第12話
「お嬢様、お話があります。」
「………………………………………何かな?騎士団長?」
テラスでお茶会をしていると、騎士団長に声を掛けられた。
本来ならば私に伝えたいことがあるなら、立場的に執事かメイドを通すべきなんだけど、無視するのも如何かなと思ったのでお返事はしてあげた。
「素晴らしい軍用馬を騎士団に頂きまして、ありがとうございます。」
興奮した様子で、うわずった口調で、騎士の礼をもって、伝えられた。
「あら、どういたしまして。」
「本当に素晴らしい馬達です。優秀な何頭かは繁殖に早速廻しました。再来年辺りには最強の騎馬軍団が出来上がるでしょう!」
「そう、良かったわね。」
そりゃぁ、魔王軍の主戦力だった魔物達が軍馬に『化けて』いるんだから最強だよね?
でも、普通の軍馬と交配して良いのかしら?
「ねえ、マーオ?」
執事見習いとなった魔王に、『マーオ』と名付けさせて貰った。うっかりと『魔王』と呼びそうになりそうだからね。
「良いのかしら?軍馬と交配して?」
「差し支えないと思われます。」
「そう?では騎士団長、進めて貰えるかしら?良い馬が育ったら私と妹に一頭ずつ頂戴ね!」
「かしこまりました!」