表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/26

第二十三話 タワーの真実

「どういうことだ……? これは」


 ノイズが収まり、視界が晴れると、俺たちは薄暗い石造りのフロアに立っていた。

 先ほどまでいたSFチックな銀色の部屋も、その前に広がっていた広大な草原も、空も海も、全て跡形もなく消え失せていた。


 あるのは、これまでの29階までと何ら変わらない、無機質なタワーの一室だけ。

 窓の外には、見慣れた東京の廃墟が広がっている。


「ここは……タワーの中よね?」


 ミキが困惑した様子で、あたりをキョロキョロと見回す。


「アタシ達は、幻覚を見せられていたってことかしらね」


 ミコトが冷ややかに言い放った。

 あの装置は、高度な幻影投影装置だったのだろうか。それとも、もっと悪質な精神干渉か。


「そうだ! ヒサシ、救出した子供たちは!?」


 ミキの悲鳴のような声に、俺はハッとした。

 そうだ、道具袋の中に避難させた子供たちがいるはずだ。建物ごと収納したのだから。


「そうだった。道具袋から出してみる!」


 俺は震える手で道具袋の口を開け、中の様子を確認しようと意識を集中した。

 『アステカの祭壇』の効果で無限に広がる空間。

 だが、そこにあるはずの反応が……ない。


「……ない」


 俺の声が乾いた音を立てた。


「ヒサシ、ないって……まさか」

「ああ……。建物も、子供たちも、影も形も入ってない」


 道具袋の中は空っぽだった。

 つまり、あの子供たちも、ミノタウロスも、牛舎も、全てが幻影プログラムだったということか。


 捉えられていた子供たちも、その怯えた表情も、全てが作り物だったと言うのか。

 俺たちは、存在しない子供たちを救おうとして、幻影の敵と戦わされていたのか。

 何のために? 誰がこんな悪趣味なことを?


 やり場のない怒りで、拳が震える。


「……おい、みんな。先に進もうぜ」


 重苦しい沈黙を破ったのは、猿田だった。

 彼は悔しさを押し殺すように、上へと続く階段を指差した。


「こんな胸糞悪い見世物を作った野郎が、この上にいるはずだ。文句の一つも言ってやらないと気が済まねぇ」


 猿田の背中には、静かだが激しい怒りが漂っていた。

 俺たちは無言で頷き合い、階段へと足をかけた。

 次こそが、本当の最上階だ。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

感想いただけるとありがたいです。


ページ下部の☆☆☆☆☆から評価いただけるだけでも嬉しいです。


ブックマークもぜひ!お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ