?」
蓮は嬉しそうに、目を輝かせて言った。俺もエロゲーには興味が出たし、やってみるのもありだと思った。
「そうだな、1回やってみたい」
そう答えると。
「ほんとに?! ならおすすめのやつ貸すよ! あ……、 けどこれね、昔に流行った奴だから、Windows10とかに対応してないんだよ……光、WindowsXPとか持ってたりしない?」
蓮は少し申し訳なさそうに言ってきた。
いやいや、WindowsXP?持ってるわけ無いだろ……何年前に出たPCだと思ってんだよ。
「すまん……流石に持ってない」
今の時代2000年代の初期に発売されたPCとか、持ってる奴いるのか?
「だよねー……あ、そうだ! 僕持ってるし貸してあげるよ!」
は?!?!……持ってる奴いたぞ。しかも目の前。
「本当か? よくそんな昔のPC持ってるな」
なんで持ってんだろう。
「あー、昔のエロゲーするために買ったんだ!」
あ、良く考えてみたらそうだ。まず蓮が昔のエロゲーを貸そうとする時点で、普通持ってるって分かるよな……
「そうか、でも貸してもらって良いのか? 終わるまで返せないぞ」
てかエロゲーってどんくらいで終わるんだろう。長いのか?
「全然いいよ! 最近は新しいエロゲーやってるし、しばらくは貸せるよ」
それならお言葉に甘えて、貸してもらおう。ついでに、俺は疑問に思った事を聞く事にした。
「エロゲーって基本どのくらいで終わるんだ?」
そう言うと、蓮が黙り込んで、 考え始めた。そんなに考える事か?と思ったが、待つ事にした。少し経つと、蓮が急に口を開いた。
「んー、ものによるとしか言えないんだよね……10時間くらいで終わるものもあるし、50時間以上のものもあるし、ルートによって長さも同じゲームで変わってくるしね……」
なるほど。ならこの質問は少し無粋だったかもしれない、考えてみれば物語は作品によって当然長さも変わるしな。
「だよな、変な質問してすまない」
そう謝り、軽く頭だけ下げた。
「いやいや! そんな謝らないでよ!! 反応に困るよ……」
蓮は少し焦ってそう言った。
「ごめんごめん」
そう返すと。
「また謝ってる……」
蓮はそう言い、少し頬を膨らませて不機嫌そうな顔をする。俺はそれに対する良い返しが分からなかったから、特に理由は無く、蓮と目を合わせる。しばらくしても、お互い目を逸らす事は無く、見つめ合っている。これ何の時間なんだ……
「……」
「……」
俺は小っ恥ずかしくなって、思わず吹き出ししまった。
「ふっ」
蓮は俺が吹き出したのを見て、眉をひそめる。
「なにさ! 僕の顔に何か付いてるの?!」
蓮はさっきより更に、頬を膨らませて不機嫌そうな顔をした。
「いや、すまん……ふっ、ついつい」
また吹き出してしまった。それを見た蓮はふんっと言い、そっぽを向いてしまった。
「いや、笑ったのは悪かったって、見つめ合ってたのが、小っ恥ずかしかったんだよ」
と言い、蓮の肩を揺らす。そうすると蓮は無言でこっちを向いてきた。また互いに見つめ合ってる状況になってしまった。
「ふふっ」
蓮が笑って、顔を逸らした。て、おい。
「お前も笑ってんじゃねえか!」
俺は蓮にツッコミを入れた。
「いやいや、ごめんね? ふふっ、確かに見つめ合ってると恥ずかしいね」
蓮は照れくさそうな顔で言ってきた。あれ?なんか可愛いな……いやいやダメだ。こいつは男。俺にその趣味は無い。
「だろ? てかさ、 気になってたんだけど、今回蓮が貸してくれるエロゲーってどんなものなんだ?」
考えを逸らすため、無理やり話を変えた。
「んーとね、いわゆる学園ラブコメだよ、いきなりバトル系とか、異世界系とかついていけないでしょ? だから最初は分かりやすくて、面白いエロゲーをして欲しいんだ! 今回貸すのエロゲーの面白さは僕が保証するよ!」
無理やり話を逸らしたが、それには対して何も言ってこなかった。確かに、蓮の言う通りだ。最初から、バトルとか異世界とか着いていけない。分かりやすくて、面白いものをするのが無難だろう。しかも、あの蓮が面白さを保証してくれている。
「蓮が保証してくれるなら、期待してみるよ」
そう言うと、蓮はとっても嬉しそうな顔をした。
それから、エロゲーとPCを貸してもらい、蓮の家を出た。外に出るともう夜だった。蓮が駅まで送ろうか?と言ってきたが、流石に申し訳ないので断った。
「家帰ったら、早速エロゲーしてみるか」
そう独り言を呟いて、俺は帰路についた。
ご覧頂きありがとうございます!!!
遂にエロゲーを次の話で光がプレイします!!!
是非お楽しみに!!!