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第135話 石碑と仕掛けと

「これって、中庭のところにあったのと同じ……ですよね?」

「ああ。モノ自体は同じだな。刻まれている文字は違うが」

 舞奈に対してそんな風に返事をしたところで、

「あっちと違って、鎖に繋がれているところも気になるわね。こうして浮かせなければならない理由でもあるのかしら……?」

 という、もっともな疑問を口にするかりん。

 

「ブッル。その石碑の真下から魔力――かりん風に言うなら霊力――が湧き上がっているブル。浮かせることで、吸い上げているのかもしれないブッルル」

「言われてみると、たしかにそういう感じね……」

 ブルルンに対してそう返しつつ、石碑の真下を見るかりん。

 それに続くようにして、俺も石碑の真下を見てみる。

 

 ……しかし、これといって怪しい感じはしない。

「ここ、ブルルンには視える文字でもあったりするのか?」

「ブッルル。その類のものは何もないブルよー」

 ブルルンに問いかけると、そう返された。

 という事は――

 

「また『血』でしょうか?」

 と、俺が口にするよりも先に言ってくる紡。

 

「まあ、ここまで来たら、そうとしか考えられませんよね」

「たしかにな。とはいえ……違うかもしれないし、とりあえず試薬を撒いてみるとしよう。それではっきりする」

 舞奈に対してそう返しつつ、俺は既に手に持って構えておいた試薬を、石碑の真下へ撒いてみた。

 

「……光らないねー?」

「血ではなかったという事になるわね……」

 セラとかりんの言葉通り、見慣れた青い光が発せられることはなかった。

 

「こうなると、どういう仕組みなのかさっぱりですね……」

「そうだな。考えられるのは、下……か」

 舞奈にそんな風に返事をしながら床を眺め、

「……地下にあった階段の先に何かあると考えるのが妥当だな」

 と、言葉を続けた。

 

「あ、たしかにそうですね。地下へ戻ります?」

「いや、その前にもう少しこの辺りを調べておこう。ここから戻るには結構距離があるしな」

 俺は舞奈の問いかけにそう答えると、部屋の中を見回してみる。

 

 さして広い部屋でもなく、石碑以外は特に何もなかった。

 だが、その石碑を浮かせている幾つもの鎖は、天井を這い、そのまま壁を突き破るようにして、隣の部屋――だと思うが違うかもしれない――へと続いている。

 

 ……この鎖、一体どこへ繋がっているんだ?

 

 そんな風に思った所で、

「鎖の先を調べてみるのもありですね。何故か一方向へと伸びていますし」

 と言ってくる舞奈。

 そしてさらに、

「たしかに変な感じね……」

「廊下もまだまだ続いてるよー」

 舞奈に同意するかりんとほぼ同時に、セラが扉から外へ顔を出しながら、そう告げてくる。

 

「よし、このまま奥へ行ってみるか。もちろん飛翔魔法と――」

「――障壁魔法を使いながら……ですね」

 俺の言葉を引き継ぐようにして、紡がそんな風に言いながら、障壁を展開する。

 

 は、早いな……と思いつつも、俺は部屋の外へと出て全員が揃うのを待ちながら、廊下の奥を眺める。

 ……ん? 随分と隣の部屋の扉が遠いな……

 もしかして、間に隠し扉なり、すり抜ける壁なりがあるのだろうか?

 

 そんな風に考えた俺は飛翔魔法を発動しつつ、

「ブルルン、向こうの扉とこの扉との間の壁に、何か怪しい所はないか?」

 と、ブルルンに問いかけた。

 

「ブルル? 怪しい所ブッル? ……ちょうど中間のところから魔力を感じるブッルル。なにかの仕掛けがありそうブルねー」

 ブルルンが魔力を探知し、そんな風に言ってくる。

 それに対して俺は、

「中間のところか……。なら、とりあえずそこまで飛んでいくとしよう」

 と言って、廊下を飛んでいく。

 

「当然のようにトラップが仕掛けられていますね」

「というか、多すぎー」

 周囲を見回しながら言ってくる紡に続き、そんな事を言うセラ。

 さらにそれに続いて、

「たしかに、最早これは四方八方全方位ですね」

 などと口にする舞奈。

 

「四方八方と全方位は、どっちも意味が同じじゃない……」

「そ、そこに突っ込んではいけませんよ」

 かりんと舞奈がそんなやり取りをし始めた所で、

「ブッル。ここブルねー」

 と言って、ブルルンが壁を指差し……ではなく、前足をビシッと壁の方へと向けた。

 

 俺は移動を停止し、壁の方を見る。

 しかし――

「……どこからどう見ても普通の壁だな……」

 という言葉が口をついて出てくるくらい、見た目は普通の壁だった。

 

「ですが、この地点だけトラップがありません。なにかあるのは確実ですね」

 障壁を展開している紡がそんな風に言ってくる。

 それは、この場で飛翔魔法を解除して着地しても問題ないという事でもあるので、俺は飛翔魔法を解除し、その場に着地する。

 もちろん、俺だけではなく全員が、だ。

 

「たしかにここだけ壁から壁まで走っても何もないねー」

 なんて事を言いながら、壁から壁まで走ってみせるセラ。

 ……それは走り終わってから言うものではなかろうか……? と思ったその直後、

「あうっ!?」

 という声と共に、セラが隠し扉がありそうな壁と真反対側の壁に近づいた所で、『何か』にぶつかった。

 そして、そのまま尻もちをつき、

「何もなくなかったぁ……」

 なんて言ってくる。

 

 うんまあ、やっぱり走り終わってから言う言葉だなと思いつつ、「大丈夫か?」と問う俺。

 それに対してセラは、おしりを撫でながら立ち上がり、

「大丈夫ぅ……。ちょっと痛かっただけー。ほとんど弾き返された感じだったしー」

 と、そう返してきた。

 

 弾き返された……?

 と思いながら、セラがぶつかった『何か』へと視線を向け……たいが、それは出来なかった。

 なにしろその『何か』は、そこにあるはずなのに見えなかったからだ。

 

 なんというか、今度はそう来たか……って感じだな。

今度は諸々内容を調整していたら、いつもよりも少し遅くなってしまいました……

(さすがに前回のように、日を跨ぐほどではないですが……)

とはいえ、次回こそいつも通りの時間に出したいと思っています……


ま、まあ、そんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなります、2月26日(水)の想定です!

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