第13話
「お嬢様、お話があります。」
「………………………………………何かな?農場長?」
お茶会が終わり、薔薇園を視察していると農場長に声をかけられた。
本来ならば私に伝えたいことがあるなら、立場的に執事かメイドを通すべきなんだけど、無視するのも如何かなと思ったのでお返事はしてあげた。
「立派な牛を頂きましてありがとうございます。雌牛は乳の出も良く、乳製品の仕上がりも格段に向上しました。優秀な雄牛を種牛に2頭残して、残りは農耕用に農場の開墾に役立てております。」
いつもは無口な農場長が、早口で一気に伝えてきた。
「あら、どういたしまして。」
「本当に素晴らしい牛達です!再来年辺りには乳製品の増産と荒地の開墾が進んで農産物の多様化が進められるでしょう。」
「そう、良かったわね。」
そりゃぁ、魔王軍の主戦力だった魔物達が牛に『化けて』いるんだから最強だよね?
でも、普通の牛と交配して良いのかしら?
「ねえ、マーオ?」
執事見習いとなった魔王に、尋ねる。
「良いのかしら?普通の牛と交配して?」
「差し支えないと思われます。」
「そう?では農場長、進めて貰えるかしら?良い牛が育ったら私と妹に一頭ずつ頂戴ね!」