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第146話 鎖と壁

「例の解放された魂が引き寄せられていった点、この鎖があの人形がいた部屋に繋がっていた点から考えても、無関係ではなさそうですね」

 舞奈が顎に手を当てながらそんな推論を口にすると、

「壁の向こうへ伸びている鎖が、そのまま外まで繋がっている……のでしょうか?」

 というもっともな疑問を紡が口にした。

 それに対して俺は、

「さすがに通常空間へは繋がっていないだろうから、どこかで『変換』されているんじゃないかと思うが、あの場所へ向かって伸びていそうなのはたしかだな」

 と、新たに出現した鎖を見ながら返す。

 

「ブッル。たしかにその鎖は少し離れた所で急に霊力の流れが途絶えているというか、どこか別の所へ流れ込んでいるような感じがするブルねー。というか、通常空間側の地下への入口があった辺りで感じた流れに似ているブッルルー」

「つまり、通常空間の霊力がこっちに流れて込んでいたのと同じって事よね。という事は――」

「こちら側から通常空間側へ逆に流れ込んでいる場所という事になりますね」

 ブルルンの発言に対し、かりんと舞奈がそう推測を述べる。

 

「壁の向こう側へは例の鉄扉から行けるのでしょうか?」

「そうねぇ、それが一番ありえそうな気がするわね。地下の階段じゃ、通常空間に出てしまいそうだし」

 紡の問いかけにかりんがそんな風に答える。

 それに対して、

「でもー、あれって開けられそうになかったよねー?」

 と、小首を傾げながら返すセラ。

 

「そうですね。あの大きさとなると、何らかの仕掛けで開けるんだと思いますが、それらしいものは、あの部屋にはなかった気がします」

「だとしたら、別の所に何かあってよさそうだけど……ここまででそれっぽいものは何もなかったような……」

 舞奈の言葉にかりんがそう呟くように言う。

 そしてそれに続いて、

「扉の向こう側からしか開けられないとかー?」

 と、そんな風に言うセラ。

 

「たしかに片方からしか開けられない扉というのはあるが……」

「もしそうだとしたら、別の所から向こう側へ行ける……という事になりますね」

 俺と紡がそう口にした所で、

「そう言えば……あの部屋を出た後、こちら側へ向かって移動して来ましたが、『反対側』ってどうなっていましたっけ?」

 と言って首を傾げる舞奈。

 

「あー……言われてみると、ちゃんと確認していなかったな」

「私はちらっとそっちも見たけど、壁があっただけな気がするわ」

「壁……か。そういうのに限ってなにかあったりするよなぁ。特にここは」

「まあ、たしかにそうね……」

「――どの道、地下を確認しないといけないし、とりあえずあそこまで戻ってみるとするか」

 俺とかりんがそんな話をし終えた所で、

「ブッルルー。オトラサマーから、それまで少しズレて感じていた魂の存在が、急にしっかり感じられるようになったと思ったら、魂が霊体化したと言ってきたブッルー」

 なんて事を告げてくるブルルン。

 

「こちら側――異空間側を移動していった魂が、通常空間側へ戻った……という事なんでしょうか?」

「まあ、そう考えるのが妥当な気がするな。なんにせよ、ここはこれ以上調べられそうなものはないし、移動するとしよう」

 俺は舞奈の疑問に対してそう返事をし、皆と共にその場を後にする。

 

 そして、例のパズルがあった部屋の前まで来た所で、

「見た感じはたしかに普通の壁ですね。見た感じは……ですが」

 などと、『見た感じ』を2回言って強調する紡。

 それに対して舞奈が頷きながら、

「そうですね。もっとも、ここの壁は見た通りではない事が結構ありますが」

 と返す。

 

 たしかに、回転したりすり抜けたり消えたりと、変な壁が多いからなぁ……と思いながら、壁へと歩み寄る。

 紡の言う通り、パッと見た感じは普通の壁だが……

 

 俺がじーっと壁を凝視する横で、舞奈が押したり引いたりスライドさせようとしたりしているが、特に壁が動く気配はない。

 

「うーん、動きませんね……。すりぬけもしませんし」

「そういう仕掛けがあるわけじゃないって事だねー」

 舞奈とセラがそんな事を言っていると、

「やはりただの壁なのでしょうか?」

「そんな感じはするけど、うーん……」

 と、紡とかりんが首を傾げながら口にする。

 

「ブッル。特に魔力とかは感じないブルね」

「だとしたら本当に何もないかもしれないな」

 ブルルンに対し俺がそんな風に返す。

 

 ……あ、そうだ。

 一応、床も確認するか。

 

 そう思ってしゃがみ込んで床を調べ始めると、

「床になにかあるんですか?」

 と、紡が問いかけてきた。

 それに対して俺は床を調べながら答える。

「いや、床になにかあるかもしれないと思って、一応な」

 

「言われてみると、ここは床にも仕掛けが結構ありましたね」

「ブルルッ。悠花が連続して引っかかった落とし穴とか、セラが躓いたスイッチとかブルね」

 紡に続くようにしてそんな風に言うブルルン。

 するとその直後、セラがわざとらしい声で、

「あっ、躓いちゃったー!」

 と言いながらブルルンに飛びついていく。

 

 その刹那、

「ブルー。上の方に何かあるかもしれないブッルねー」

 なんて呟きつつ上昇するブルルン。

 

 ……あ。

 

「ふぎゅぅっ!?」

 単にヘッドスライディングするだけの格好となったセラ。

 そのまま床を滑って壁に激と……つは、しなかった。

 

 壁の下部がパカッと口を開けて、そこに入り込む形になったからだ。

 

「まさかこんな低い所に隠し通路の入口があるだなんて、思いもしませんでした……」

「本当に壁に仕掛けを作るのが好きねぇ……。良く見つけたわね」

 と、紡とかりん。

 

 見つけたというか偶然な気もするが……などと思っていると、

「うぐぐぅ……。だいぶ痛かったけどぉぅ、隠し通路を見つけられたからOKって事にしとこうぅー……」

 なんて事をセラが口にする。

 

「でもこれ、ちょっと狭すぎて私たちは入れそうにありませんね。セラちゃんでギリギリといった感じですし……」

 舞奈がそう言った所で、

「たしかにギリギリだけど進めるから、とりあえず進んでみるー!」

 なんて言って、セラが奥へ入っていってしまう。

 

「待った待った! 何があるかわからないから一度戻って――」

「大丈夫大丈夫ー。何もなさそうだしー」

 既にどこにいるのかわからない所から声が聞こえてくる。

 

「ブッルルー! ブルルンも行くから待つブルよー」

 と言いながら、急いでセラの後を追うブルルン。

 

 狭すぎて俺たちでは追いかけようがないし、ブルルンに任せるしかないな……

 

 心の中でため息をつきながらそう思った所で、かりんが疑問を口にした。

「……これって、隠し通路なのかしらね? なんとなくだけど、そういう代物ではない気がするのよねぇ……」

 と。

思ったよりも長くなってしまったので、やや中途半端ですが、一旦ここで区切りました……


とまあ、そんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなりまして、4月9日(水)の想定です!

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