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ファンタジー世界の大魔道士、地球へ転移す ~異世界生まれの高校生?~  作者: TOMA
SCROLL1 異世界の大魔道士、高校生になる part1
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第7話 ウィンドハンドシュート

「透真……お前、ドリブルが壊滅的に下手だな……」

 呆れた声でそう言ってくる雅樹。

 陣営――チームはランダムに組んでいる為、今は隣のクラスの雅樹も味方である。


 ちなみに、最初こそ名字で呼ばれていたが、あっという間に名前で呼ばれるようになった。

 うーん……名字の成伯ではなく、透真と呼ばれる方がやっぱりなんかしっくりくるな。


 にしても……なんだかんだとさりげない感じで話かけて来て、俺が孤立する事や、俺への質問攻めを防いでくれるので、やはりこの雅樹という男は見た目に反して良い奴だ。

 ついでに言えば、相手との距離を詰めるのも上手いと言えるだろう。

 

 なんて事を思いながら、俺は雅樹に告げる。

「今までやった事ないんだよ……」


「マジかよ!」

「手でぶん投げたら駄目なのか?」

「それはキーパーがやりたいって事か? まあ試してみるのはありだよな」

 雅樹は俺の言葉をそう解釈したらしく、他の仲間たちに、

「つーわけなんだが……どうだ?」

 と、問いかけた。

 

 仲間たちは特に異論がないようだったのと、キーパーの守谷紘都――やや小柄でメガネをかけたクラスメイトが、

「うん、賛成だね。なんとなくだけど……透真はキーパーに向いているんじゃないかなって僕は思うんだ」

 と言ったのが大きかった。


 紘都はその体格に似合わず、身体能力はかなり高い。

 というか俺の感覚では、何らかの射撃系武器の技量も結構な物であるように思える。

 対象を捉える時の目の動きが、射手のそれに近いからな。

 そういう意味でも、この球技において番兵――最後の砦的な立ち位置であるキーパーには、うってつけといえよう。

 

 そんな紘都が賛成したのだから……という事もあり、あっさりと俺はキーパーに変更となった。

 さて、キーパーといえば、自陣のゴール付近であれば、敵が蹴ってきたボールを手で受け止める事が出来る存在だ。

 更にそこから6秒間手で持ち続ける事が可能で、投げる事まで出来るという唯一無二の特性を有する。

 

 ――これを最大限活用しない手はないな。

 という事で……早速飛んできたボールを、腕力増強魔法と頑強性付与魔法で強化した手で受け止め、仲間の方へと放り投げていく。

 うん、やっぱり蹴りながら走るのと違って断然楽だな。

 

 ……というか、これって、敵のゴールに向かって投げたら駄目なんだろうか?

 ちょっと試してみるか。良い感じに接近してきた敵がいるし。

 

 そう思って構えていると、すぐに接近してきた敵が俺の妨害を躱すようにして動き、俺の横をすりぬけた瞬間、勢いよくボールを蹴った。


 やるな……っ! だが、まだだっ!

 俺は即座に加速魔法を発動させ、超高速でボールの前へと回り込み、キャッチ。


「あれを止めるのかよ!? つーか、なんだよ今の速さは!?」

 蹴った男子生徒――今は敵となっているクラスメイトが驚きの声を上げる。

 

「ナイスッ! ボールをこっちに回してくれ!」

 雅樹がそんな風に言ってくるが、俺は、

「いや、このまま放り込む!」

 と、伝えた。

 

「は? 放り込む? どこへ?」

 俺の言葉の意図が理解出来なかったのか、首を傾げながら問いかけてくる雅樹。

 だが、それには答えずボールを放り投げる俺。

 そしてそれを風魔法の風圧を利用して勢いよく押し出す。

 

 直後、放り投げたボールが強力な風圧によって弾かれるようにして超加速。

 敵陣を駆け抜け、そのまま相手のゴールに突き刺さった。

 というか勢い余って網が破けた。……あ、しまった。

 

 うっかり破いてしまった事に対しどうしたものかと思っていると、

『はあああぁぁぁぁぁっ!?』

 という、その場にいた全員が、上げた素っ頓狂な声が響き渡った。


 やはり、破いたのはまずかったのだろうか?

 それとも、蹴り入れないと駄目だったのだろうか?

本日も更新が続きます。

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