第79話 魔法と不思議とマンションと
「あれ? 言ってませんでしたっけ?」
舞奈がそう言いつつ、頬に指を当てて首を傾げる。
「聞いてない! 聞いてないから! 屋上で話した時も、そんな事一言も――」
と、そこまで声を大にして言った所で、急に言葉を切る鈴花。
そして、
「――そうだわ。屋上と言えば……階段の所で倒れたのを助けてくれてありがとうね。舞奈が落ちそうになった私を、ギリギリの所で支えてくれたって聞いたよ」
そう言って舞奈に頭を下げた。
「うん、そうだね。それに関しては僕からも感謝を述べさせて貰うよ。――鈴花を助けてくれて本当にありがとう」
横で聞いてた紘都もまた、そう言って舞奈に対して頭を下げる。
「うぇっ!? あ、う、い、いえっ! そのっ! と、友達として当然の事をしたまでというか、運良く鈴花を助けられて良かったというか……っ、その……っ」
ある意味、不意にふたりから感謝を述べられた形になった舞奈が、どう応えれば良いのか分からず、しどろもどろになりながら、そんな言葉を紡ぐ。
「えっと……。そ……そう、あれです。……私も、鈴花を助けられて良かったです」
「うん、私も舞奈が友達で良かったよ。……もう一度言わせて貰うけど、本当にありがとうね、舞奈。そして……これからもよろしくね!」
そう言って満面の笑みを浮かべる鈴花に対し、舞奈もまた、
「あ、はい! もちろんです!」
と言って、満面の笑みを浮かべた。
そんなふたりを見ながら、舞奈に魔法を教えておいたのが、功を奏して本当に良かったと俺は思った。……まあ、色々想定外の要素ではあったが、そこは奇跡だと思っておく事にしよう。
なんて事を考えていると、
「あれから僕も鈴花の体調には注意するようにしているんだ」
と、紘都。
ああそうか、体調不良が原因で倒れたって話になっているんだっけな、そういえば。
「――うう……。やっぱり徹夜なんてするものじゃないって事を、身を以て理解したよ……。気絶するし、舞奈や紘都に迷惑かけたし、悪夢は見るし……」
「徹夜?」
「あ、うん。実はその前の日に、『学校の5不思議』っていう特集ページを作っていてね。ちょっと興がノリすぎて気づいたら朝に……」
俺の疑問に対してそんな風に答え、やや自虐的に笑う鈴花。……いや、学校の5不思議って……
「7じゃないのね」
「ウチの学校、どう頑張っても7つもの怪談話なんてないからねぇ……」
かりんの呟くような言葉に、鈴花がそう返す。
「まあ、むしろ7つもある方がレアですからね」
「そうだね。不思議っていう意味なら、舞奈と成伯君が同じマンションに住んでいた事実も入るかもしれないけど!」
舞奈に対し、ノリでそんな事を言う鈴花。
「入りませんよ! 成伯さんが偶然、私と同じマンションに引っ越して来ただけです! そもそも……成伯さんは私よりもずっと上の階ですし、本当にマンションが同じというだけです。まあ、よく訪れてはいますけど」
「ん? よく訪れている?」
舞奈の一言に、鈴花がそう呟くように言って首を傾げる鈴花。
紘都も横で同じく首を傾げていた。
……今の最後の一言、凄い余計な一言になったな……
時々変な事を口走る舞奈さんの回でした(何)
とまあそんな所で、また次回! 次の更新は明後日、木曜日を予定しています!




