表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
497/503

第150話 神殿と魔術

「ああ、そうだ。涼太たちも一緒に来てくれないか? 今さっき言った通り、地下にあった階段の先を調べたら一旦引き上げるつもりだ」

 俺がそんな風に告げると、

「了解なのです」

「あの場所を調べて判明した情報については後で話すね」

 と、そう返してくる悠花と涼太。

 

「それじゃ、一旦あそこまで戻りましょうか」

 そう言ってきたかりんに頷き、来た道を引き返す。

 

「こんな所の入口があったです?」

「全然気づかなかったなぁ……」

 悠花と涼太がそんな風に言う。

 それに対して、

「まあ、これを何も知らずに気づくのはかなり難しいかと……」

「だねー。これはさすがに分からなさすぎー」

 と、舞奈とセラ。

 

 たしかに、こればっかりは難しいと思う。

 俺も気づかなかったし。

 

 とまあ、それはさておき……

「それはそうと、あの書庫みたいな場所を調べた結果はどうだったんだ? 何か良い情報はあったのか?」

 そんな風に俺が問いかけると、

「あの湖を使って異界に接続しようとしていた事と、この建物が異界への扉を開く為の鍵となるように作られた『神殿』のようなものらしいってのはわかったけど……」

「あとは内容が良く分からないものだったり、大した事のないものばかりだったのです。中にはSAN値が下がりそうなものもあったですが……」

 なんて返してくる涼太も悠花。

 

「SAN値って……」

 と、呟くかりん。

 SAN……サニティ。つまり正気値。

 

「一体どんな代物だ、それ」

 そう俺が問いかけると、

「狂気に囚われかけたのですっ! 危なかったのです!」

 なんて事を主張してくる悠花。

 しかしすぐに、オトラサマーがちょっとやれやれと言った感じで、

「トッラー。あれはただの意味不明な絵トラーよ。何も問題ないトラッラー」

 と、告げた。

 

「まあ、こんな所で宇宙規模の危険なのとかが現れても困りますしね」

「そうね。現れるわけないけれど」

 舞奈とかりんがそんな風に言い、

「まったくだね。いくら、神殿と書かれた書物を見つけたからって、引っ張られすぎ」

 と肩をすくめながら同意する涼太。

 そしてそのまま、

「もっとも、狂気を感じる絵だったのはたしかだけど」

 なんていう言葉を続けた。

 

 狂気を感じる絵って……。なんだか気になるな、それはそれで……

 まあ、オトラサマーが『何も問題ない』と言っていたから、本当に意味はない代物ではあるのだろうけれど。

 

 などと、そんな事を考えていると、

「ところで……ここなのですけど、神殿と書かれた書物というのがあった……との話ですが、ここって普通に最近建てられたものですよね?」

 という、ある意味もっともな疑問を口にする紡。

 

「そうだね。西洋の古い書物……そこに記されていたものを模倣して建造したもののようだね。西洋の古い書物も他にいっぱいあったし。それこそ『錬金術』の書もあったよ。まあ、中身は『アレ』とは全然違う眉唾物だったけどね」

 涼太が頷きながらそんな風に言い、

「なるほど……。ですが、たしかに西洋のものを模倣した……と言われると納得出来る所もありますね」

 と、顎に手を当てながら納得の表情をする紡。

 

 まあ、祭壇だの天球儀だのといろいろあったしな……

 

「そういえば、逆にこちら……東洋の書は少なかったのです」

「トッラー。そうでありますトォーラねぇ。あったのは、陰陽術や方術、呪術と言ったものばかでありましたトットラー」

 と、悠花とオトラサマーがそれに続く。

 

「ブッルブルー。ここの術式は、魔法に近いものが多いブル。術式を作った人間や建物を作った人間は、西洋の魔術とかそういうのに傾倒していたブッルかねー?」

「あそこにあった書物を考えるとそんな感じはするね」

 ブルルンに対し、そんな風に涼太が答える。

 

「人形は凄く東洋でしたけれどね……」

 いまだトラウマなのか、舞奈が肩を抱きながらそんな事を言ってきた。

 それに対して、

「あー、でも、あそこにも西洋の人形あったよねー」

 と、セラが返す。

 

「人形の話はさっき聞いたのです。それでふと思い出したですが……以前、廃村に悪霊が出現する事件があったですが、その時、その廃村の寺院跡に人形が大量に置かれた部屋があったのです」

「ああ、そう言えばそんなのあったね。まあ、その部屋はあの一件にはなんの関係もなかったけど」

 悠花と涼太がそんな事を言う。

 それに対して、

「その寺院で、かつて行われていた事を再現したのかしら……?」

 という推測を口にしながら思考を巡らせるかりん。

 

「ないとは言えないのです。もっとも、あれがなんだったのかは良く分からないままではあるですが」

「必要に応じて、そっちも、もう一度調べてみた方がいいかもね」

 悠花と涼太のそんな言葉に、

「たしかにそれはそれで気にはなるな」

 とそう返す俺。

 そしてそのまま、

「っと、今回はこっちの階段から下りてみるか」

 と言って、眼前に見えていた階段の方へと顔を向けながら言う。

 

 それに対して、「そうですね」と同意してくる舞奈に続き、

「今回は……です? こことは別の階段があるですか?」

 という問いの言葉を、小首を傾げながら投げかけてくる悠花。

 

「そう言えば、そこまで詳しく話していなかったな。下からは紡が破壊した昇降機の所から戻ってきたんだ」

 俺が悠花に対してそう答えると、悠花はそれに対して今度は、

「昇降機を破壊……? 紡お姉さんの魔法は障壁だった気がするですが……」

 という、当然の疑問を口にしてきた。

 

「はい、その通りです。障壁を応用すれば、壊すのにも使えるんですよ。まあ、なんでもというわけにはいきませんけどね」

「ほええー、十分驚きなのです」

 紡の返答に、まさに驚きだと言わんばかりの表情でそう返す悠花。

 

「まあ、紡の魔法の応用力はなかなか凄まじいものがあるわよねぇ……」

「ブッル。たしかにその通りブルね」

 かりんとブルルンがそんな事を言いながら階段を下り始める。

 

 まったくもってその通りだな……と思いながら、俺もまた階段を下りていくのだった。

絶不調からは立ち直ったものの、今度は急な予定により丸1日遅れになりました……


とまあ、そんな所でまた次回!

次の更新は予定通りとなります、4月30日(水)を想定しています!


※追記

申し訳ございません……

現在、諸々の都合により全く執筆する余裕がない為、他の更新も遅れており、こちらの更新も、5月4日(日)~5月5日(月)に変更いたします……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ