第4話 結城宗一
自転車と舞奈のお陰で、無事遅刻する事なく職員室へと辿り着いた俺。
そんな俺を誘導するように、先に職員室へと立ち入った舞奈が、
「結城先生! 転校生の方をお連れしました!」
と、そう呼びかけると、
「お、来たか」
という声と共に、どことなく荒っぽそうな容姿をした若い男性が姿を見せる。
なんというか……向こうの世界だったら、軽装タイプの戦士かなにかをやっていそうな雰囲気だな。
と、そんな事を思いつつ、こっそりと看破魔法を使ってみた所、結城宗一というこの人物――教師の過去経歴に、『殺し屋』というのがあった。
おいおい……。なんなんだよ、その物騒かつ不可解すぎる経歴は……。ここって暗殺者養成学校とかの類じゃないよな……? 平民――じゃなかった、一般人向けの学校……だよな?
って、そういえば結城っていう名字もアイツと……あの勇者と同じだな。名前も一字違いだし……
うーむ、なんだか妙な縁を感じるぞ。
「わざわざすまんな、月城」
教師――結城先生は舞奈にそう礼を述べると、ボサボサ気味の髪を掻きながら、
「それと、そのすまないついでなんだが……今日のホームルームは開始が少し遅れるってのをクラスの皆に伝えといてくんねぇか?」
と、言葉を続けた。
「あ、はい。わかりました!」
そう返事をし、会釈をして職員室から出ていこうとする舞奈に対し、俺はお礼の言葉を述べる。
「案内ありがとう、助かった」
「いえ、どういたしまして。こちらこそ助かりました」
なんて事を言って去っていく舞奈。
なので当然のように、
「ん? こちらこそ?」
と呟くように言って首をかしげる結城先生。
うん、そりゃそうだ。
「あー、まあ、そこは気にしないでください。――それより、俺はこの後どうすればいい感じでしょう? なにぶん、編入というのは初めての経験なもので……」
というより、学校に通う事自体が初めてだけどな! とは、心の中でだけ言う。
「ああ。軽くこの学校について説明して、教科書一式を渡したら、俺と一緒に教室へ行く。で、よくある自己紹介をしたら、あとはいつもどおりだ」
「な、なるほど……?」
いつもどおりって言われても良くわからんが……おそらく、普通に授業とかいう名前の講義を受ければいいんだろう。きっと、多分。
何やら物騒な経歴を持つ教師のようですが……?