第57話 舞奈の迎撃、透真の追撃
舞奈の声に反応するようにして振り向くと、そこには、異形が進路上にいたかりんに襲いかかる光景があった。
「くっ、まずい！」
霊体と言えども、破壊の化身の力をまともに喰らえば、かなりのダメージになる。
俺は急いでかりんのもとへと走る。
と、そこで舞奈がかりんの前に躍り出たかと思うと、破壊の化身の振るった爪を真正面から受け止めた。
同時に、ガキィンという金属音に似た硬い音が響く。硬化の魔法――メフォスティか！
いや……それだけじゃないな。
「てぇぇぇぇぇぇぃぃぃっ！」
という掛け声と共に体当たりをかます舞奈。
普通に考えれば、異形相手に何の意味もない行為に見えるが……
その体当たりを腹部に食らった異形が、大きく仰け反る。
やはりそうか。腕力増強魔法――リスレアが同時に使われているようだ。
腕力増強魔法と効果魔法を組み合わせると、殴ったり蹴ったり、タックルしたりした時の衝撃力が増すんだよな……。何故、舞奈がそれを理解しているのかは謎だが……
まさか、魔法の効果を分析して、その可能性を導き出した……のか？
そんな事を考えつつも、異形へ接近。
仰け反った異形の背後から魔法を叩き込む。
「ギギャァァアアァァッ！」
魂の欠片が弾き出されるが、まだあと１つある。
「月城！ それを殴り飛ばせ！」
「了解です！」
リスレアとメフォスティの併用によって魔法をその身に纏っている状態の舞奈の拳は魔法剣と同等の性質を持つ状態――まさに、魔法拳とでもいうべき状態となっている。魂の欠片を砕くには十分だ。
俺は、「シャイニングなんとかぁぁっ！」と叫ぶ舞奈に魂の欠片を砕くのを任せ、態勢を崩しながらもなお逃げようとする異形に対し、大量の石礫を飛ばす攻撃魔法を叩き込む。
「ゲ、ゲヒィィ……ッ！」
多数の石礫をまともに浴び、その衝撃で地面へと倒れ込む異形。
そこへ一気に接近し、その上に馬乗りになる形で魔法を叩き込む俺。
直後、魔法によって魂の欠片が真上へと弾き飛ばされる。
俺は、即座にそれに向かって魔法剣を勢いよく突き出し、砕いた。
と、道路上に倒れ込んだ異形がみるみるうちに元の姿――金髪の青年へと戻っていくのが視界に入った。
どうやら舞奈の方も、特に何事もなく魂の欠片を砕けたようだな。
俺はようやく片付いた事と、かりんに大事なく済んで良かった事に安堵しつつ、立ち上がって、舞奈たちの方を見るのだった――
タイトルがそのまんまといった感じですね……
（他に良いのが思いつかなかったともいいますが）
ま、まあ、それはさておき次回ですが……すいません、やはり１日間が空きまして……明後日、水曜日の予定となります。
