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第105話 大扉と上の階

 あの異空間が、俺のいた世界への扉を開くためのもの……と断定するには、さすがに根拠が足りない上に、この場で説明するのは大変すぎるので敢えて何も言わないでおく。

 

 舞奈に勘付かれたりしているだろうか? と思いつつ舞奈を見ると、

「いえ、情報不足で私も明確にこれではないかという推測は出来ませんね……。不明確な推測……いえ、単なる突拍子もない妄想同然のものくらいなら出来ますが……」

 なんて事を言ってきた。

 

 さすがに俺がふと思った事に関しては、分析も推測も出来なかったらしい。

 俺が目を向けたのは、『何か分かるか?』という問いかけの意味だと考えたようだ。

 

「ですが、あれだけ『寄せ集め』てもなお、『何か』を成すには足りなかったというのだけは分かりますね」

「どういう事ー?」

 舞奈の言葉に対し、セラが首を傾げる。

 それに、

「ほら、もし何かをするのに『十分』だったとしたら、私たちが乗り込んだ時点で、既にそれが行われていたはずじゃないですか。でも、そういったものはなかったですよね?」

 と、返す舞奈。

 

「ああーなるほどー、言われてみるとたしかにそうかもー」

 納得の表情でそんな風に言うセラ。

 そしてそこに続くようにして、かりんが肩をすくめてみせながら、

「でも、あれで不十分って、あとどれだけ『寄せ集め』るつもりだったのやら……って感じよねぇ……」

 などと口にした。

 

「ま、今となってはどうにもならないが、もう少し調べてから壊す方が良かったのかもしれないな」

 そう俺が言うと、

「あそこに囚われていた人を少しでも早く救出するという意味では、正しかったと思いますよ」

「そうですね……。あのまま閉じ込められていたままだったら、あと何回死ぬ事になったか分かりませんし……」

 と、舞奈と紡。

 

「それはまあ……そうか」

「はい。むしろ、早く壊していただけてありがたいくらいです」

 俺の言葉に紡が微笑しながらそう言ってくる。

 その微笑みに、俺はたしかにあのタイミングで壊しておいて良かったなと思う。

 

「むむぅ? むむむぅ」

 セラがなにやらそんな事を唸りながら、近くで浮いていたブルルンを掴んで抱き寄せると、そのままギュッとした。

 ……いや、ギュッギュッと言うべきか。

 

「ブッルゥ!? どうしてそこでブルルンをギュッギュッするブルー!?」

 と、もっともな言葉を口にするブルルンに対してセラは、

「なんとなくぅ……」

 と言いながら、さらにギュッギュッとしつつ、

「そう言えばだけどー、紡お姉ちゃんの記憶力で、あの時の魔法陣を再現出来たりしないのー? 『目』とかはいらないけどー」

 なんていう問いの言葉を、紡に投げかける。

 

「さ、さすがに難しいですね……。あそこにあった魔法陣は、複雑すぎて半分くらいしか覚えていませんし……。しかも大まかな形状なら覚えていますが、細かい所までは……」

 その紡の返答を聞いたかりんが、

「あの数の魔法陣を、大まかな形状であるとはいえ、半分も覚えてるだけで十分とんでもないわね……」

 と、驚きと呆れの入り混じった表情で言った。

 

 たしかに半分でも十分すぎるくらいではあるな。

 

「トッラー。よくわからないでありますけど、凄い記憶力だという事は理解したでありますトォラァ」

「もしかして、ここの壁に刻まれている文字も全て記憶出来たりするのです?」

 オトラサマーに続くようにして、そんな疑問を投げかける悠花。

 それに対して紡は、

「で、出来なくはないですが、これを全部覚えようとしたら、半月はかかりますね……」

 などと、しれっととんでもない返答をした。

 

「え、えっと……。半月で終わるですか? それ、普通に早すぎる気がするですが……」

 頬を掻きながらそう口にする悠花と、それに頷いてみせる涼太。

「うん、たしかにね」


「そ、そんな事はないかと……」

 紡が顔を赤らめながら否定するが、

「紡の魔法の習得速度と改良速度が凄まじいのって、その記憶力の高さによる所もあると思うし、十分凄いと思うぞ」

 と言いながら紡を見る俺。

 すると紡は、

「え、えっと? そ、それはその……あ、ありがとうございます」

 と返事をしながら顔を更に赤くし、遂に下を向いてしまった。

 

 う、うーん……率直な感想を口にしただけなのだが……

 と思っていると、

「ギュッギュギュッギュ!」

「ブッルゥ! ギュッギュ言いながらギューになってるブルゥー!」

 なんてセラとブルルンのやり取りが聞こえてくる。

 

 何故かちょっとセラがお怒り気味だ。

 やりすぎだという事なのだろうか?

 

「他に調べてない所があった気がするー」

 と、そんな風に言ってきたセラに、ハッとした表情で、

「そ、そうですね。その、まだ途中にあった大扉の先とか調べていませんし、そちらを調べに行きませんか?」

 なんて事を、顔を少し赤らめたまま言ってくる紡。

 

 ううーん……。セラの助け舟……とでも言えばいいんだろうか?

 わかりやすいくらいの話題替えだが、まだ調べていなのもたしかではあるな。

 

「他にもあるようなー?」

「そうですね。この建物3階建てですし、あともう1フロア上にありますよね?」

 セラに対して頷きながら、そんな風に言ってくる舞奈。

 それに続くようにして、

「うん。外から見ると、たしかに3階まであるね」

 と、そう涼太が言うと、悠花がある意味もっともな言葉を口にする。

「でも、階段は2階までだったのです」

 

 そう……。悠花が言った通り、1階の上り階段は2階までであり、3階へは通じていなかった。

 

「だとしたら、あの大扉の先に階段があるのかしらね?」

「そう考えるのが妥当ですけど、この空間は色々と無茶苦茶ですし、なんとも言えませんね……。なにしろ、構造を考えたらこの辺りに下り階段があっても良さそうなものですが、まったく見当たりませんし」

 かりんのもっともな疑問に、舞奈がそんな風に答える。

 

 たしかに、この真下――1階の落とし穴部屋の先――へと通じているであろう階段も、どこにも見当たらないな。

 そういう意味では、あの大扉の先に階段があるとは限らない。

 もっとも……もしそうだとしたら、この真下や上の階へはどこから行くんだ? って話になるし、何かしらあるとは思うが。

 

 俺はそんな事を考えるも、行けば分かる話ではあるので、

「ま、とりあえず戻るとしよう。実際に確認した方が早いしな」

 と、皆に告げるのだった。

サブタイトルの割に、大扉にも上の階にも行ってないという……


ま、まあ、そんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなります、11月2日(土)の想定です!


※追記

誤字を修正しました。

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