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第110話 扉と酢と血

「まさか、扉も血が?」

 そう口にした舞奈に対し、

「いや、さすがにそれは無理があると思うぞ……」

 と、そんな風に答える俺。

 

「一番『現実的に』あり得るのは、錆びていないんじゃなくて、黒錆でコーティングされているという可能性かな? それなら赤錆の発生をかなり防げるし」

「たしかに、黒錆を用いたコーティングというのは聞いた事がありますね。オーパーツと呼ばれているものの中にもそういったものがあったような気がしますし」

 涼太の推測に納得の表情でそう返して頷く舞奈。

 

 オーパーツ……。たしか、その時代の技術――主に大昔の技術では、到底作り得ないようなものの事を指すんだったか?

 

 なんて事を思っていると、舞奈が続きの言葉を紡いだ。

「まあ、もしそうだとすると、何故わざわざそんなコーティングをしているのか……という別の疑問が湧いてきますが」

 

 それに対して涼太は、

「たしかにそうだね。単純に何か錆びると困る事でもあるのかもしれないけど……それも何なのかわからないしね。そう考えると、この『現実的な可能性』よりも、『非現実的な可能性』の方が、むしろありえるのかも」

 と言いつつ、梯子を下りていく。

 

「非現実的……。なるほど……『魔法的な力』によって作られた金属だった……と考えた方が、色々と納得がいくのもたしかではありますね」

「ああ、魔法金属という奴だな。たしかに存在するし、そう考える方が自然っちゃ自然なんだろうが……あの金属は知っているものとは、どれも違うんだよなぁ」

 俺と舞奈はそんな事を言いながら、涼太に続くようにして下の階へ向かって飛び下りた。

 

「とても自然な動作で飛び下りてきたですね……」

 なんて事を言ってきた悠花に、

「このくらいの高さだと、魔法で強化して飛び下りた方が早いもので……」

 と、そんな風に答える舞奈。

 

 まあ、梯子をいちいち下りていくのは面倒だからな。

 さすがに人目のある所ではやらないが。

 ……舞奈はたまにやりそうになるけど。

 

 そういや、高校の屋上から飛び下りた事もあったっけなぁ……

 

 なんて事を思い出していると、

「うーん……。黒錆がコーティングされているようには見えないなぁ……。祭壇に使われていた金属にそっくりだし、やっぱり非現実的な――魔法とかそういうのを使って生み出された金属なのかも……」

「これが黒錆かどうかは、酢でもかけてみれば分かる気がするですが……。今日は持ってきていないのです……」

 などと口にする涼太と悠花。

 そしてそれに対して、

「トッラ? むしろ、普段は酢を持ち歩いているでありますトラー?」

 という、ある意味もっともな疑問を投げかけるオトラサマー。

 

「急にかけたくなったりするのです! なので、持ち歩いているのです!」

「色々な意味で筋金入りだからね……」

 何やら熱い口調で返事をする悠花と、それに続いてちょっと呆れ気味に言葉を紡ぐ涼太。

 

「酢は大事なのです!」

「うんまあ、否定はしないけど……。それはそれとして、俺もさすがに酢は持ってきてないから、それで黒錆かどうかを調べるのは無理だね。代わりというわけじゃないけど、まあ一応これで……」

 涼太が悠花にそう返事をしつつ、ルミノール試薬を扉へと振りかける。

 

 ……が、特に変化はない。

 

「やっぱり、血は染み込んでいなさそうだね」

 結果に対して、そんな風に呟くように言った涼太に、

「だとすると、先程言っていたように、『魔法とかそういうのを使って生み出された金属』――鉄のように見えて鉄ではないもの……とかです?」

 と、首を傾げながら問う悠花。

 

「そうだね。今の所はそっちの方がありえるかも?」

 俺は涼太が頷きながらそんな風に返事をするのを聞きつつ、思考を巡らせる。

 

 鉄のように見えて鉄ではない……か。

 これ、魔法金属そのものというわけじゃなくて、鉄などの普通の金属を鋳造する際……あるいは鉱石自体に何かの魔法を付与する事で、『変異』させているという可能性も考えられそうだな。

 『変異』した素材で鋳造――加工を行うと、その段階で使われた魔法の痕跡は消えてしまうから、どんな魔法が使われたのかを調べるのは、不可能というわけではないが非常に困難だと言わざるを得ないし。

 

「まあ……これ以上は現状だと調べようがないし、この扉については一旦後回しだね。今はひとまず、床と壁に試薬を撒いて血の方を調べるとしようか。悠花、手伝ってくれるかい?」

「了解なのです! オトラサマーもお願いなのです!」

 悠花は涼太から試薬の束を受け取ると、それを自分の鞄へと入れながらそんな風に言った。

 するとそれに対して、

「トッララー。任せるトッラー」

 と言いながら、涼太のもとへと移動するオトラサマー。

 

 そんなやり取りを聞いていたセラが、

「あ、なんか面白そうー。私もやるー」

 なんて事を言いながら、梯子を下りてきた。

 

 これだけいれば、こっちは十分そうだな。

 扉については気にはなるが、まあ……正直現状ではヒントになりそうなものもないから良くわからないし、涼太の言った通り後回しにするとしよう。

 となるとここは――

 

「なら、俺と舞奈でかりんと紡の所へ行くか」

 と、舞奈の方を見て告げる。

 

「あ、そうですね。そうしましょう」

 そう答えて頷く舞奈に続くようにして、

「ブッルー。ブルルンはどうすればいいブルゥ?」

 という問いの言葉を投げかけてくるブルルン。

 

「うーん、そうだなぁ……」

 魔力探知が必要になるかもしれない事を考えると、付いてきて貰う方がいいんだが……

 ……まあ、今まで通りセラの近くにいて貰った方が良いか。

 

 そう判断し、「とりあえずここにいてくれ」と告げた。

 ブルルンはそれに対して上を向きながら前足をビシッと上に伸ばし、

「ブッルルー。了解ブッルー。ブルルンも撒くブルよー」

 なんて返事をすると、涼太の方へと向かって飛んでいった。

 

 その涼太は、ブルルンに試薬を渡した後、俺達の方へとやってきて、

「きっと必要になると思うから、1箱分渡しておくね」

 と言って、試薬の箱を俺に手渡してくる。

 

「ああ、ありがとう」

 俺が涼太に対してお礼の言葉を口にすると、それに舞奈が続く。

「ありがとうございます。これがあれば、血が染み付いているかどうか調べられますね」

 

「もし足りなくなったら、言ってくれれば届けるよ」

 と言いながら、悠花たちの方へと戻っていく涼太。

 それを見送った所で舞奈が、

「これが足りなくなるくらいの場所があったら、それはそれでちょっと嫌ですね……」

 なんて言ってきた。

 

「たしかにな……」

「とはいえ、結構使いそうな気もしますけど……」

「それもたしかにと言わざるを得ないな。まあ、行ってみないとわからないが」

「そうですね。早速向かうとしましょうか」

 

 舞奈は俺に対して頷いてみせると、そのまま強化魔法を発動。

 上の階まで一気に跳躍した。

 

 ……うんまあ、梯子を登るより早いしな……

 なんて思いつつも、俺は俺で飛翔魔法を使って急上昇し、上の階まで移動するのだった。

なんだか妙なサブタイトルに……


ま、まあ、そんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、11月20日(水)の想定です!


※追記

誤字を修正しました。

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