第78話 遭遇、鈴花と紘都
「――それで、次はどうするんだ?」
ファンタジーっぽい感じ……というか、向こうの世界っぽいの服と、ここに来るまで着ていたパーカー、そして例の魔法使い帽子の入った大きな袋を、魔法収納空間に放り込みながら問いかける俺。
「え? まだ服2着しか買ってないんだから、もう少し買うに決まっているでしょ?」
なんて事をサラッと言ってくるかりん。
それに対し舞奈は、
「……い、いや、それは歩きながら良さそうなのがあったらで良いと思いますです、はい。ほ、ほら、資金的な問題もありますですし、はい。ほ、本命の調理器具が買えなくなったら意味がないと思いますです、はい」
と、口調がおかしくなるくらい動揺し、冷や汗をかきながらそう返す。
「まあたしかに、お金の問題はあるわね……。――なら、とりあえず先に調理器具を見に行きましょうか」
「そうだな。俺もその方が良いと思う」
さすがにもう一度あれをやられた日には、疲労困憊確定なのは目に見えているので、舞奈を援護する俺。
舞奈が勢いよく首を縦に振り、
「はい! そうしましょうそうしましょう! えっと……調理器具を売っていそうなのは……」
と、ショッピングセンターのガイドマップ――入口に大量に置かれていたので持ってきた――を開いた所で、
「……あれ? 舞奈に……成伯君?」
という声が聞こえてくる。
「え?」
「ん?」
声のした方を見ると、そこには、丸々とした豚のような犬のような……デフォルメされすぎているのだろうか? いまいち何の動物なのか分からない謎のヌイグルミを抱えた、鈴花と紘都の姿があった。
……というか、なぜ2人共同じヌイグルミを持っているんだ?
と思いつつも、そこに関しては問わずに、
「ああ、小井出に紘都か。ふたりも来ていたんだな」
とだけ返す俺。
「うん、僕と鈴花がずっと観たいと思っていた映画を観に来たんだ。それで、透真たちの方は? この間、昼休みに透真の所に来た子もいるけど……」
「そっちはかりん。舞奈と一緒に住んでいるんだ。ここに来た理由だが――」
「舞奈の部屋、調理器具がなさすぎて何も作れないから買いに来たのよ」
俺の言葉を引き継ぐようにして、ふたりに対して告げるかりん。
「あー……そういう事……。舞奈って料理の腕が壊滅的だからねぇ……。包丁一つ握った事ないんじゃないかってくらいだったし……。でもまさか、家に調理器具がなさすぎるなんて状態になっているとは思わなかったよ、うん」
そんな事を言って、ウンウンと首を縦に振る鈴花。
「で、俺は同じマンションに住んでるからってんで、荷物持ち要員だ」
「なるほどー、そっちもなっと――って、え? 待って待って! お、同じマンション!?」
鈴花が思いっきり驚きの声を上げる。
声こそ上げていないが、紘都もやはり驚いていた。
……あー、そういえばその話、まだしてなかったかもしれないな……
なんのヌイグルミなんでしょうね……?(何)
とまあそんな所で、また次回! 次の更新は明後日、火曜日の予定です!




