第83話 補助券を集め終えて
更新が予定より大分遅くなりました……
――フリーズ状態になっていた舞奈が、程なくして再起動する。
「ほへ?」
などという素っ頓狂な声を発した後、何かに気づいたように俺の方を見た。
「……魔法で鈍らせた。とりあえず大丈夫だろ?」
そう小声で言うと、
「す、すいません……。私の予想と想像を遥かに上回っていました……。インスタントの物はいけたのですが、これは……無理ですね……。勧める物を完全に間違えました……」
なんて事を、しゅんとしながら小声で返してくる舞奈。
「まあ気にするな。……幸いというべきか、かりんも雅樹も普通に食ってるし、それだけでもこれを勧めた意味はある」
「た、たしかに普通に食べていますね……。おふたりとも凄いです……」
舞奈がふたりの食べっぷりに驚きつつ、そんな風に言ってくる。無論、小声でだ。
「まったくだ」
と言いながら、俺も魔法の力でほとんど辛さを感じなくなったラーメンを口に入れる。
……痛覚だけじゃなくて、嗅覚や味覚といった部分も鈍化しているせいで、味もメチャクチャ薄いが……まあ、そこはしょうがないな、うん。
――俺は、辛いのが苦手なのだから。
◆
なにはともあれ、激辛ラーメンにより、福引きとやらを十分な回数実行出来る権利が得られた。
というわけで……早速、福引きが出来るという多目的ホールとやらへやって来た俺たち。
「なるほど、たしかに色々な物が置かれているな」
俺はそこに並べられている景品を見ながらそう呟くと、
「ですね。なかなかの壮観です。――それで、1等はなんでしょう?」
と言って首をかしげる舞奈。
「旅行券20万円分で、2等がこの商業施設全体で使える商品券10万円分みてぇだな」
「あ、5等はたしかにあの大きなヌイグルミね。フレンチブルドッグ……だったかしら?」
雅樹とかりんが並べられている景品を見ながらそんな風に言ってきた。
……あのフレンチブルドッグ――と言っているが、全体的に丸々としたデフォルメがされすぎていて、かろうじて犬だと分かるような感じ――のヌイグルミが並んでいる姿……妙にシュールだな……
ドラージェっていう、向こうの世界の……空飛ぶ……スライム? のような生物が固まって――というか合体して、大きな生物に見せかけているその姿を眺めている気分になる。
なんて事を思っていると、
「とりあえず、補助券の枚数的に1人1回ずつ出来ますね」
と、舞奈。
「ん? 俺の手持ちじゃ、1回回すには補助券が1枚足りないぞ?」
「そこで、この補助券の出番です。――どうぞ」
「いいのか?」
「はい。補助券を余らせても仕方ありませんし」
雅樹の問いかけにそう答える舞奈。
「そうか。それじゃあまあ……ありがたく1回やらせて貰うぜ」
「はい。あ、私は最後で良いですので、皆さん先にどうぞ」
そう舞奈が言うので、雅樹を先頭に、次が俺、その次がかりんという順番で列に並ぶ事にした。
さてさて、何が当たるのやら……だな。
さて、そんなこんなで誰が何を当てたのかについては……次回!
そしてその次回の更新ですが……10月1日金曜日を予定しています!
(遅くなる可能性もありますが……)




