第5話
お嬢様に着いてきた彼が、金髪碧眼の青年に『変身』した。
お嬢様の『エクストラヒール』で。
魔力持ちであることは確認出来たので、貴族出身な事は間違いないであろう。
呆けている彼を無理矢理風呂に入らせ、長子様の残した服から合いそうな物を着させる。
軽く食事を取らせていたら、
「あら、私の知らないうちに食事までしてどういう事かしら?」
ニコニコ顔のお嬢様が客間に入ってきた。
「お嬢様、お医者様に見せるまでは控えて頂きたいのですが?」
「一つだけ、急いで確認したいの。貴方、ご家族は?お仲間は?一緒にいたのかしら?」
「………………………………………仲間は居た。暗くて狭い場所だった。家族だったような、そうではないような。」
「貴方と同じくゴキブリだったのかしら?場所はどこらへんか、わかるかしら?」
「そうだ、ゴキブリだった。場所は説明できないが、案内は出来る。」
「では、食事が終わったら行きましょうか?」
「っ、お嬢様駄目ですいけません!」
「あら執事長、何故かしら?」
「危険があるかもしれません!」
「私が行けば、今すぐ行けば、もし彼のご家族やお仲間が居るのならその場で救えるわ。」
「それでも、控えて頂きたい。」
「私が行かなければ、ゴキブリの姿のままお連れする事になるわよ?」
「………………………………………そうですね、………………………………………私もお供致します。」
お嬢様は言い出したら聞きません。
それに、当家の中では実力はナンバー3ですから私が着いて行けば危険は少ないでしょう。
ナンバー1は当主様で私がナンバー2ですから。