第47話 睡眠魔法
更新設定が間違っていたので手動で更新しました……
「す、すいませんーっ! 昼休みの残り時間を考えると、これが最速だと思ったのですが、そこまでは考えていませんでしたぁぁーっ!」
と、舞奈が謝罪の言葉を器用に発しながら落下していく。
無論、落下速度緩和魔法を使っているので地面に激突したりする事はないが……
俺はやれやれと思いながら、かりんの待つであろう階段へと引き返す。
すると、何故か鈴花がその場に倒れ――いや、気絶していた。
「……なあ、どうして気絶しているんだ?」
「……え、えっと……その……いきなり後は任せた的な事を言われても、どう宥めて、どう説明すれば良いのか分からなかったから、ちょっとこう……霊力を……」
俺の問いかけに対し、指で頬を掻きながらそんな返答をしてくるかりん。
「これは……大丈夫なのか?」
「い、一応、害はないわ。……若干、前後の記憶が混乱する可能性はあるけど……」
それは大丈夫だと言って良いのだろうか……
と、そう思った所で、ふと思いつく。
「……あー……。それなら、ついでにちょっとばかし魔法を使ってから保健室に運ぶとするか……」
そう呟くと、俺は鈴花に魔法を発動させたのだった――
◆
「――まさか睡眠魔法を使って、夢という事にするとは思いませんでした」
「そうね。私も気付けしてすぐに寝かせるとか何しているのかと思ったわ」
放課後、保健室の様子を見に行った帰りにそんな事を言ってくる舞奈とかりん。
……お前ら、普通に会話しているけど、初対面だよな?
絶対、互いにその事に気付いていないよな?
なんて事を思いつつ、
「ちなみに俺が鈴花に使ったのは普通の睡眠魔法ではなく、幻覚魔法を元に生み出した魔法だ。より確実に夢だと思わせられる」
と告げる。
……ただし、その夢は『悪夢』だがな、という続きの言葉は口にせず、心の中でだけ告げた。
普通の睡眠魔法では、直前の出来事を夢だと思わないかもしれないからな。
『悪夢』という怖い物を見せた方が、夢で良かったと考えて、直前の出来事も夢だと認識する可能性が高くなるはずだ。……多分。
でもまあ……悪夢を見せるというは、ちょっとダークな魔法であり、あまり大っぴらに言えるようなものではないので、言わずにおく方が良いだろう。
……細かい辻褄なんかは養護教諭――実は桜満の部下で、何かあった時の火消し役だった――が、どうにかしてくれると言っていたしな。
「ま……ああいうのは夢だと思った方が、双方のためにも良いからな」
「……たしかにそうですね」
「そうね、私もそれを否定するつもりはないわ。それにしても……あの養護教諭、随分とあっさりと舞奈や透真の説明で『納得』したわね。しかも、あのふたりを心配してやって来たふたりの男子生徒にも良い感じに説明して『納得』させていたし……」
かりんが『納得』を強調してそんな風に言う。
ま、たしかにそう思うよな。
……でも、あの養護教諭はさすが火消し役というだけはあるよなぁ……
千堂部長や紘都に余計な心配かける形になってしまって、正直後ろめたかったけど、良い感じに説明してくれたお陰で、ふたりも安心してくれて、少しだけホッと出来たし。
おっと、それはそれとして……ふたりに対して、あの養護教諭についての説明しないと駄目だな。
「ああ――」
「――おそらくですが……あの方は、破壊の化身――魂の欠片について知っているのではないでしょうか? というより……成伯さんの『関係者』なのでは?」
俺が説明しようとした直後、そんな推測を口にする舞奈。
……お、おお……マジか。俺が言う前にそこを口にするか……
昨日更新するつもりが、設定ミスで今日になっていたので、手動で更新……
その影響で、本日更新分が夜(22時頃までには……)になる見込みです。すいません……




