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第139話 鎖とドアと鉄球と

「そうだな……。まず落下する事で壊れるかもしれないな。そうならなくても、機能は失うと思うぞ。霊力の流れが逆流、あるいは霧散する事になるからな」

 しばし考えた後、セラにそう答える俺。

 

「つまり、地下や通常空間からの霊力の流れが分断されるかもしれない……と?」

 セラに代わってそんな風に問いかけてくる舞奈。

 それに対し、

「そうなる可能性は高いな。そしてそれと同時に、この先と……それから地下にあると思われる術式が崩壊する……という可能性もまた、大いにあり得る」

 と、返事をする。

 

「なら、壊すかどうかはこの先と地下にある術式を確認してから決めた方がいいわね。少し面倒だけれど」

「そうだな。行き来が少しばかり面倒だが、その方がいいだろう」

 かりんに対して頷きながらそう答えた所で、

「ところで、地下から上がってきた所の部屋に、鉄の扉がありましたが、あの先は調べなくても良いのですか?」

 という疑問を口にしてくる紡。

 

「あれはおそらく、地下へ荷物を搬入する為の物だと思うが……ここって異空間なんだよなぁ。階段以外でどうやって通常空間と繋げているのか、というのは少し気になる所ではあるな」

「ブッル。たしかにそうブルね」

 ブルルンが俺の言葉に同意するようにそう言って、身体の上半分を前に倒す。

 

「ま、ここまで来ている事だし、とりあえずこの先を確認してしまおう」

「そうだねー。行こう行こう」

 俺に対し、そう返事をして早速先に歩き出すセラ。

 そして、

「ブッルー。先に行くと危ないブッルよー」

 と言いながら、セラを追うブルルン。

 

 廊下と違って、こっちにはトラップの類はなさそうだが、一応安全の為、先に行くか。

 

                    ◆

 

 しばらく歩いていったところで――

「あ、部屋はあそこで終わりのようですね」

 そう舞奈が言った通り、先には壁が見えてきていた。

 良く見ると、その壁の更に先へと鎖は伸びているようだ。

 

「鎖は壁の向こうへ続いている……か。一度廊下に出て、またその先から入り直さないと駄目な感じだな」

 そんな風に俺が呟くように言うと、

「なら、適当な場所の鎖を、舞奈が引き千切って壁を消すしかない感じー?」

 なんて事をセラが言ってきた。

 

「別に引き千切らずとも、燭台を壊せばいいだけですが……。というか、どうして引き千切らせようとするんですか……」

 舞奈がそんな突っ込みをいれると、

「そもそも、燭台を壊す必要もないわね。あそこにドアがあるし」

 という、さらなる突っ込みを入れるかりん。

 

「え? あれ、鍵がかかっていたら面倒じゃないですか?」

「なんでそんなキョトンとした顔で問いかけてくるのよ? ……まず確認してからでいいでしょうに」

 かりんはキョトンとした顔の舞奈に、そう返事をして肩をすくめてみせる。

 

「そうですね。ちょっと確認してみましょう」

 舞奈ではなく紡がそう返し、ドアの方へと駆けていく。

 別に走らずともいいのだが、まあ……そこは敢えて言う事でもないな。

 

 紡を目で追うと、紡はドアについた所で、ドアノブをカチャカチャと動かす。

 だが、どうやら開かないようだ。

 

「あ、やっぱり鍵がかかってそうですよ?」

 そう舞奈が言った所で、紡がドアに対して鍵を挿し込む仕草をしてから、再びドアノブを回してドアを開けた。

 

 ――そう言えば、俺が持っていこうと言った鍵は紡が持っているんだったな。

 

「パズル箱の鍵で問題なかったみたいよ?」

 かりんがもう一度肩をすくめながらそんな風に返すと、「ぐむむ……」と、少し悔しそうに唸る舞奈。

 

「そんなに引き千切りたかったのー?」

「ち・が・い・ま・す! 燭台に今度こそ鉄球を当てたかっただけですー!」

 セラに対して、そんな風に返す舞奈。

 

 ……どうやら、鉄球が当たらなかった事を気にしていたようだ。

 

「ブル? 次は投げたら絶対に当てられる自信がありそうブッルね?」

「色々分析した結果、複数の魔法を使えばいけると確信しています! ゲイ・ボルグやグングニルのように!」

 ブルルンの問いかけに対し、そんな風に答える舞奈。

 

 ゲイ・ボルグ、グングニル……

 たしか、こっちの世界の神代の魔法槍だったような……。投げると必ず命中するとか必ず勝利をもたらすとかそんな感じのとんでもない代物だった気がする。

 

 そこまでの魔法槍は、さすがに向こうの世界にもなかったな。

 そもそも、そんなものがあったら、魔王の軍勢に余裕で勝てるというものだし。

 

 敵を追尾する投槍ってのはあったけど、どこまでも追尾するってものではなかったし、そもそも必中というわけではない。

 なんせ、軌道を上手く見切れば、遮蔽物にぶつけて無力化する事が容易だったからな。

 

 などという事を考えていると、

「鉄球を神話の武器並にするつもりなの?」

「そこまでして当てるものなのかなぁ……」

 かりんとセラがそんな突っ込みを入れていた。

 

「ぐふぅ……」

 まるで何かに刺されたかのような、そんな仕草をしながら崩れ落ちる舞奈。

 

「いやまあ……なんだ? その魔法の使い方自体は、他にも応用出来そうではあるな。うん」

「それ、遠回しに鉄球を投げるのに使う程のものじゃないと言っていませんか?」

 俺の発言に対し、そんな風に返してくる舞奈。

 それに対して、

「……そんな事はないぞ。そ、それより、紡が待ってるし行くとしよう」

 と答えて、紡の方へと足早に向かう。

 

「それ、駄目な返答ですー! バレバレですー!」

 後ろから聞こえてくるその声に、まあそうだろうな……と思う。

 そして同時に――

 ……あそこは何も言わずにスルーした方が良かったんだろうか? とも思った。

微調整していたら、いつもの更新時間を微妙に過ぎていました……


ま、まあ、そんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなります、3月12日(水)の想定です!


更新時間はいつもどおりにしたい所です……

(もしかしたら、また遅れるかもしれません……)

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