第71話 マジック・オブ・アイス
「そう、魔法で作るんだ。というのも……俺の師匠にあたる人物が、アイスをいつでも食べられるように……という、それだけの理由で生み出した魔法があってな、そいつを使う。必要な材料さえ揃っていれば、あっという間に作れるスグレモノだぞ」
「えっ、ええっ!? ア、アイスクリームを作る魔法を、わざわざ生み出したんですか!?」
俺の説明を聞いた舞奈が、俺と材料を交互に見ながら驚きの声を上げる。
「正確にはアイス全般だな。材料を変えればシャーベット的な物も作れる」
「よくやるわねぇ……。というか、魔法ってそんな簡単に生み出せるもんなの?」
「いや、そんな簡単にはいかないな。師匠も20年かけて作ったくらいだし」
かりんの疑問にそう答える俺。
「アイスを作る魔法を、20年もかけて生み出したの……?」
呆れた声で、ため息交じりにそんな風に言うかりん。
ま、そう思うよなぁ……なにしろ、20年もの歳月をかけて生み出した、完全なる新魔法の効果が『アイスを作るだけ』なのだから。
……というか、アレを発表された時の皆の困惑した顔が、忘れがたい光景として今でも目に焼き付いているなぁ……本当に。
「ま、まあ……いつでもアイスが食べたいというのは、わからなくもない気はしますけどね……」
などと頬を指で掻きながら、師匠をフォローするかのように、そんな言葉を口にする舞奈。
「……別に無理にフォローしなくてもいいぞ? でもまあ……夏とか暑い場所とかでは、なんだかんだで重宝するのは間違いないな。――てなわけで、早速作るとしよう」
俺はそう言って立ち上がると、キッチンの収納棚からアイスクリームを入れる器とスプーンを取り出し、テーブルへと持ってくる。
――そして……アイスを作る魔法、発動!
「うわっ! な、なにか妙な球体が出現したわよっ!?」
というかりんの驚きの声が示すように、テーブルの上にはいつの間にか黒い球体が出現していた。
……まあ、俺が発動させた魔法で出現したんだけど。
「これに材料と器を入れるんだよ」
そう言いながらその黒い球体に、材料と器を纏めて投入。
すると、程なくしてバチバチバチっという放電音と共に、黒い球体が赤、青、緑、紫、白の5色のスパークに包まれ始める。
「なんだか、凄く綺麗で神秘的な感じですね」
なんて事を言う舞奈。
「たしかに、見た目はちょっと綺麗で神秘的かもしれないなぁ……」
と、俺がそんな風に答えた所で、球体を包んでいたスパークが消滅し、黒い球体が上から溶けるようにして消えていく。
「お、完成したか」
「え!? も、もう完成ですか!?」
「さ、さすが魔法……早いわね……」
驚くふたりの視線の先――黒い球体が消えたそこには、器に盛られたアイスクリームの姿があった。
話のタイトルは氷の魔法でも、魔法のアイスでもありません。
アイス(クリーム)の魔法です!(何)
……ま、まあ、そんな所でまた次回! 更新は明後日、火曜日の予定です!




