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第二十五話 システム管理者

 将軍のレベルが際限なく上がっていく。

 レベル500。

 単純な殴り合いでは、数値の暴力で押し切られる。


「ミキ! みんなの力を!」

「わかったわ!」


 ミキが倒れた猿田とミコトの力を『コネクト』で俺に繋ぐ。

 猿田の不沈の防御力、ミコトの焼き尽くす炎が俺に宿る。


「うおおおおお!」


 俺は剣を一閃させ、将軍を弾き飛ばした。

 壁に激突した将軍は、驚愕の表情を浮かべている。


「馬鹿な……レベル500相当の出力を弾き返すだと?」

「レベルなんてただの数字だ。仲間と積み上げてきたものの重さが違う!」


 俺は追撃の手を緩めない。

 一気に間合いを詰め、峰打ちで将軍の首元を叩いた。

 将軍はその場に崩れ落ちた。


「み、見事じゃ……」


 大国総理が腰を抜かしている。

 その時、モニターの『スピンフォーム』の文字が消え、幾何学模様の光の集合体が実体化して部屋の中央に現れた。


『計算外デス。イレギュラー因子ヲ検出』


 無機質な声が頭に直接響く。


――――――――――――――――――――


【スピンフォーム】


 ・討伐推奨レベル:測定不能


 ・スキル:世界改変 対象のステータスを自在に操作する


――――――――――――――――――――


「測定不能……?」


 俺たちが呆然としていると、スピンフォームが輝きを増した。


『イレギュラーハ削除シマス。全ステータスヲ「1」ニ固定シマス』


 次の瞬間、強烈な脱力感に襲われた。

 体が重い。剣が持ち上がらない。


「な、なによこれ……力が……入らない……」


 ミコトが膝をつく。

 ステータスを見ると、全員のレベルが強制的に「1」になっていた。

 しかも、スキル欄がグレーアウトして使えない。


『コレデ終ワリデス』


 スピンフォームから無数の光の矢が放たれた。

 レベル1の耐久力では、かすっただけで即死だ。


「くそっ……ここまでか……」


 猿田が諦めかけたその時。


「まだだ!」


 俺は前に出た。


『無駄デス。アナタモレベル1デス』


「ああ、そうだな。俺はずっとレベル1だった。だけどな……」


 俺はニヤリと笑った。


「俺のスキル『リストリクト』は、レベルを操作するスキルだ。お前が俺をレベル1に固定しようとしても、それは俺のスキルの領域だ!」


 俺は自分自身にかけた『リストリクト』の支配権を、スピンフォームの強制力と競わせた。

 相手はシステム管理者かもしれない。だが、俺はこのスキルと毎日向き合ってきた。

 レベル1で戦い続ける苦しみも、強さも、全てを知っている。


「俺のレベルは、俺が決める!! リリース!!!」


 バキンッ!


 何かが砕ける音がした。

 俺の体から光があふれ出す。

 レベル1の呪縛が解き放たれた。


『エラー。エラー。権限ヲ奪取サレマシタ』


 スピンフォームが明滅する。

 俺の『リストリクト』が、スピンフォームの『世界改変』に干渉し、仲間たちのロックも解除したのだ。


「みんな! 今だ! 俺がこいつの支配を抑えている間に!」

「ヒサシ! あんたって最高にかっこいいわよ!」


 ミコトが炎を纏って立ち上がる。

 猿田も、ミキも、力が戻っている。


「いくぞ! これがラストだ!」

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