外伝II-II 古都の怪異2
――目的の場所へ向かいながら、怪異の詳細を確認するボクたち。
「黄昏なる禍時に現れしヤミビキ、誘いし者を夜の闇へと連れ去らん……か」
「これは……儀式をした人のところに夕方に現れて連れ去る……と考えればよさそうです、ね」
呟く雅樹に続き、そんな風に言ってくる綾乃。
それに対し、
「まあ……連れ去るというか、魂を喰らうと言う方が正しいと思うけど」
と返して肩をすくめてみせるミイちゃん。
「魂を喰らう……?」
「そう。魂を喰らってより強大化する」
「そして喰われた方は……そのまま喰われ続ける苦痛に蝕まれ続ける事になる、ね。『経験した事があるから良く分かる』……よ」
ボクの問いかけに対し、頷きながら答えるミイちゃんと、それに補足してくる綾乃。
「ああうん、たしかにそうだね……」
なんとも言い難い表情でそう返事をした所で、「消し飛ばして解放するだけ」と弥衣。
「うん。解放してあげないと、だよね」
「だね。……ちなみに解放した魂って、そのまま成仏してしまう感じ? それとも、綾乃さんのようにホムンクルス化出来る感じ?」
鈴花に対して頷きつつ、紘都がそんな疑問を口にする。
「……上手く、魂を……完全な形で回収出来れば……ホムンクルス化出来る……かも?」
「――たしかに、ね。私のように姿形、記憶が残っている状態で魂を解放出来れば……」
カナちゃんの返答に対して頷きつつそんな事を言う綾乃。
「なるほど。要するに魂の損傷度……とでも言えばいいのかな? それが小さければ大丈夫というわけだね」
「そう、そんな感じ」
納得の表情で言う紘都に首を縦に振って同意を示すミイちゃん。
「なんにせよ、見つけ次第消し飛ばす」
「うむ、マイレディの言う通りだ。魂を喰らうような魔物など滅するのみ!」
今まで無言だったギネヴィアが、弥衣に続いてそんな事を口にしてきた。
なんで急に? と思ったが、周囲を見て納得した。
単純に、一般人の姿が見えなくなったからだね、うん。
って……
「――人通りがなくなった?」
「……人避けの力、働いていた……よ。消しといたけど……」
周囲を見回しながら呟いたボクに、カナちゃんがしれっとそう返してくる。
「おいおい、それはかなり『ヤバい』んじゃねぇか?」
雅樹が『ヤバい』の所を強調しつつ、そんな風に言う。
そして、たしかにその通りでもある。
「あのマンションから邪な霊力を感じる」
そう言ってマンションを指差すミイちゃんに、
「うむ、たしかにその通りであるな」
と、同意するギネヴィア。
「なら、急ごうか!」
私はそんな風に告げてマンションへと駆ける。
そしてマンションに到着するも――
「うわ、オートロック!」
私がそう口にした所で、
「すり抜け……は、今は出来ない……」
「……霊体だったらいけた、のに」
なんて言ってくるカナちゃんと綾乃。
たしかにその通りだけど、こればかりは仕方がない。
「外から直接入り込むしかないんじゃ?」
「そうだね。周囲から見られないようにしつつ、そうするしかないと思う」
外からマンションを見つつ、鈴花と紘都がそんな風に言ってくる。
「それがいいと思う……よ。人避け……解除したばかりだから、まだ人は来ないと思う……。だけど、安心は出来ない……し」
そう口にするミイちゃんに対しボクは、
「まあ、なにかあったら凜那さんになんとかして貰うということで……」
と言いながら一度外へ出る。
そして周囲を見回す。周りから見られずに済みそうな場所は……
「あの建物の裏からでいいんじゃねぇか?」
雅樹がそんな風に言って視線を向けた方を見ると、そこにはたしかに物置のような、なにかの管理用施設のようなそんな建物が見えた。
たしかにあそこの裏なら周りから見られなさそうだね。
「あ、うん、ちょうどいいかも」
ボクは素早くそっちへ走ると、その建物の裏からマンションの1F部分へと光球化して飛び込む。
それに他の皆も跳躍力強化魔法などそれぞれの方法を使って続く。
完全に不法侵入だけど、こればかりは仕方がない。
「それで、どっち?」
「こっち。ついてきて」
ボクの問いかけにカナちゃんが先に立ってそう言いながら走る。
それに続いて階段を駆け上がり3階へ。
「うわ、凄い邪悪な感じ……!」
後ろから追いかけてくる鈴花がそんな事を言い、
「この1つ先の部屋」
とカナちゃんも告げてくる。
「了解!」
ボクはそう答えると同時に光球化して一気にその部屋の前へと移動。
ドアノブを回してみると、あっさり開いた。
すると、ドアが開いている部屋を発見。
開きっぱなしとか普通じゃないよね! そう考えて再度光球化して飛び込む。
そしてドアが開いている部屋に踏み込むと……
昔のノベルゲームに出てきそうな、『人の形をした黒いシルエット』みたい奴がそこにはいた。
そして、1人の少女がそいつに掴まれ、その身体がドンドン薄くなっていく。
「このぉぉっ!!」
ボクは叫びながら光の剣を生成して斬りかかる。
「グォオォオォォオオォォッッ!?!?」
叫び声をあげたそいつはそのまま、
「お前は……何者……だ……」
と、問いかけてきた。
ここで正直答えると危険な場合があるのが怪異というもの。なので――
「通りすがりの光の勇者だけどっ?」
そう言い放ちながら光の剣を横薙ぎに振るう。
「そんなものが存ざ……」
と、そこまで言葉を発した所で黒いシルエットが霧散する。
少女はというと、こちらもまるでシルエットのようになっていた。ただし色は黒ではなく氷属性といったらこんな色だよね、という感じの青白さだけど。
ええっと……。これ、どうすればいいのかな……?
すいません……あまり開かないとか言いながら、思いっきり間が空きました!
余裕がなくて更新出来ずに申し訳ありません……
そろそろどうにかなると思ったんですが、まだ駄目でした……
とまあ、そんな所でまた次回!
なのですが……次は、最速でも8/22(金)頃になってしまうと思います……




