第1話 エロゲーとの出会い ①
俺は水瀬光。21歳の大学2年生だ。なんで21歳で大学2年生なんだって?普通3年生じゃ無いかって?そう疑問に思った人も居るだろうが、答えは簡単、浪人したからだ……
何を隠そう今通ってる大学は、世間でも高学歴や、勝ち組と評されている大学であり。
高校3年生になっても友達と遊びまくっていた俺は当然受験に受かるはずもなく、俺は心を入れ替え浪人生活を頑張った。
そのお陰で、俺はこの大学に入れた。浪人時代のストレスもあってか、入学してからは死ぬほどはっちゃけた。 大学内でヤリサーと言われているサークルに複数入り、女を食いまくる生活を送っていた。
その影響もあり、学部1のヤリチンとまで言われるようになった。男には尊敬の目を向けられ、女には軽蔑の目を向けられるようになった。
俺はこのヤリチンの称号に誇りを持っている。
経験人数こそがステータスと考える人も少ないは無いし、実際俺もそう思っているからだ。
そんな俺は今日、小学生時代から付き合いがある大学の友達の家に行く予定があり、今身支度をしている最中だ。そいつとは高校が離れたが、定期的に連絡を取りあって、遊んだりしていた。だけど、大学が同じになった今は、遊ぶ頻度がだいぶ増えた。
その友達の名前は、澤端蓮。いわゆるオタクと言うやつで、そいつの部屋には沢山の美少女フィギュアが飾ってあり、美少女ポスターも壁一面にびっしりと貼り尽くされていた。
蓮の影響もあってか、俺はオタクとまではいかないけど、アニメを見ており、名作と謳われているアニメには基本目を通している。だから、今日もあいつの部屋で一緒にアニメを見る約束をしていた。
身支度を終えた俺は部屋から出て、蓮に会うため、最寄りの駅へバスで向かった。
駅に着いた俺は、次の電車が来るまで駅のホームにあるベンチに腰を下ろし、待つことにした。特に理由も無くスマホを弄っていると、心地のいい春風がホームを突き抜ける。
「もうそろそろ春も終わるな」
俺は小さい声でそう呟いた。あっという間に終わった春だった。大学も4月の上旬までは、春休み期間だったからか、部屋に居る事が多かったため、春という季節自体をあまり肌で感じられなかった気がする。
高校生の頃とかは、友達と一緒に桜を見に行ってたりしてたな……なんて懐かしい事を思い出し、少し苦笑した。
なんて考えていたら、電車が到着したため、早足で電車に乗った。電車の中は平日の真昼間のため、座れる程度には空いていた。入ってすぐ、扉の右側にある端っこの席が目に入ったから、そこに腰を下ろした。
ガタンゴトンと不規則に揺れる電車の中で、俺はまた特に理由も無くスマホを弄る。Twitterとインスタを交互に見る。それを繰り返す。それに飽きてきたら、ソシャゲを開きデイリークエストを消化し、フレンドポイントを貯めてガチャを引く。
そんな生産性の欠片も無い事を無心に続けていたら、いつの間にか、蓮の家が近くにある駅に到着した。
スマホをアウターのポケットにしまって、電車を降り、ホームにある階段を登った。登りきったところで、アウターのポケットからスマホを取り出し、蓮に電話をかけた。
実は今日、蓮と駅前で待ち合わせをしているため、駅に到着した事を伝えるためだ。
「もしもし、蓮、俺もう駅着いたけど。今どこ?」
そう告げると。
「もしもーし! 光もう着いちゃったんだ…… まだ僕、家出たばっかりだよぉ、もう少しかかりそうだから、待っててくれないかな?」
少し焦った様子の蓮が言った。
「了解」
俺は短くそう告げた。
「ありがとう〜 」
蓮がそう返答すると俺は電話を切った。もう少しかかるらしいので、俺は集合場所である駅前のベンチに腰を下ろした。
今日は蓮の家で遊ぶ予定なのに、あいつは、わざわざ駅まで迎えに来てくれるらしい。優しすぎやしませんか、蓮さん……
昔から蓮は本当に優しい奴で、俺が小学生の頃、人見知りの影響もあって、中々クラスに馴染めなかった時、俺に手を差し伸べてくれた。そして、友達になろうと言ってくれた。そのおかげで、徐々に人見知りが無くなり、最終的にはクラスの皆とも打ち解ける事が出来た。
今みたいなヤリチンにも、蓮が居なかったらなれていなかったかも知れない。そう考えると本当に感謝しなくてはいけない。この恩をいつか返したいと思う。ヤリチン街道を歩ませてくれてありがとうと……
それから10分程たった頃に、蓮が到着した。蓮は俺と目が合うと同時に、早足でこちらに近づきつつ俺に向かって。
「光! お待たせ〜! ごめん、待った?」
そう微笑みつつ声をかけてきた。それに対して俺は。
「全然待ってねぇよ、俺も今来たところ」
カップルの定番であるセリフを、俺は吐いた。
「そう? なら良かった! てかその返しカップルみたいだね」
蓮は少し照れくさそうに頬を掻いて言った。
「男同士なんだからそういう事言うのやめてくれよ……もしかして蓮、昔からそっちの気がありそうだとは思っていたが、まさか……」
俺が茶化すようにそう言うと。
「ち、違うよ! アニメでもこんなシーンがあったからさ、ふとそう思っただけだよ!」
蓮は分かりやすく頬を赤らめて、全力で俺に抗議した。
「冗談だよ、冗談。そんなに真剣になんなよ」
俺はニヤついて、蓮をなだめる。すると蓮は、頬を膨らませ不機嫌そうな顔をした。
「で、今日はなんのアニメ見んの?」
そう無理やり話を逸らすと。
「んー、今日は少し前に流行ったエロゲーが原作のアニメを見ようかなって思ってるよ」
そう蓮が口を開いた。不機嫌そうな顔はもうしていなくて、普通の顔に戻っていた。それに俺は安心しつつ、エロゲーが原作のアニメ?と疑問に思った。
「エロゲーが原作のアニメ? エロゲーってエロいゲームの事だろ?シナリオもクソも無さそうだな……まさか、2人でそれを鑑賞しつつ抜くのか?」
俺は疑問に思っていた事を、そのまま告げた。正直エロゲは、エロいだけでシナリオもクソもないゲームという偏見を持っていた。
「ぬ、抜かないよ! 確かにエロゲーの中でも、一般的に抜きゲーと言われているものはそうかも知れないけど、シナリオゲーって言われてる、シナリオがしっかり構成されているジャンルもあるんだよ? 今日はそれを見るんだ 」
蓮は真剣な顔でエロゲーについて説明してくれた。何かエロゲーに対して信念を持っているような感じだった。
「だけど、ライトノベルや漫画が原作のアニメからしたらシナリオとか薄そうだけどな」
俺はそう返した。正直エロゲーには偏見があったし、昔何度か蓮にも勧められたけど、興味が無かったからだ。
「もぉ、光は分かって無いなぁ、アニメ好きなら誰もが見た事のあるク○ナドもシナリオゲームが原作なんだよ?」
そう蓮に言われ、俺は唖然とした。
あの、ク○ナドは人生とまで言われたアニメがまさかエロゲーが原作だっただと?……それならば、蓮が言った通り、シナリオがしっかりと構成されたエロゲーがあるのかもしれない。あんなに感動したアニメはあれが初めてだったからこそ、俺は少しエロゲーに興味を持った。
「まじか……それなら少し興味があるな」
そう言うと。
「ほんとに?! なら、今日はエロゲーが原作のアニメを見てみようか」
蓮は嬉しそうに、そう言った。
今思えば。
これが、エロゲーに初めて興味を持った出来事だった……
閲覧して頂きありがとうごさいます!!!
記念すべき第1話✨
次はもっと具体的に、水瀬光とエロゲーの出会いを書きます!
次回楽しみにして頂けると、とっても嬉しいです!!!