第二十三話 タワーの真実
「どういうことだ……? これは」
ノイズが収まり、視界が晴れると、俺たちは薄暗い石造りのフロアに立っていた。
先ほどまでいたSFチックな銀色の部屋も、その前に広がっていた広大な草原も、空も海も、全て跡形もなく消え失せていた。
あるのは、これまでの29階までと何ら変わらない、無機質なタワーの一室だけ。
窓の外には、見慣れた東京の廃墟が広がっている。
「ここは……タワーの中よね?」
ミキが困惑した様子で、あたりをキョロキョロと見回す。
「アタシ達は、幻覚を見せられていたってことかしらね」
ミコトが冷ややかに言い放った。
あの装置は、高度な幻影投影装置だったのだろうか。それとも、もっと悪質な精神干渉か。
「そうだ! ヒサシ、救出した子供たちは!?」
ミキの悲鳴のような声に、俺はハッとした。
そうだ、道具袋の中に避難させた子供たちがいるはずだ。建物ごと収納したのだから。
「そうだった。道具袋から出してみる!」
俺は震える手で道具袋の口を開け、中の様子を確認しようと意識を集中した。
『アステカの祭壇』の効果で無限に広がる空間。
だが、そこにあるはずの反応が……ない。
「……ない」
俺の声が乾いた音を立てた。
「ヒサシ、ないって……まさか」
「ああ……。建物も、子供たちも、影も形も入ってない」
道具袋の中は空っぽだった。
つまり、あの子供たちも、ミノタウロスも、牛舎も、全てが幻影だったということか。
捉えられていた子供たちも、その怯えた表情も、全てが作り物だったと言うのか。
俺たちは、存在しない子供たちを救おうとして、幻影の敵と戦わされていたのか。
何のために? 誰がこんな悪趣味なことを?
やり場のない怒りで、拳が震える。
「……おい、みんな。先に進もうぜ」
重苦しい沈黙を破ったのは、猿田だった。
彼は悔しさを押し殺すように、上へと続く階段を指差した。
「こんな胸糞悪い見世物を作った野郎が、この上にいるはずだ。文句の一つも言ってやらないと気が済まねぇ」
猿田の背中には、静かだが激しい怒りが漂っていた。
俺たちは無言で頷き合い、階段へと足をかけた。
次こそが、本当の最上階だ。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
感想いただけるとありがたいです。
ページ下部の☆☆☆☆☆から評価いただけるだけでも嬉しいです。
ブックマークもぜひ!お願いします!




